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単独親権獲得までの道のりは大変だったけど、実はとても簡単な事だった。
2010年秋口くらいから始めた親権裁判。2012年始め頃に、わたしが「息子と一緒に住める権利」「育てる権利」があるプライマリー親権を得ました。
息子のアメリカのパスポートは片親でも申請できるのか?
わたしの疑問は、ただそれだけでした。
というのも、旦那との関係がだんだんと怪しくなっていくにつれ、彼に何かを頼むと「やって欲しければお金をオレに払え」と言い出し始め。わたしもわたしで「だったらアンタにゃ頼まないわ! わたし一人でやるわ!」と売られた喧嘩を買っていったのでした。
でもパスポート申請は別次元のお話です。必ず「両親揃っていないといけない」と法律で決まっていることです。
もしも旦那に頼んだら?
きっとお金払えって言われるよね?
払っても当日に郵便局まで来てくれるかな?
ぜったい来ないよね?
だってわたしのこと「オレを騙して偽装結婚して永住権取った女」って恨んでいるんだから、来るはずがない。わたしが困ることやりたがるはず。
そういう風に思っていたので、どうしよう、どうしよう。誰に訊けばいいんだろう? とずーっと悩んでいたのです。
これって今考えると、心理的DVじゃない?
別居しているのに、そういうDVを知らないうちに受けているって……。
日系の旅行会社に訊いたこともあります。
アメリカ生まれの息子は日本のパスポートは持っていたので、それでどうにかなるんじゃないのかと思って。
「息子はアメリカ人とのハーフで、日本のパスポートは持っています。日本へ入ることはできると思いますが、アメリカに日本のパスポートで帰ってくることはできますか?」
たしか、こんな風に訊いたように思います。
「日本へ入られるときは、日本のパスポートで。アメリカに入るときは、アメリカのパスポートで入ってもらいます。つまり、国籍のある国に入る時はその国のパスポートで入ることが国際条約で決まっています」
国際条約!
でも、確かにそうです。
息子はアメリカ人でもあるので、アメリカから日本へ行くときは、アメリカのパスポートで出て,日本のパスポートで日本に入ります。もちろん、日本へは旅行であるので、アメリカのパスポートだけでも平気でしょう(そういう話をたくさん聞きました)。基本はこんな感じ。
それを日本のパスポートでアメリカを出て、となると……
ーあれ? じゃあ、どうやって滞在しているの、アメリカで。いつ入国したの?
ーいえ、あの、アメリカ人なんです。
ーアメリカのパスポートは?
ー持っていません。
持っていないんかい! と誰かから突っ込みされそうですが……。
確かにこれは誰にも納得されない。
そもそもプライマリー親権って何よ? よくわからない!
と、だんだんたら腹が立ってきて、弁護士をやっている友達の旦那さんに訊いたこともあります。でも、専門外だったようで、単独親権とほぼ同じ権利だと言われました。「ほぼ同じ)というのは、やっぱりちがう? 日本人の離婚専門弁護士事務所に連絡しても、あまり聞かない親権のようでいまいちハッキリわからないと言われました。
ぐるぐる悩んでいても仕方がない。
わたし1人でも息子のパスポートが申請できるかできないか、やってみよう!
ということで申請してみましたが、案の定、こんな返信がきました、パスポートを取り扱っている部署から、
申請したいのであれば、旦那の許可レターを追加で90日以内に送れ。
そんなレターぜったい書いてもらえない!
お金払えって言われる!
いやいや、そもそも旦那と話しなんてしたくない!
そんな考えがよぎり、結局申請料金を無駄にしました。
もしもその時に頼んでいたら、また違った展開になっていたかしら?
多分、なっていないでしょう。
当時の彼は、とにかく「かわいさ余って憎さ百倍」というのか、わたしへ復讐ではないけれど、わたしがやりたいことをいかに断念させるのか、ということに力を注いでいたように思います。
ところでニューヨーク市では、毎年春と秋にある日本人コミュニティー主催のヘルスケア週間というのがあります。だいたい2週間から3週間ほど開催されるのですが、その時に、無料で弁護士さんに相談することができるのです。
そこでわたしは申し込み、弁護士さんに訊きました。プライマリー親権とはいったいなんぞや? と。単独親権とどう違うのか、と。
↑でも書いたように、プライマリー親権と単独親権の違いをこの時に教えてもらい、やっと理解したのでした。多分、プライマリー親権を取ってから3年近くの月日が流れていたはずです。
ではどうやって単独親権を取ればよいのか?
