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焦がれる状態

焦がれる、という状況に陥る時があります。

物語りに、
人に、
どうしようもなく、
熱病のようにひたすらそのことを考えてしまう。
恋のように温かくなったり、華やぐことは無い。
ただただ、
そのことに触れたい気持ちで心が集中を切らさない状態になる。
それを焦がれる、だと私は思っています。

十代の頃は、本当に苦しかったのです。
この状態になることが。
だって、どう頑張っても手が届かないものにしか焦がれないのですから。

物語りなら、その世界のあらゆる人々を空想し、
感情を追いかけ、
触れられるすべてに嫉妬するように愛が垂れ流されていくのを止められない。
自分で制御できないほどに、その気持ちが自分の心を引っ張っていくのです。
あの世界に重なりたい。
それをどうにか可能にしようと、つよい風が吹き、押し流すように込められる力は一定方向に向かい続け、時間が経つごとにさらに量を増していきます。
まるで狂気に片足を踏み入れているような、
恐ろしい感覚で生きていく。

この足元が空虚になり、
五感のすべてが見えない世界のほうへ伸びていくのです。
恐怖で叫び出したかったのだと、
今になればわかるくらい、
混乱した気持ちで私はその中にいました。

それは意図してはやってこない。
突然に、前触れもなく、接触した瞬間に全てはこのためだったのだと感じる。

今でも、
私は時折焦がれる状態に陥ります。

寝ても覚めても、と言いますが、本当に起きている間中その世界に触れていようと感覚が動き、ちっともいうことを聞いてくれないので、
実際とても困ります。

なのでできるだけそうなりそうなものには触れないでおこうとしているのに、そんなにうまくはいかないものです。

みなさんは、焦がれた状態になることはありますか?

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