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【空き家の現場で16年】肌で感じたいろいろな変化とこれからの事 その10

割引あり

皆さんが住んでいる家や実家はちゃんと登記されていますか?
というか不動産登記って何?

不動産登記は,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。

法務省
法務省HPから


最近建てた家は問題ないでしょうが、両親が増改築した家や古くからある古民家などは調べてみると全く知らない名前で登記されていることがあります。○○兵衛なんて名前があったり、そもそも名字が違っていてビックリすることも。

また、実家を相続したけど、土地は借地だったという話もありました。
なにぶん古い話で 借地契約書も残 っていないのでどうしたものか・・・。しかし借地権者は、建物が空き家であっても管理しなければいけない義務があり、周辺の住民や地主に迷惑をかける行為も禁じられています。

どうしようか悩んでいるうちに建物の劣化は進み、結局解体するしかなくなってしまった・・・。こういう話ホント多いです。

空き家問題でネックになるのがこの相続登記の問題です。

空き家を見つけて所有者に連絡を取ろうと、ご近所さんに聞いたり、事情を知ってそうな人を頼って情報を集めたりしますが、最終手段としては法務局で登記情報を確認するということになります。

ここで費用を使って登記情報を調べた結果、ずいぶん昔の名前のまま放置されている・・・こういった経験がこれまでにたくさんあります。

こういった土地の事を『所有者不明土地』といい、「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者
に連絡がつかない土地」という風に定義
されます。

以前「2016年時点の所有者不明土地面積は、地籍調査を活用した推計で約410万haあり、九州(土地面積:約367万ha)以上に存在する」という衝撃的な報告がされました。

こういった流れが今後は見直されます。

1 空き家を取り巻く環境 ~空き家対策と空き地対策~

以前協会のメルマガで以下のような記事を紹介しました。

米山秀隆さんの新刊図書から興味深い話を見つけました。
空き地対策は、空き家対策ほどは進んでいない。空家法に基づき特定空家を認定するため、自治体は空き家の実態調査を進めているが、空き地については、6割以上の自治体が「調査を行う予定はない」としている(国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」2017年)。また、空き家では空き家バンクなどを通じ、自治体が空き家の情報を公開し、需給のマッチングを行っている自治体が多いが、空き地についてはそうした仕組みを持っている自治体は1割程度に過ぎない。
 空き地所有者に対し適正な管理を促す空き地管理条例については、自治体アンケートでは、あると回答した自治体は35%にとどまった。空き家管理条例の制定が進み、空家法の制定にまでつながった空き家対策に比べ、自治体は空き地対策にはそれほど危機感を持って進めている状況にはない。
 空き家は建物が現存し、危険な状態になった場合の悪影響が大きく、また、過疎に悩む自治体にとってみればそこに何とか人を呼び込みたいとの考えから、対策に注力することになる。しかし、更地になった後の対策は、悪影響の度合いは小さくなり、後回しにされがちだと考えられる。
所有者不明土地対策については、国土交通省は、2016年3月に出した報告書「所有者の把握が難しい土地への対応方策」において、所有者探索の円滑化の必要性を指摘し、関連制度を活用するためのガイドラインを策定した(2017年3月に第2版を公表)。合わせて所有者不明とならないよう相続登記を働きかける必要性を指摘した。所有者不明の土地への対応のため、現行制度の範囲内で、最初に取り組まなければならない課題をまとめたものである。
 相続登記を促す自治体の取り組みとしては、京都市精華町の事例がある。精華町では、死亡届の提出があった場合、総合窓口で受付けを行い、関係課と連携して書類を取りまとめ、死亡届に伴う諸手続きの案内資料として相続人に送付している。そして手続きのため訪れた際には、総合窓口で戸籍・住民票関係の対応をし、死亡者が土地所有者である場合には、固定資産税係が総合窓口まで出向き、法務局で相続手続きが必要になることを説明し、相続登記の際に必要となる書類等を渡す。さらに、農地や森林の所有の有無については総合窓口が聞き取った上、農業委員会に案内し、届出の対応を行う。
 このように精華町では、相続時にワンストップで案内する仕組みを整えている。こうした対応により、農地法に基づく届出が2010年に年間2~3件だったものが、2011年以降、年間20件程度となり、効果が現れた(国土交通省『土地白書 2017年版』)。
 所有者不明土地の利用を促す新たな仕組みとしては、所有者がわからなくとも利用できるよう、利用権設定を可能にする仕組みが新たに導入された(「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が2018年6月成立)。都道府県知事の裁定により所有者不明土地の利用権を設定し、補償金を供託した上で公共性を持つ事業に使えるというものである。所有者不明土地の存在で公共事業が滞っているようなケースにおいて、利用が期待されている。
 一方、相続時の登記を促すため、登記義務化の必要性がしばしば指摘されている。しかし、義務化しても罰則強化は難しく、実効性を持たせることができないとの難点もある。登録免許税等の登記費用の総額が土地の価値を上回る場合は、登記を促進する効果はあまりないと考えられる。義務化よりは登録免許税の減免措置を導入し、さらに将来的には安価な手数料とすることで、コスト面で登記を促していく方が現実的とも考えられる。
 所有者不明土地が現在以上に増やさないため、マイナンバーを活用して、登記簿や戸籍の関連データを一括管理する仕組みも提案されている。しかし、マイナンバーの利用範囲を広げるためには法改正が必要となり、国民の理解を得られるかは不透明である。マイナンバーを使わなくても、精華町におけるような、死亡情報がほかに手続きを要するところに流れていく仕組みがあればよく、まずは現行制度の範囲内で、必要な情報の流れが実現されるような仕組みを構築するのも一案と考えられている。
 こうした今後の課題については、2018年度中に具体的な方向性を提示した上、2020年までに必要な制度改正を実現する方針が示されている(「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」2018年6月、「骨太の方針2018」2018年6月)。
 ただ、所有者が補足されたとしても、人口減少時代においては、所有者にとっては次の使い手が現れる可能性が低くなるうえに、将来にわたって責任を持って管理し続けることも難しくなっている。現在の日本では、こうした土地について、最終的に誰がどのように管理していくのかについて、新たな仕組みを構築する必要性が高まっている。
 京都市精華町の事例は興味深いですね。やはりワンストップで対応できるような体制が必要です。

空き家管理士協会メルマガより

これから紆余曲折ありましたが、相続登記義務化は2024年4月1日から施行され、相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしないと10万円以下の過料の対象となるとなりました。

ここで厄介なのが、法改正以前に所有している相続登記・住所等の変更登記が済んでいない不動産についても義務化されるため、今後、空き家の所有者のみなさんはこれまで先送りにしてきた空き家対応に向き合わざるを得なくなります。

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