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第237回: ゴールデンサークル理論と新連載

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≡ はじめに

18回連続して原因結果グラフの「CEGTest」のことを書いて、CEGTestのパートは完結しました。「ソフトウェアテストしようぜ」は、前回の第48回をもっていったんお休みにします。

今回は箸休め回です。

内容は、「ゴールデンサークル理論」を使った「新連載」の宣伝です。



≡ ゴールデンサークル

たぶん、ご存じの人が多い「ゴールデンサークル理論」ですが、変だと思いませんでしたか?

ゴールデンサークルとは、こんな図です。

ゴールデンサークル

忘れてしまった方は、「ゴールデンサークル」でググると山ほど出てくるのですが、オリジナルのTEDの動画(日本語の字幕付き)をみるのが一番です。

18分34秒の動画ですが、初めの3分をご覧いただければゴールデンサークル理論が何かが、わかります。

私は、「Why(目的)の大切さはわかるけど、なんで、WhatよりHowが先なんだろう?」と疑問に思いました。
というのは、“要求(Why)→仕様(What)→設計(How)の流れ”が染みついていたからです。

HAYST法のテスト分析で使用している、6W2Hでも「Why→What→How」の流れで説明しています。
さらに言えば、「テスト分析をする時点ではWhatが決まっていることがほとんどで、1番信用できるテストベースだから、Whatツリーを先につくる」ことをすすめています。

そこでChatGPTに聞いてみました。

ゴールデンサークル理論では、どうしてhowの方がwhatより先なんですか?

こんな答えをもらいました。

ゴールデンサークル理論における「How」、「What」、「Why」の順序は、脳の働きに基づいています。人間の脳は、まず「Why」(なぜ)という感情的な刺激に反応します。この刺激がなければ、人々はあまり興味を持たず、動かされません。次に、脳は「How」(どのように)という考え方に切り替わり、目的を達成するための方法を考えます。最後に、脳は「What」(何)という具体的なアイデアや製品を考えるようになります。つまり、「Why」から始まり、「How」に移り、最後に「What」にたどり着くのです。この順序に従うことで、人々の感情に訴え、より強い影響を与えることができるとされています。

「脳の働きに基づいている」、、、だ・と?

私は、右脳・左脳、男性脳・女性脳、脳トレにアハ体験、、、等々、すべて「うさんくさいやつ」のカテゴリに入れています。😛
言い換えれば脳科学は、血液型占い程度にしか信じていません。

TEDの動画で、サイモン シネック氏は確かに脳科学の話をしています。それは、

から始まるのですが、"DNAに組み込まれた衝動"というほうが(信じてしまう人が減るので)良かったんじゃないかなあと思います。
そもそも、ゴールデンサークル理論は、脳科学を持ち出さなくても十分に魅力的なモデルです。

いずれにしても、「howの方がwhatより先の理由」は納得できなかったのですが、サイモン シネック氏の動画を何度も見返したところ、マーケティングの話のHowは「設計」の意味ではなく「私たちは、こういう方法を選ぶことができる技術を持っている(から)」と、どちらかといえば、Whyを補足するHowという位置付けなんだろうと思いました。

ということで、次回から始まる新連載をゴールデンサークル理論ふうに紹介したいと思います。



≡ 新連載の普通の説明

まずは、ゴールデンサークルふうでない新連載の説明です。

次回から始まる新連載では、『ASTERセミナー標準テキスト』のアドバンス版のたたき台の作成を行います。

今の『ASTERセミナー標準テキスト』は、JSTQBのFLに対応したソフトウェアテストの基礎的なテキストです。JSTQBのAL(アドバンスレベル)に対応したテキストではないので、まずは、“AL対応のテキストのたたき台をつくろう”ということです。このノートは、短期的目標です。

毎回、ALの内容を少しずつスライド化して、そのスライドと説明文をnoteに書きます。
そうすると、だんだんスライドのページ数が増えていき、いずれはALのテキストのたたき台になるパワポができます。たたき台が出来ればあとは全体の粒度を揃えるなどブラッシュアップをしたら完成です。

さて、以降は、上の内容をゴールデンサークルのWhy→How→Whatの順番でまとめることで、新連載の宣伝をします。



≡ Why

新連載に『ASTERセミナー標準テキスト』のアドバンス版のたたき台の作成を選んだのは、ALを学ぶテキストがあれば、基礎レベル(FL)でストップしてしまった日本のテストエンジニアの多くが、アドバンスレベル(AL)にステップアップすると信じているからです。

そして、アドバンスレベルのテストエンジニアが増えれば、ソフトウェアの品質はもっともっと良くなるし、テストエンジニアも今より効率的に仕事を進めることができると信じているからです。

