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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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2023年7月の記事一覧

「書く支度」(詩)

わたしは 書くことを汲み上げて ここに生きる 喜びが あたたかいのは あなたの手が ぬくも…

とし総子
11か月前
7

「月のように」(詩)

いつか あなたに辿りつく 私を いつも 月のように見ていてほしい 寄り道も 駆け足も 逃走の…

とし総子
11か月前
7

「つくりごとのあいの手」(詩)

物語りが成ってくれた  白い手 もう これで すべては私の手の平 私は 協力者で 調停者 そ…

とし総子
11か月前
8

「ことばと両手」(詩)

全然 言うことを聞かないことば ふりむいて わらう足おと 二文字つかまえても もう五行先ま…

とし総子
11か月前
6

「あの満月」(詩)

あなたは満月 底にぼやけた光を溜めて したたって 落ちる それはわたしの目を焼くと言うのに

とし総子
11か月前
8

「うつくしい断崖」(詩)

広々とした水の端にそっと立ち並ぶ やさしいかべ 指の先で押し出すと 分かっているよ、と解け…

とし総子
11か月前
6

「ふくらはぎを噛む」(詩) 

わたしに 触れて 分かったはずだ わたしの目に 嘘は枯れず わたしの声に 鱗はまだ少なく わたしの胸のふくらみの陰で 夜はかなしく濁りはじめている あなたの言い草に付き合った 私を見ただろう あなたが突き刺す雲の幼さが やがて大雨を吐き出す わたしの病んだ片手が どれほど大切にしたいものなのか 踏みつけた足裏にやぶれず固く あなたはうまく怯えていた わたしの不都合は この手には無い ふくらはぎを無邪気に 噛みつらぬく 人の歯は まるで赤子のようだった

「しずく」(詩)

しずくは つらなって 光となり 時間のなかにわかれわかれになり そして 素直なまま 暗闇の前…

とし総子
11か月前
10

「散華」(詩)

めめしいな とどめだな はしからまるまって こんこんと わたしがわらいながらといだのだ おぼ…

とし総子
11か月前
9

「白い手」(詩)

この手は白い手 どこより生まれて ここに生えたの わたしの手 うまく運べ そつなく折れて か…

とし総子
11か月前
8

「川の衣」(詩)

今日も 穏やかに流る どこまで運ばれたのか 水底の小石では測れず 空気に膨らむ魚の口では 透…

とし総子
11か月前
9

「静かな水際」(詩)

雨音の木霊 静けさは絹の香りをひるがえし 重たさを満たさず肩にかさなる ああ ねむりたい …

とし総子
11か月前
8

「あつまれの合図」(詩)

わたしは 元気な気もするし 元気な振りをしている気もする どちらが どれくらい ほんとうの私…

とし総子
11か月前
10

「どこにもない背骨」(詩)

どこにもない背骨 あなたの記憶は 液体に解かれ 白く透明に波を受ける 誰も目を開けないのね 見えないことを感じない世界で いたわりあうのには 丸い爪先でも  傷つくの 喉に染みをつくる小骨 痛みを啜って 明るく回れ とどめが覚めない 別れは綻びの先に揺れているのに