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『つくも神 ポンポン』中田いくみ

祖母の手芸店「オペラ」を継いで、
日々店番をする坊ちゃんこと清之介のもとに、
ある日「毛糸のおばあちゃん」が訪ねてきます。

おばあちゃんは、「レディー毛糸」という毛糸の工場をたたむことになり、
商品を長く卸していた手芸店のお坊ちゃんに挨拶に来てくれたのでした。

この「レディーの毛糸」には、
販促キャラクターのポンポンさんという女の子がいます。
手芸店「オペラ」にも彼女の置物があるのですが、
「毛糸のおばあちゃん」は
「また業者さんに取りにいってもらうから」
と言い残して帰っていきました。

店に帰って、
ポンポンさんを見つめる坊ちゃん。
彼が小さなころから、レジの隣で「レディーの毛糸」を
宣伝し続けてきた女の子。
小さなポンポンのついたニット帽をかぶった可愛らしい彼女に、
坊ちゃんは思わず声を掛けます。

「うちの子になる?」

業者さんがやってくるまで部屋に置いておこうと、
抱いて上がったポンポンさんは、
次の朝、
何故かかわいい女の子となって
坊ちゃんを起こしたのでした。

「私 ポンポンだよ!
 ここんちの子!」

こうしてのんびり屋の坊ちゃんと、
はきはきしっかりもののポンポンさんの
二人は素敵な商店街の一角で
手芸店を営んでいきます。

おやつみたいに、
大きな口に頬張りたくなる
やさしい味のする作品です。


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