以下は詳細説明です。

2006年に始まったJSTQB(ソフトウェアテスト技術者資格認定)は、日本のソフトウェアテストの技術力向上に寄与したんじゃないかなと思っています。
(幸運なことにJSTQBの活動の端っこに関わることができて、それはやってよかったなあと思う仕事のひとつです)

JSTQBは、2006年からFoundation Level(基礎レベル:以下FLと略す)を、2010年からFLに加えて、Advaced Level(アドバンスレベル:以下ALと略す)の2つのレベルの資格認定を行っています。
それぞれの合格者は、FLが20,579名(第32回FL試験(2022/2/12)までの総計)、ALがテストマネージャー(以下、ALTM)717名、テストアナリスト(以下、ALTA)548名です。FLの合格者にくらべてALの合格者人数が少ないです。

ALの合格者が少ない理由は、受験者数と合格率の低さのせいです。FLの受験者数は、36,334名、ALは、4,047名(ALTM)と2,540名(ALTA)です。

合格率を「総合格者数/総受験者数」でざっくり計算すると、56.6%(FL)、17.7%(ALTM)、21.6%(ALTA)です。

※ ALのテスト回数が少ないということもあるとは思いますが、テスト回数は受験者数と相関が高いと思われるので深追いしません。

FLと比較してALの受験者数と合格率がとても低い理由は、「ALの勉強の仕方が難しい」ためと考えています。
実際に、「ALにチャレンジしたいけど、サンプル問題があるだけで、模擬試験サイトもないし、シラバスを読むしかないから、ちょっときついんだよなあ。勉強会を開こうにもテキストがないし」という声を聞きます。

『ASTERセミナー標準テキスト』のアドバンス版があれば、状況は改善するんじゃないかなと思いました。



≡ How

上の方に、

(ゴールデンサークル理論のhowは)「私たちは、こういう方法を選ぶことができる技術を持っている」という意味なんだろう。

と書きました。

私が、新連載に『ASTERセミナー標準テキスト』のアドバンス版のたたき台の作成を選んだhowは、私が上記テキストの発行元のASTERの教育事業担当という帽子をかぶることができるからです。(加えてJSTQBについて、ステアリング委員だけれどテクニカル委員ではないことがあります。これは、問題作成にタッチしていないので、自由に書けるということにつながります。)

JSTQBは、NPO法人 ASTER傘下とはいえ、公共性が高くISTQBとの関係もありますからASTERから独立性が高い事業となっています。

しかしながら、同じASTERの仲間ですから、融通が利く部分もあります。

無断で勝手にテキストをつくることはもちろん良くないことです。
そこで、ゆるく理事会や総会で「ALのテキストをつくろうと思うんだけど」といって、その承認を得ています。(一年以上前のことなのに、これまで始めていなかったのは私の力不足です)

だから、怒られる可能性は決してゼロではないけど、そのときは、t_wadaさんもこういっているからいいかーって感じです。

ただ、私、ISTQBのテストについて、そんなに詳しくないんですよねー。だからnoteに書いたものを皆さんに「ここ間違っているよ」と指摘してもらう必要があるのです。

howについて私の技術が足りないところを「noteによる皆さんの指摘」と、たたき台を作った後の「パブリックコメント」と、「ASTER会員によるレビュー」によって補おうと考えています。それを合わせたものが今回のhowです。

あと、一緒につくってくださる方を募集中です。



≡ What

「What(つくるもの)を最後に述べよ」というのがゴールデンサークル理論の教えです。

新連載は、ALTAのシラバスのテキスト化です。

ALTAのシラバスとは、「Advanced Level シラバス 日本語版 テストアナリスト Version 3.1.1.J03」のことです。

実は、ALTM(テストマネージャ)から始めようと考えていたのですが、「ALTMは、近々改訂があるかもしれないからALTAのほうが良いよ」というアドバイスをいただいたので、ALTAを先にしました。ALTAが終わったらALTM、ALTTAに進むのかなあ。その前に飽きてしまうかも……。まあ、そんな先のことはどうでもいいや。

以下に、ALTAシラバスの目次からテキスト化する個所を切り貼りします。

60ページ程度ですから、150~200スライドくらいになりそうです。

1年半くらいで出来るといいなあ。



≡  おわりに

今回は、箸休め回でした。

ゴールデンサークル理論で新連載を紹介してみました。多くの方の力を借りないと完成しないとわかりました。

だから、よろしくお願いします。(コメントをくださる、修正してくださる、つくってくださるなどなど、したくなったときにして、飽きたら抜けるゆるい感じがいいな)

さて、次回は新連載のはじまりです。

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