コラムの裏側 世界一のラグビー少年
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コラムの裏側。準決勝のファフ・デクラークからAnother Story.
キックオフまで1時間を過ぎた頃、小雨が降るピッチに一番で現れた。ブロンドヘヤーをなびかせながらボールを片手にランニングを始める。
爆音のミュージックとスタジアムDJの客いじりが響くスタッド・フランス。ファンたちの声に笑顔でサムアップ。その距離およそ20メートル。フォトポジションからでも聞き取ることが難しいような小さな声も、決して逃さない。集中しながらも、周りがよく見えている。
この日も後半からピッチに立つと、南アフリカのギアをトップに入れ、イングランドペースで進む試合の主導権を奪った。うさぎのように飛び跳ね、駆け回る姿に、シャッターをきる指が踊る。どこまでも見るものを楽しませてくれる被写体だ。
試合後、誰よりも先にファンの元へと駆け寄り記念撮影に応じる。「ファフ」「ファフ、ファフ!」「ファァァーフっ!!」と鳴り止まぬ黄色い声。時間の許す限り、渡されたスマホでシャッターを切る姿が印象的だった。
ピッチへと戻ると、イングランドの21ダニー・ケアーとジャージーの交換、スタジアムを回り終えた頃にはなぜか履いていたハーフパンツがなくなっていた(白いスパッツ越しにおなじみの南ア国旗パンツが透けて見えた)。
きっとファンにせがまれてプレゼントしたのだろう。どこまでも純真なラグビー少年でありながら世界トップのラガーマン。その存在はチームにとっても、ファンにとってもとてつもなく大きい。
いよいよ決勝戦だ。その前に3位決定戦だ。最高だ。
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