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感覚への負荷が多大な映画週間

一日に一本ずつ、三本の映画を観ました。
午前の一番はやい時間で鑑賞したのに、三本ともまま時間が長めだったので終わるころにはお昼を過ぎてました。
朝、子供を送り出し、洗濯や後片付けを終わらせて、
鑑賞後に買い物をするのかをメモを確認して、
いざ出発。
帰ってきて、お昼をとって、そこからだいたい体が限界をむかえてじっとしている午後がやってきました。
そんな三日間。


ここからはネタバレが多少あります。
お気をつけてください!

一日目、『死刑にいたる病』

あらすじ
理想とは程遠いランクの大学に通い、鬱屈した日々を送る雅也(岡田健史)の元にある日届いた1通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村(阿部サダヲ)からのものだった。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうちの9件の事件で立件・起訴、死刑判決を受けた榛村は、犯行を行っていた当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていた。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人は他にいることを証明してほしい」。榛村の願いを聞き入れ、雅也は事件を独自に調べ始める。そこには想像を超える残酷な事件の真相があった――
Filmarksより

映画館で予告を見てから、絶対観たいと思っていた映画。
阿部サダヲさんがもともと大好きなのですが、
この方優しい役をしていても、ひょうきんな役をやっていても、
その目がすべてをさらしていない感じをずっと感じていました。
阿部さんが殺人鬼の役をやったら絶対観たい。
だからずっとそう思ってました。
どちらかというと、逆に、もう殺人鬼やってた気になってました笑
そしてこの役柄、原作を読んでいないからなのかも知れませんが、
すごく阿部さんにあってる!!!と思いました。

観ながら、この榛村という人が殺人に(彼にとっての)救いというのか、生き甲斐になったのかを、ずーっと考えながら観ていました。
母親の爪がきれいだったことが、まず最初に子供たちの爪を全部取り去ってしまうことに繋がったのだろうけど、じゃあ、その母親とは何があって離れることになったのかを想像していました。
爪を保有することで、子供たちを所有している気持ちになっていたんだろうな。母親を、所有したかったのか、所有されていたことへの反抗心なのか。
何があったって殺人も拷問もするものじゃないんですが、
彼にはいったいどんな節理が備わっているのかを考えずにはいられませんでした。
何かを選択することは、その選択から歩んでいくこれからに爪が食い込むことだと思います。
その選択の瞬間に榛村は関わろうとしている。そしてその後のすべてでそれぞれの頭の中に存在していくことになる。
それもまた『死にいたる病』を感染させていくことになるってるんじゃないかなと。
このタイトルについて考えるのもとても楽しい。いろんな人の感想読みました。


二日目、『シン・ウルトラマン』

あらすじ
次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】があらわれ、その存在が日常となった日本。
通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。
班長・田村君男(西島秀俊)、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)、非粒子物理学者・滝 明久(有岡大貴)、汎用生物学者・船縁由美(早見あかり)が選ばれ、任務に当たっていた。
禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。
禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、神永とバディを組むことに。
浅見による報告書に書かれていたのは・・・【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。
Filmarksより

『シン・ゴジラ』が面白過ぎたので、それを期待して観に行きました。
私はウルトラマンとは全く関わってこなかったので、見る前に何本かYouTubeで知識を仕入れてから観ました。
冒頭の禍威獣との交戦記録は、早過ぎてあと二行くらいのところで次に移ってしまって、うわっ!!となりました。
でも『シン・ゴジラ』のときも分からなくても観てられる情報が夥しく流れていくのを面白がれたので、ここら辺は面白いな、とみてました。
でも暫くして、あ、これは『シン・ゴジラ』とは違う感じだ、と感じました。
監督たちの大好きな、崇拝している特撮の、ウルトラマンのことを自分たちでもう一度再編、または再構築した映画なんだろう、と。
あとから全部ウルトラマンはCGだと知ったのですが、
わざと着ぐるみのような禍威獣や、おそらくオリジナルのままなんだろう音楽、戦闘の描かれ方に、日常パートの映像とのちぐはぐ感があった気がします。それが面白くもあったのですが、映画のなかに入り込み切れなかったように思います。
長澤さんの巨大化や、その他の描かれ方が良くないというコメントもいくつか読みましたが、私はそこまで考えて見られませんでした。
それよりも何話かをぎゅぎゅっとひとつにまとめた感じがつよく、
後半の外星人のキャラクターはとっても面白いのに、それがいいところでぶつっと切り離される感じが残念でした。
ラストは、ドラマのラストを変化させていると読んだのですが、もう少し時間をかけて描いてほしかったなと。
ウルトラマン初心者の私は思いました。
映像の精度のちぐはぐ感は私にはわからなかったですが、スマホでも撮ってたときいて、ああだからこんなアングルが叶ったんだな、と納得でした。
いろいろ思いましたが、やっぱり面白かったです。

三日目、『流浪の月』

あらすじ
雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。が、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて…
Filmarksより

今日観てきました。
監督の『怒り』『悪人』がとても好きだったので、絶対観ようと決めてましたが、解雇の問題が解決しないと観られないかもな、、、と考えてましたが、無事観られました。うれしい。
原作を三分の一ほど読んでの鑑賞になりました。
そのくらい読んでいたのが良かったのかなと思います。
先が分からないことと、描かれなかった更紗さんの両親との輝くような黄金の自由な時間を読んで頭に描けていたことが、いい感じに補完しあってくれたように思います。(まだ小説を読み終えていないので、本当に最善だったのかはわかりませんが)
もう、役者さんたちの素晴らしさは言うことなし以上のものだったと思います。あのひとりひとりの中に、あの場所までの時間がきちんと積み重ねられていて、その頭の、体の中で物事が受け止められて、思考されていることが伝わってきました。
更紗さんの少女時代を演じている方が、本当にすごくて、時間軸がいったり来たりしますが、少女の頃のことなのか、現代のことなのか一瞬分からないくらいでした。それくらい、同質のものになっていました。
光の加減、カーテンの揺れる部屋の空気の感じ、靴音が響く階段、コーヒーの豆を挽く音やお湯が沸く音、あの世界を構成するもののひとつひとつが丁寧に置かれていて、没入感がものすごかったです。
ラストの、二人の関係が恋愛へと結実した、と描かれなかったことが本当によかったと思います。私は恋愛ではない、でも確信をもって心を通わせている関係性がたしかにあると知っています。それがひとつかたちになった。そんな映画だと思いました。

どれも観ている間がっと肩に力を入れて観たので、本当に午後はぐったりでした。
でも本当に映画館で観る映画は最高です。

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