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ホラー映画の「ドーーーーーン!!!」にキレている

もういい加減やめてもらえないだろうか。

何度も言うがあれはホラーじゃなくて「ビックリ」なのだ。


「夏は涼しくなりたいな」なんて言ってホラー映画を見るや否や、濡れた髪に青白い肌の怖すぎるお化けのドアップと共に音爆弾のようなドーーーーーン!!!


あれがもう死ぬほどビックリする。いや多分コンマ単位で一度死んでる。

心臓がキュってなって鳥肌がブワっとなって、小便ちびり散らかす。

たまらなくあの瞬間が嫌だ。ビックリ映像ビックリ体験、ビックリ、ただの。




ある日映画を見る。




映画「いいか...開けるぞ...開けるからな?ドア開けるからな?」←黒板を引っ掻いたようなクソデカBGM

僕「ウ゛ッ!!!!!」←目を細めて衝撃波に備える


ガチャ!!!!!←クソデカSE


映画「なんだ...誰もいないじゃないか...」

僕「...助かった...のか?」←徐々に目を開けていk


ドーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!(確実なる死)




頼むからいい加減にしてくれないか。

これじゃまるでボクシングである。




僕は怖がりたいのであってビックリしたいワケじゃない。こう何と言うか、とにかく背筋をゾゾゾっと凍らせたい。稲川淳二の「怖いなぁ怖いなぁ」みたいな怖さが欲しい。

それに比べてドーーーーーン!である。誰が好き好んで喪黒福造と一戦交えたいのだ。魔の巣に帰ってくれ。


ここでいうパンチやキックは「ビックリ」であり、僕はそれをもろにくらわないようクッションや瞼などで視界をガードする。だが監督もバカじゃない。あの手この手で僕の不意を突いて攻撃しようとしてくるのだ。




見えない角度からのフック!ジャブからのアッパー!

すかさずクッションバリア!すかさず耳塞ぎ!


テクニカルなデンプシーロール!一撃必殺!コークスクリューブロー!

奥義!見ざる!聞かざる!ファイブ・センス・シャットダウン!(五感遮断)


ドーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!(確実なる死)




努力も虚しく、ホラー(ビックリ)を知り尽くした監督の攻撃に凡人の僕が勝てるわけがない。まんまと術中にハマり手の上で転がされ気が付くとスプラッシュ。嗚呼いつもの日常がやってきた。




この攻防を見てみなさんはどう思うだろうか。みなさんもホラー映画を見る際はスプラッシュしないようにあれこれと対策するだろう。

さきほどのクッションバリア然り、タイムストップ(一時停止)、花束摘取(トイレに行く)などの技をくりだしたりするだろう。


しかしそれは純粋なホラーだと言えるのだろうか?

映画を媒介とした監督とのボクシングなのではないだろうか?

そして悪戯に監督をニチャらせてないだろうか?




今決めた。


ビックリさせてくるホラー映画を「ファストホラー」と名付ることにする。手軽に恐怖を味わいたい人が摂取するハンバーガーみたいなホラー。添加物に塗れた脳及び心臓破壊マシーンことファストホラー。早死に間違いなしだ。


誰だっていつ割れるかわからない巨大風船の真横で身動きできない状態ように拘束されたら、それを割るヤツが監督だろうがババアだろうがボインなお姉さんだろうがビックリする。

仮にその部屋が暗かったら吊り橋効果で「怖い」と錯覚してしまう、するに決まってる。さらに割るヤツがチクショー!!!と叫ぶ小梅太夫であれば尚ビックリする。間違いなく失禁。寿命がいくらあっても足りやしないだろう。




僕はホラー映画における「ドーーーーーン!!!」単体の技術はそこまで要らないんじゃないかと思っている。それは先ほど風船部屋で証明された。

だがもちろんドーーーン!をどこで出すかに監督の腕がかかっている。そこが面白いところなのかもしれないが、しかしどこまでいってもドーーーン!はドーーーン!だ。

ドーーーン!はどうしたってビックリなのである。


そんなことを以前友人数名に伝えてみたが、全員鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。口を開けば「それも立派なホラーだよ」だ。今度はザコシショウの風船部屋にぶち込んでやろうか。

それにしてもこの行き場のない感情を吐露できる場所があって良かった。ブログってやっぱり良いものだ。




とにかく僕がこのブログでみなさんに伝えたいのは、「ホラー≠ビックリ」ということ。これだけは譲れない。そしてゾゾゾっと背筋を凍らせてくる稲川タイプの映画があれば、是非夏が終わるまでに教えていただきたい。

その間、僕はこの濡れた床をどうにかしないといけません。それではこの辺で。






【あとがき】

ビックリするタイプのホラーを「ジャンプスケア」っていうみたいですね。ビックリ要素のあるホラー映画に「※この映画はジャンプスケア系ホラーです」っていう注記をしてほしいと切に願うばかりです。

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