人のために"尽くし切りたい"若手美容師の流儀。hair salon aki(ヘアサロン アキ) 菅原晃
ドン・キホーテ秋田店内にある「hair salon aki(ヘアサロン アキ)」。白を基調とした店内は、誰もが気軽に訪問できるようにという、店長のこだわりが反映されています。
買い物ついでに立ち寄れる利便性の高さと、あらゆる髪型に対応できる技術力により、幅広い客層から支持される美容室です。
この店舗を取り仕切るのは、店長の菅原晃(すがわら あきら)さん。今回のあきたびじょんBreakでは、「美容師としてのこだわり」や「ヘアサロン経営への思い」を取材しました。
《名前》菅原 晃(すがわら あきら)
《年齢》27歳
《出身》秋田県秋田市
《経歴》秋田県立新屋高校卒業後、美容師を目指すため専門学校で知識を学びつつ、千葉県の美容室で勤務。専門学校を卒業後は「自分の知らない世界を知りたい」という好奇心からヨーロッパで修行(2016年)。現地のバーバー(理容室)で経験を積んだほか、バックパッカーとして各地を周遊した。帰国した2017年に「hair salon aki」店長に就任。
誰をも受け入れる美容師に
― ドン・キホーテの中にある美容室、いろんな年代の方が訪れそうですね。
小さなお子さまからご年配の方まで、あらゆる年代にご利用いただいています。男性のお客さまも多いですね。
ここはファミリー層が訪れる建物で、駐車場も無料。立地がすごくよかったなと感じています。買い物ついでに、ふらっと立ち寄って「元気?」と顔を出してくれるお客さまもいるのはうれしいです。
最近では、外国人のお客さまもよく来られますね。
― 日本人とは違う髪型の方のカットは大変じゃないですか?接客もどうしているのか気になります。
実は僕、ヨーロッパで美容・理容の修行しているんです。そこで学んだ知識と経験があるので、外国人の方相手のカットも接客も大丈夫ですよ。海外仕様の道具も一通りそろえています。
<0ミリまでカットできるアメリカ製のシェーバー>
<ヨーロッパのバーバースタイルにも対応可能>
いろんなタイプの美容師がいますが、僕が目指すのは、「客層が偏らない美容師」です。プロとして、どんな人でも理想の髪型をかなえてあげたいし、お断りしたくもない。もし、外国の方が来店したとき、「英語を話せないし、外国のカットは分からないので」と断るのは違うなと思うんです。それが、ヨーロッパへ行った理由の一つですね。
プロとして、人として。
― 菅原さんはもともと、美容師を目指していた?
中学生の頃から、なんとなく「美容師になろう!」と思っていました。親戚が美容系の職に就いていたことが、大きなきっかけですかね。ちょうど、男性の美容師が増えてきた時代でもあったので、目指そうと。
― 海外で経験を積むことは、ずっと意識していましたか?
僕は最初、千葉県の美容室で働いていたんですが、そこのオーナーがパリコレクションのヘアメイクを担当していまして。仕事で海外出張によく出向いてたんです。オーナーが帰国すると、パリコレで使った技術をみんなに公開するのがいつもの流れ。時折してくれる土産話は、僕の知らない世界のことばかりで、興味がそそられました。
<千葉県の美容室に勤務していた頃(コンテスト時)>
オーナーから海外での体験を聞いて、日本では見られない技術を目の当たりにしていくうちに、「海外ってすごいな」と思うようになりました。それから「僕が知らない世界を見てみたい!」という好奇心で、ヨーロッパで修行することになります。美容師としてだけでなく、人として、いろんな体験をしてみたかったんです。
<菅原さんがイギリスで勤務していたバーバー>
<お世話になったスタッフと>
― ヨーロッパでの一年間を経て、得たものはありますか?
