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貸家の住人が生活保護受給者に!?

昨日の記事の続きです。昨日の記事はコチラ→賃貸中の貸家がごみ屋敷に!しかも・・・



1.内覧の後のおはなし

内覧を終え、貸主Bさんは、Aさんには退去してもらうことをご希望でしたが、市役所の対応に疑問もあったため。まずは私から市役所のお話を聞き取ることになりました。
当事者二人のお話を聞いていても、どうも明確な話が見えなかったからです。


■市役所の言い分

Aさんのごみの処分料がなぜ捻出できないのか、Aさんがお金を捻出できないために、しわ寄せが貸主さんに来るのが妥当なのか、確認したかったからです。
というのも、市役所の提案を了承してしまうと、賃料が月に1.5万円、年間18万円も減少してしまうため、年金暮らしの貸主Bさんにとっては大打撃なんです。

担当者さん曰く、
「Aさんがごみの処分料を捻出できないまま引っ越すことになった場合、残った荷物は貸主の持ち物になる」
という乱暴なお返事でした。

確かに、Aさん個人の問題なので、自治体が税金を使って制度外の費用を捻出するのは無理があるでしょう。
だとすれば、Aさんの親族や身内の方に打診するとかなにかしらの方法で解決を試みるのが妥当なような気もします。
それすら確認せずに、お金がないから賃料を値引きしてそのまま住まわせてほしいだなんて公人がいうのも違和感があります。

そうはいっても、公人のいう「決まり事」に民間人が勝てるわけもないので引き下がりました。

■解決策の提案

わたしは、貸主Bさんに対して、選択肢として、以下の3つを提案しました。

①生活保護受給者専用シェアハウス

貸家は8DK。
Aさんの賃料を下げるなら、いっそ、シェアハウスにして、一部屋ずつ部屋貸しするのはどうだろう。
いっそ、生活保護受給者さんを受け入れて、共同生活をしてもらう。
部屋ごとに賃料が入ってくるとしたら、これまでの貸家の賃料の何倍も収入は上がります。
これならお互いにウィンウィンですが、結局Aさんの荷物を片付ける必要があるので実現できるかどうか・・・
それに、後期高齢者の貸主Bさんに運営や管理ができるかどうか・・・

②リフォームして新しい入居者を募集
気の毒ですがAさんには退去してもらって、新しい入居者を募る。
これがもちろん一般的ですが、これにはAさんのごみ処分が必須になります。
Aさんのお姉さんがいるらしいので、そちらに協力を仰ぐしかないが。。。

③このまま家賃を下げてAさんに入居してもらう
一年ほど猶予を与え、ごみの処分を自分で少しづつやってもらう。
定期的に検査に行って、成果が見えない時は退去してもらう。
この場合は、退去を強制的に行うのは、むしろいまより難しいかもしれない。。。

■貸主Bさんの決断


Bさんは、誰か保証人になってくれる人が居るなら、1年ほど退去を延長してもいいとおっしゃいました。
その間、荷物を少しずつ片付けてきれいに貸家を使う努力が見受けられたらそのまま入居してもらってもいいということです。
おやさしい。
しかも賃料は4万円までなら値引きに対応してあげるということでした。
とてもおやさしい。
しかし、保証人がいないのであれば、それも叶わないと強くご希望でした。

■保証会社は撤退するので保証人が必要


現在の保証会社はすでに限界まで家賃を肩代わりしているようで、今月いっぱいで契約終了になってしまいますので、他の保証人が必要でした。

とにかく、お互いの希望はどうあれ、保証人がいないことにはお話にならないので、Aさんのお姉さんを交えてお話させてもらうことに。
お姉さんが保証人になれないとしたら、いやおうなしに退去してもらうしかありません。
後日お話の席を設けましたが、結論は「保証人にはなれないのですぐに引っ越してほしい」という内容でした。

これではAさんやBさんのご希望云々は関係なく、Aさんに速やかに退去してもらうほかありません。

では、のこるはゴミの問題だけ・・・

■保証会社とのおはなし


そもそも、Aさんが家賃の滞納を繰り返していたため、もう保証会社では保証できなので退去してほしいと言われたと聞いていました。
なので、保証期間がこの当月いっぱいで終了してしまうものだと思って慌てて議論を進めていたわけなんです。

しかし、この話し合いの間にも、保証会社さんがやたらと退去について決断を急がせてくるのでどうも腑に落ちなかったのですが、どうやら退去の日程次第では保証期間を延長できることや、退去するにしても、引っ越し費用やゴミの処分量まで建て替えるという提案をAさんにお話ししていたという事実が判明しました。

Aさんはこの事実を誰にも話さず、貸主さんも市役所もお姉さんご夫妻も、みんなをだましていたんです。
これには私たち一同驚きで、同時に、Aさんに対する同情や哀れみや親切心をすべて奪われる結果となりました。

もはや、Aさんに対して、すみやかな事務処理とすみやかな退去以外で、期待することはなにもありません。
偏見や思い込みで生活保護受給者さんを見たくはありませんが、こういうことがあると、途端に見る目が変わってしまいますね。


2.生活保護受給者に貸家を貸すメリットとデメリット。

ここで、生活保護受給者に住宅を提供することで、今後想定できるメリットとデメリットを考えてみました。

①生活保護受給者に住宅を提供するメリット

・賃料が自治体から直接入る(滞納の心配がない)
・生活保護受給から抜け出さない限り出ていく心配がない

②生活保護受給者に住宅を提供するデメリット

・なにかしら問題がある人が多く、入居中に揉め事が多い(一般論です)
・上記の理由から、管理会社が管理を引き受けてくれない(場合が多い)
・生活保護の需給が止まった場合に、保証会社無しの直接契約になってしまう(滞納の可能性もある)
・入居者さんに問題があっても途中で契約解除しにくい


3.まとめ

生活保護受給者すべてがそうとはかぎりませんが、やはりなにかしらの問題がある場合が多いということを念頭に置き、付き合うべきだと感じました。

今回このAさんは保証会社から支援を受けてごみを処分し、市役所が探してくれたお部屋に住宅扶助を受けて転居することになりました。
退去の期限は保証会社さんの了承を頂き、保証を延長してもらった状態でひと月だけ延期して、退去の準備をしてもらうことになりました。

結果、貸主Bさんの不利益がなさそうで安心した次第です。

今後はAさんは生活保護を受給しながら、保証会社に返済をしていくことになったわけですが、その支払い能力があるのか疑問ですが、保証会社さんが引き受けたということはそれなりにうまみがある契約なのでしょう。
そこまでは空き家のお医者さんへの相談には含まれませんのであまり突っ込まないでおきました。

いやはや、よのなかにはいろんな人がいて、いろんな事案があるものですね。

とにもかくにも一段落しましたので、この相談に関しては1件落着とさせていただきました😚


4.おまけ

今回のケース、実はなるべくしてなった理由がありました。
↓の記事にその全容が!!!

”家賃滞納→生活保護”には理由があった!



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