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「想意」から「名前のないまま」までの解説のような

折り返しには来ましたよ、
詩の解説のような。

夏休みでも一か月なのに、
二か月分もサボるなんて、
ふてぶてしい私です。

それでは、どうぞ。

ありますよ
ありますが
ありましたよ
ありますがね
ありますとも
あったんですとも
ありましたので
ありすぎて ありすぎて
ありあまって
ありました
たしかにたしかに
あったはずなのです
あるばかりですのに

「想意」

あった、ことに固執する詩。

飽きたはずなのに
諦めることができなかった為に
集められる花弁
ひどく乾いていく空気
瞳は差し出されるも
雨は降らない
うつくしい星空の下で

「あつめる花弁」

もういいと言った口を塞いで、
飛び散った花弁を搔き集める。
それが乾いていくのを、
誰も止めることはできないのならば、
それはもう、
覆らない一生の出来事なのでしょう。

木になって見つめている苦しさよ
唐突の視界の消失さえ
根は覚え続けている
誰がやさしく撫でたのか
あの羽がさわった葉よ
かすかな子供の声に
紛れた悪夢の味に
身が千切れても
木はあって
木であって
木であろうと努めるのです

「木」

木として生きたら味わった勤勉さを、描けたらと。

甘いから嫌いだと差し出された
飴玉を
どうしてあげるのが
あなたのねがいか
わたくしは
恥じらいながら大口を開け放ち
空をごとその手も身も中身も
呑み込んでしまおうと
我を穿ったのでした

「あなたの甘い」

あなたの分、私が凹むことを選びます。

あいた口で
愛していたの

お腹が空いたわ
鳥の高い囀り

あいた口は
乾いて割れる

お臍が歪むわ
高すぎる陽の光

あいした口を
あたりまえに閉ざす運びだったのに

「あいたくち」

口の中のあなたを唾液でやわらかにして、
すべて溶かしてやわらかに、
味わうはずだったのに。
そして誰にも言い訳せずにいられるように、
するつもりだったのよ、
という詩。

立ち昇るスカート
腕立て伏せの犬が吠える

身近のあたしの明日に
足を生やしたのは誰だっけ

手をとった透明に垂れ下げられた
立ち昇るスカートのはらはら

「スカート」

生きようとしてみれば、
生きさせようとするものです。

青が実る
青が実るのを
見つめる青い瞳の
青が果つる
青は叫び
青は時々静かでいられず燃え盛る
青は
青が実る
その加減を選べる手が
青を結ぶ

「青い実」

青という色の物語を書き詰めてみたかった詩。

人生は不平等だ
だが 等しくうつくしく
等しさにちかくやさしい

拾うか 手放すか
あえぐのか 吸い込むのか
心はいつもまかされている

「ひと世」

選ぶことも出来ない。その時にも、何かは選ばされている。
世界に。

赤の洪水
産まれたあなたも
あかかった
あふれる生の
肌の色だった

「その色は何色」

赤ん坊の肌の色のはなしです。
何処の国の肌も、生きる肌の色です。

かなしみは貴方の亡霊じゃない
冷たい手は垂らして
わたしを傷めるはずがない

孤独は貴方の残した痕じゃない
手当てのあとのあたたかさ
醒めていく自然の流れに爪を立てたの

閉じ込めることを貴方に願いはしない
あなたが歩み
貴方は光るものだから

「名前のないまま」

あなたが私を傷つけることは何もない。
私が一人傷ついてきただけだ。
それでも、それもあなたがくれたものと思い込みたい幼さを、
悍ましく、それでも手放せない、という詩。


以上、詩の解説のようなものでした。




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