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うちのぼん。

家にはぼんが二人いる。
八歳と、五歳。
お兄ちゃんはおっとり、ぽっちゃり、顔はタコ焼きに似ている。
弟は、顔が可愛い。体の作りも可愛い。可愛いを子供にしたかたちの、怪獣だ。

二人は全く似ていないし、好きなものも違う。
肉が好きなのは二人とも同じだけど、兄は刺身も好き。
野菜は大抵食べられない弟は、果物なら酸っぱい夏ミカンも食べられる。
兄は好きなものを最後に取っておいて味わう人で、弟は最初に好きなものを食べて、兄が残したものを横取りしてよく食べる。

弟は最近、ペダルのない自転車?を雨あがりに暴走族並みのカーブを決めようとして転倒、右腕にヒビが入りました。
動くなよ、と言っても動く子供が動きを制限された結果、今は一日に何度か散歩にでて体力を自ら削るようになりました。
兄は嘘をつくと、まず顔に出て、体がくねくねしてしまう人です。
親として、もっとうまく、嘘をつかなくてもいい状況を自分で作っていけるようになってほしいと思ってます。

弟の幼稚園の入学式のあと、教室に保護者と園児が集められ、車座で自己紹介と子供の紹介、そして子供の好きなところを発表していくというのがありました。
みんな、兄弟や親を大事にしてくれる、お手伝いをしてくれる、と内面的な、または確かな成長のことを話していました。
私はちょうど真ん中くらいの順番だったのですが、考えても考えても弟の好きなところがひとつしか浮かびませんでした。
私が発表した弟の好きなところは

「顔です」

まさか、入園式のあとにひと笑いとれるとは、、、
でも私は至極真面目に言ったのです。
親のひいき目を差し引いてもなかなか可愛い顔をしていて、そのおかげで弟が兄が受けられなかった恩恵を、たぶん、得ています(笑)

たった生まれて五年の人間の、まだ土台も柔らかな今の、ここが好きなんて私には言えなかったのだから仕方ない。

学校で学年が上がるたびに担任に向けて書く子供の長所と短所も毎回困る。
今日もぼんずは面白い。
煩い。熱い。かわいい。大きくなっている気がする(兄には毎日思っている)。
と思うくらいで、ここがこの子のいいところだ、なんてあまり気にしないからかもしれない。

もうすぐ憧れの二段ベッドが二人のもとにやってきて、
兄の短い夏休みの間にもう一度カラオケに連れていく。
彼は鉄道唱歌と、せんろはつづくよ、を爆音で歌い上げ、音を外す。
弟の腕がはやく治れば室内の遊び場に連れていく。

正直私は子供が好きじゃない。
子供が生まれてからも、自分の子でも、そこまでの愛情が湧くことはなかった。
それでも、ただただ大きくなれよ、とは思う。
たくさん遊べよ。好きなことをしろよ。
そのくらいの手助けはしてやろうと思っている。

弟は来年一年生。
きれいな紫のランドセルを買う予定だ。
飾りのハートのキラキラがとても気に入ったらしい。
それを背負っていく弟と、赤と黒のツートンランドセルの兄がそろって学校に行くのが、こんな母でも楽しみだ。



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