スタッフとお客さまが「お互いを尊重しあう」という、海外ならではの精神に、学ぶものがありました。イギリスで勤務していたバーバーのスタッフは、接客中に携帯をいじる、突然「腹が減ったからご飯食べてくる!」と言って外出するなど、日本では考えられない行動をとっていました。それでも、お客さまは怒らず、じっと待ってて...。
― 日本だと、ありえない光景ですね。
ですよね(笑)。そんな光景が見られるのは、スタッフとお客さまという関係以前に、人として互いを大切にしているからなんだと思います。サービスを提供する人と受ける人、お互いが気持ち良く過ごせる関係であれば、それに越したことはありませんから。
一生懸命になること
― 「お互いを尊重しあえる関係づくり」には、コミュニケーションが不可欠ですよね。
その通りです。僕の場合、相手の言葉遣い、声のトーン、ファッションなどを観察し、その人を知ることから始めます。そこから声のトーンを合わせたり、反応をうかがったりしながら相手に合わせて、関係性を構築していきます。僕がカメレオンになるイメージですね。
― それって、とても難しいことのように思いますが...。
最初はそうかも知れないです(笑)。なので僕以外のスタッフには、コミュニケーションどうこうよりも、まずは「お客さまのために一生懸命になる」よう指導しています。それに慣れてくると、相手の行動や言動を観察し、うまくコミュニケーションをとる余裕が出てくるんですよ。なので、まずは一生懸命にやろう、と。
― ほかに意識していることはありますか?
「接客マニュアルは作らない」ですね。コミュニケーションに慣れていないスタッフには大変だと思います。ですが、お客さまは十人十色。そう考えると「こういう場合はこうすればいい」というマニュアルは通用しないことのほうが多いんです。むしろ、マニュアルがないことで、相手のことをよく考え、その方にとってベストな対応ができると思ってます。
人のために"尽くし切る"
― こちらで、ヘアドネーション(※)のためのカットにも対応していると聞きました。
※ヘアドネーションとは?:脱毛症や無毛症、不慮の事故、小児がんなどの治療に伴う副作用により頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛でウィッグ(かつら)を作り無償で提供するチャリティー活動のこと。
はい。当店は、NPO法人「Japan Hair Donation & Charity」(通称ジャーダック)の賛同美容室として、ヘアドネーションに協力しています。ヘアドネーションを希望されるお客さまの髪を切り、束ねて包装し、ドナーシートに髪の毛の情報を記入して、送付用の封筒に入れるまでを行います。後は、お客さまご自身で発送していただくだけです。
<ヘアドネーション前>
<ヘアドネーション後>
当店では、これまで250名以上の方のヘアドネーションに協力しました。子どもたちのために髪を提供していただいた皆さんには、感謝しかありません。
- ヘアドネーションへの協力を始めたきっかけを教えてください。
海外ではチャリティー活動が盛んに行われています。ヨーロッパでの修行中、そういった文化を肌で感じたので、日本に帰ったら何かしたいと考えていました。
それに僕は、「人の幸せを自分の幸せにできる人って究極だな」と思ってて。これを実現するためにも、やっぱり社会貢献活動は必要でした。そこで、美容師の自分ができることとして思いついたのがヘアドネーションだったんです。
― この先、どんなヘアサロンを目指しますか?
福祉の分野で、お手伝いできることがあるんじゃないかと思っています。例えば、ご自宅や施設に私たちが出向く「訪問美容」。店舗でお客さまを迎え入れるだけじゃなく、必要としてくれる人のもとへ出向くサービスなどをやってみたい。もっと美容の幅を広げていけたらと思っています。
僕、「カリスマ美容師」や「有名サロン」といった情報を何一つ知らないんです。そういう肩書には興味なくて、僕やスタッフを求めてくれる人が喜んでくれたらそれでいい...という気持ちで、毎日やってます!
美容師として、人のために尽くし切りたいですね。
【hair salon aki(ヘアサロン アキ)】
《住所》秋田県秋田市旭北錦町4-58
《予約・問い合わせ》TEL 018-862-6115
《HP》https://krkm5872.wixsite.com/hair-salon-aki
【取材・文:秋田ブロガー兼YouTuber じゃんご】https://dochaku.com/
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