みんなと本の話がしたい!秋田県まちなかBOOKリーダー 畠山 彩
秋田市の焼き菓子屋さんを会場に開催されている「本交換day」。自宅にある読み飽きた本を、会場にある好きな本と交換できるイベントです。新たな本との出会いを生む場所として、注目を集めています。
本交換dayを企画するのは、秋田市の畠山彩さん。今回のあきたびじょんBreakでは、「本交換dayを始めたきっかけ」や「畠山さんが考える本の魅力」について取材しました。
《名前》畠山 彩(はたけやま あや)
《年齢》39歳
《出身》秋田市
《経歴》北海道の大学を卒業後、現地の企業に入社し営業を担当。その後秋田に帰郷し再び営業職に就くが、子育てに専念するため専業主婦となる。2018年には「整理収納アドバイザー1級」の資格を取得し、県内各地で「お片付け講座」を開催。年間100冊以上の本を読むほどの本好きで、本交換dayを企画するなど、読書に関する活動も行っている。
新たな出会い!本交換day
― 本交換dayを始めたきっかけを教えてください。
小さい頃から本が好きだったので、整理収納アドバイザーとして活動を始めた後も、本に携わっていたいという思いがすごくありました。とにかく「本を読むことは楽しい!」ということを多くの人に知ってもらいたいという気持ちだけはありましたが、行動に移せませんでした。なので、整理収納アドバイザーの活動と絡めちゃえばいいかもって思ったんです。
片付けが上手になる考え方に、「1 IN 1 OUT(ワン イン ワン アウト)」というものがあります。これは、一つ物を増やすときに代わりに一つ物を手放すという考え方で、家にある読まなくなった本にも生かすことができると思いました。そこから本を交換するというアイデアが浮かんで、本交換を絡めたお片付け講座を実施しました。それが、本交換dayのはじまりです。
― 開催するに当たって、不安な点はありましたか?
自分でイベントを企画した経験がなかったので、前日は不安で寝られなかったですよね(笑)。ですが開催してみると、1時間ごとに1組・2組のお客さんがずーっと入れ替わり立ち替わりいるみたいな状況で。振り返れば会場にはずっと人がいました。
<本交換dayの開催は畠山さんのインスタグラムなどで告知している>
本交換dayにはリピーターが多くて、お客さんの中には持ち帰ってくれた本をまた持参してきて感想を伝えてくれる方もいます。この前は、「お母さんがこられないから僕が来ました!」って息子さんがおつかいに来てくれましたね(笑)。お母さんから「彩さんが面白い本を紹介してくれるから、とりあえず行ってきて!」と言われたそうです。
私にとって本は娯楽
― 畠山さんが本を好きになったきっかけが知りたいです。
母がすごく読書をする人で、その影響もあります。 小さい頃から当たり前のように本を読んでいて。私、今でもほかの娯楽をあんまり知らないんですよ。普段テレビもあんまり見ないし、雑誌も見ないし、ゲームもしない。私にとって娯楽といったら"本"なんですよね。
― どのようなところに、本の魅力を感じますか?
私もいつも「本の魅力ってなんだろう?」と考えるんですが、私はせっかちだから本が好きなんだと思うんです。ドラマとかテレビとかはあっちのペースで進むじゃないですか。だけど本は自分のペースで読めますし、読むのも簡単ですよね。スイッチを入れたりする必要もないですし。
ー インスタグラムには「年間100冊本を読む整理収納アドバイザー」と書いていますよね。年間100冊ってすごいです。
「忙しそうなのに、いつ本を読んでるんですか?」とよく聞かれますが、料理の合間など、ちょっとした時間で読んでいます。私、家の中ではいつも本と行動してて、いま思い返すと、母の生活そのまんまだなって(笑)。母もちょっと休むときとか、ご飯食べて一息のときとか、合間合間のときにずーっと読書をしていました。
ー たいていの人が空き時間にスマホを触る感覚で、畠山さんは読書をするんですね。
本を読むってすごい真面目なイメージじゃないですか。「本を読んでえらいね」とか「真面目だね」とかよく言われるんですけど、全然そんなことありません。実用書やノウハウ系の本はほとんど読まないですね。読むのはほぼ小説です。
― 小説を選ぶ理由はあるんですか?
面白いからです!本当に、私にとって本は娯楽なんですよね。本から何かを得ようとか、高めようという気持ちは全然なくて(笑)。
<インスタグラムには畠山さんが読んだ本の感想がつづられている>
― 畠山さんのインスタグラムには、読んだ本の感想がたくさん書かれていて、その本がとても面白かったんだなという気持ちが伝わってきます。見る度に本が読みたくなってきます!
