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いつか朗読になるかもしれない類の

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自作の詩を読み上げたものを、ぽつぽつと。
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#詩の読み上げ

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『だきしめる』

花になったら
あなたに摘ませてあげる
ちいさなコップに
空気を泳がせて
眠っても ちいさな歌を歌ってあげる

星になれたら
あなたを育ててあげたい
忘れるほどちかくで
生から死まで泳ぎ切れるよう
足もとを支えていよう 我慢強く

静寂に溶けたら
森に棲みついて
あなたの影を待ってみようか
えぐれていくところに沈み込んで
痛い痛いを吸い込みながら

風に乗った小さなあなたも
あしあ

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『わたしの肌を織る』

花には成れなかった
黄金の鱗の魚にも
透けた羽を震わせる虫にも
私は成らなかった

あなたは
嘘の正直なひと
真っ直ぐに笑い
平らかに口を開いていた

蓮の葉には乗れなかったし
虹の欠片は落ちてはこなかった
猫の瞳の中には街灯は灯ることはなかった
だけど あなたの言葉はほんものだった

私に触れた魔法は生きている
この耳を撫ぜた風の声を捕えることも
遥かに遠い宇宙の足音さえ

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