それに関しては時間がなくなり、その先生の名刺をいただいて、その時の無料相談は終わりました。
はー、ため息をついて途方に暮れていたら、ある日、すごい偶然が起こったのです。
当時わたしが働いていた日本食レストランに、息子の弁護士をされた方が来店されたのです!
わたしはすっかり忘れていたのですが、弁護士さんはわたしのこと、覚えててくださって。その時に「何か相談があるのなら、連絡して」と言われたので、忙しいにも関わらず他の従業員に少し時間をもらって、その方に自分の状況を説明しました。
「裁判所からもらった手紙を送ってくれ」と言われ、メールアドレスをいただきました。
家に帰り、手紙を添付して送ったら翌日には返事が来て「家庭裁判所にいって、もう一度裁判をしなさい」と書かれていました。
翌日、仕事を早退けして家庭裁判所に行き、単独親権が欲しい、来年(2016年)の夏には日本に帰りたい、親が孫である息子に会いたがっている、と伝えました。
受け取った方が優しい人で、わたしの名前をコンピューターに入れると、過去の裁判データーが出てきます。すると「裁判申請、明日にしましょう。前回あなたの裁判を担当した裁判官が明日来るから、彼女にしてもらいましょう」と行ってきたのです。
確かに同じ人の方が良いわ。心理的に。
という事で、また翌朝戻って申請して、2015年の秋が深まりつつある中で、新たな裁判が幕開けたのでした。
裁判の日、わたしが単独親権を得ることについて旦那は反対しないだろうと思っていた。でも彼は「同意しない」と言い切ったのです。
わたしはもちろん驚いたけれど、わたし以上に驚いていたのが裁判官でした。そして彼女の口から出た言葉は、わたしをもっと驚かせたのです。
「わたしは前回の裁判の時に、彼女(あきつ)に単独親権を与えたかったのよ」
えええええ!!
あなたはメインの裁判官なんだから、それを押し進めていてくれてたのならーーーーー!
どういったシステムなんだろうー!
なので、彼女は旦那が、あーだこーだ、なんだかんだと言ってもピシャリと跳ね除けて、その場でわたしに単独親権を与えてくださいました。と同時に「彼女は息子の単独親権を保持している。息子のパスポートを作る時は彼女1人でも申請できる」ということを、わざわざ手紙に付け加えてくれたのです。万が一息子のパスポートが申請できないことを考慮して。
こうした私は晴れて、無事息子の単独親権保持者になりました。
あの苦悩した月日はいったい何だったんだろう? と、本当に思いましたね、家庭裁判所を出た後。
それとも「その時」がそのタイミングだったのか。
ちなみに、なぜ旦那がわたしが単独親権を取ることに対して同意しなかったのか。
彼曰く、わたしに単独親権を与えたら、日本に帰ってそのままニューヨークに戻ってこないと思う、そうしたら息子に会えないと思うから、と言っていたのです。
が
そこで裁判官目を丸くして「あなたは過去2年半の間に1度も息子に会っていないのに、そういうことを言うの?」と。
そこからわたしに単独親権を与えたかった……という話になりました。
さて、単独親権をもらって「はい、お終い」ではありません。実は旦那のための「面会権」ついての裁判が、その後から始まったのでした。
どういうことかと言うと、住む権利や育てる権利、はたまた息子の将来について諸々に関してはわたし一人で決められるけれど、お父さんには息子に「会う権利」つまり「面会する権利」があるんですよね。
それが「面会権」。
わたしが「彼は息子にとっていい父親じゃないから会わせたくない」とは言えないんです。
そういう所がアメリカらしいというのか、2度と顔を合わせたくない人とまた裁判所で会わないと行けないのかと思うとストレスマックスになるというのか……
人権って何でしょうね?
それに関しては、最後の最後に向こうが3回連続ですっぽかすという、とんでもないことをやりまして、結局強制終了。本人としては「会いたい」気持ちはあるらしいけれど、そんなことをされてはね……
ということで「面会をいつするのか」。
これに関しては未だにそれに関しては決まっていないという状況です。
ということで、白髪を増やしながら、関係ないストレスを自分にあえてかけていた「単独親権取り」というミッションは、こうやってあっけなく終わったのでした。
2006年生まれのアメリカ人とのハーフの男の子のいるシングルマザーです。日々限界突破でNY生活中。息子の反抗期が終わって新しいことを息子と考えています。