そう思ってもらえると、とてもうれしいです!本の話って、友達同士でなかなかできないじゃないですか。テレビとかの話はするけど、本の話はなかなかしない……。本交換dayを企画したきっかけには、「みんなと本の話をしたい!」という私の思いもあったんですよね。本交換dayの日は思いっきり本の話ができるんです。本の話しかしない1日なので、すっごい楽しいですよ!
まちなかBOOKリーダーおすすめの本
― 2021年には、秋田県内で読書に関する取り組みをしている「まちなかBOOKリーダー」として、県の公式ウェブサイトで紹介されていましたね。そんな畠山さんがおすすめする本を知りたいです。
もちろんいいですよ!
<畠山さんが紹介してくれた3冊>
最初におすすめするのは、『アンチ整理術』。この本は、「片付けたほうがいい」という常識に疑問を投げ掛けている一冊です。これを読んで本当にそうだなって思いました。片付けている方がいいって、みんな当たり前に思っているじゃないですか。片付いている方が絶対いいんだって、みんな言うけど、「みんながそう言うから片付ける」という思考になっているんじゃないかと問い掛ける本だったんです。私も片付けたほうがいいって、当たり前に思っていたけど、その考え方自体から整理したほういいなって思わせてくれる本でした。
自分の芯が一本通った暮らしが"丁寧な暮らし"なんだと気付かせてくれたのが『これだけで、幸せ』です。私はずっと丁寧な暮らしに憧れてて、目指していたときがあったんですけど、すごくつらかったんですよ。でも丁寧な暮らしって、お気に入りの道具でコーヒーを入れたりとか、ぬか漬けを作ったりとか、そういうことじゃなくて。自分のしたい暮らしをちゃんと見つけて、自分の芯が一つ通った暮らしをするのが大事なんだって、この本を読んで思いました。
『わたしの良い子』は、私の推しの作家さんが書いた小説です。子育て系の小説なんですけど、主人公の未婚の女性が、自分の妹の子どもを育てることになるという内容で。主人公と預かった子どもは、周囲から「どうなのそれ?」という目で見られていて、子どもも一般的に言われるような良い子じゃないんですけど、本人たちはすごい幸せなんです。みんなが言う良い子や幸せは、人によってそれぞれ考え方が違うよね、普通ってどこにもないよね、ということを気付かせてくれた本です。
深く考えないで読めばいい
― 新たに「絵本講師」の資格を取得されたと伺いましたが、これはどんな資格ですか?
子育てをするに当たり、いかに「絵本の読み聞かせ」が重要かを学んで、読み聞かせによって子どもにどういう良いことがあるか、親子の関係にどういう影響があるかなどを伝える資格です。
― 絵本講師として、どんなことを伝えたいですか?
仕事をして、家事をして、子供の送迎をして……。お母さんたちは本当に毎日忙しいんです。その中で子供にじっくり向き合う時間は、ほんの少し。でも、絵本の読み聞かせだったら一冊読むのに数分でできますよね。
忙しいお母さんたちへ向けて、「絵本で子どもと向き合う時間があればいいんじゃない?」という思いを伝えていきたいです。そして、「今日も怒ってばっかりだった」、「何もできなかった」という気持ちを少しでも減らしたいですね。
― 最後に、この記事を読んで「読書を好きになりたい」と思った方は、何から始めたらいいでしょうか。
本は読まなきゃいけないものでもないし、読んだからって偉くなれるものでもありません。でも、読めば面白い。だから、そんなに深く考えないで読めばいいんです。
例えば本屋さんで本を選んで、「これ読みたいな」と思うだけでもいいし、買った本も最後まで読めなくても、1ページだけ読んだでもいいと思うんです。私がインスタグラムに投稿した本の感想を見て「読んだ気になりました」っていうコメントが来ることもあるんですが、それもいいと思います。
お母さんたちの場合、絵本を子供に何冊も読み聞かせしていますよね?みんな絵本を本とカウントしないんですけど、絵本も本です。そこを読書の入り口にして、子供の成長と一緒に文字数が多い本を読めるようになればいいと思います!
【年間100冊本を読む整理収納アドバイザー 畠山彩さん】
《HP》https://mottoakita.com/
《インスタグラム》https://www.instagram.com/_aya027/
【撮影協力:秋田県立図書館】
《住所》秋田県秋田市山王新町14−31
【取材・文:秋田ブロガー兼YouTuber じゃんご】https://dochaku.com/
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