見出し画像

これまでに書いてきたもの、に

あなたが私にくれたもの

あなたが私にくれたもの
この今生の唯一の
死ぬまでの道筋
あなたが私に揺れたこと
あの瞳を見ても
信じなかった
あなたが私を押し戻し
私はあなたを整えた
さて 晴れ舞台は雄々しくひとり
甘い美酒も
うつくしい心も
供にはできない
ただひとり
あなたが私にくだいて見せた
この唯一の今生の
さいごにふり向いた
あなたの瞳が私にあった


アザミ

やさしいひとになりたいと口付けて
そっと頬を下った
あなたになりたいと舌を出して
その腹の底をなめた
あしたがどうか平等でなく
百光年を後もずっと
でこぼこの自分を歩いていたい
あきずに笑って
激流になって泣いて
あたたかな皮膚につらなって抱いて
私は病み足りないとそっぽを向いて
ずっとずっと
この髪が流れる先を愛しているよ

このまま

私は死者で
あなたは信者
でも
私はいかさまで
あなたは誠実
そして真実を振る舞う

私は孤独の味を占め
あなたは行先をあたえる
ただ
風の手を引いて
川の足を整え
あなたは私の喉に指を這わせる

私はねじれることもできず
あなたは委ねることを知らない

宝物にならない

わたしはかれを 宝物にしたくない
ところどころ棘が突き出し
その先端の彩りが光をくすぐり
やわらかでふといくきと
うつり気に風をかわす薄い葉
かすれた声で その名を答えた
かれは ちいさなくつろぎ
わたしはもてなし
わたしはつくろいあった両手で
その首を包んだ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?