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小さな村に移住したYouTuberたちのリアル。東成瀬村地域おこし協力隊 奈良悠生・内野翔太・倉持和貴

秋田県東成瀬村に住む人々に焦点をあて、村の「魅力」と「未来」について真剣に考えるYouTubeチャンネル「KANAME~要~」。

2020年7月に初めて投稿された動画では、村唯一のわらじ職人の佐々木 友信(ささき とものぶ)さんを取材した様子が公開されています。

<「KANAME~要~」では東成瀬村の魅力を伝える動画が公開されています。気になる方はこちらからチェックしてください!>

この動画を手掛けたのは、2020年に東成瀬村地域おこし協力隊に着任した奈良 悠生(なら ゆうき)さん、内野 翔太(うちの しょうた)さん、倉持 和貴(くらもち かずたか)さん。出身も違えば、学んできたことも違う3人です。彼らはなぜ、秋田県の小さな村で、地域の魅力を発信しようと思ったのか、その志を取材しました。

【第1部】~地域おこし協力隊として~(本記事)
【第2部】~YouTubeチャンネル『KANAME~要~』への思い~(後日公開)


東成瀬村に3人のYouTuber誕生!

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《名前》奈良 悠生(なら ゆうき)
《出身》青森県五所川原市
《略歴》東海大学 生物学部 生物科学科 卒 - 映像クリエイター(東京) - 東成瀬村地域おこし協力隊

― 奈良さんはどのような経緯で地域おこし協力隊になったんですか?

奈良:以前は東京で、YouTuberの動画編集などをお手伝いする、映像クリエイターとして働いていました。都会で仕事をしていましたけど、心のどこかでは「いつか田舎で仕事をしたいな」という思いがあったんです。地元が青森の田舎ということもあったし、映像系の仕事は東京じゃなくてもできる。そう考えていたときに見つけたのが、東成瀬村の募集でした。

― 他の市町村でも地域おこし協力隊の募集はあったはず...。何か特別な募集だったんですか?

奈良:「YouTuber募集!」というものでした。それを見た時、理想としていた田舎暮らしができるし、自分のスキルも生かせるので応募しようと決心しました。

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― 内野さんは何がきっかけでしたか?

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《名前》内野 翔太(うちの しょうた)
《出身》鹿児島県いちき串木野市
《略歴》東海大学 生物学部 海洋生物科学科 卒 - 飲食店勤務(東京) - 東成瀬村地域おこし協力隊

内野:料理に興味があったので都内の飲食店で働いていましたが、東京の満員電車や夜も明るいところとか、どこか合わないな~と感じてて。

奈良とは大学が同じで、お互い東京で働いていたこともあり交流がありました。東成瀬村の募集を奈良から見せてもらったとき、彼の映像技術があれば、この村を面白くすることができるんじゃないか、って思ったんです。気心が知れているので、お互い助け合っていけばいいチームになるんじゃないかって。


― 倉持さんはどうですか?

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《名前》倉持 和貴(くらもち かずたか)
《出身》埼玉県さいたま市
《略歴》日本大学商学部 経営学科 卒 - 映像クリエイター(東京)- 東成瀬村地域おこし協力隊

倉持:東京で映像クリエイターをしていた際、奈良とチームを組んで仕事をしていました。そこで「田舎で楽しいことしてみない?」と彼から話を持ちかけられたのがきっかけです。奈良、内野、僕の3人で東成瀬村の地域おこしに挑戦してみるか!...という気概で、揃って応募しました。

奈良:やっぱり3人一緒なのは、心強いよね。

内野:僕は、この2人がいなければ応募していなかったでしょうね。撮影や企画提案などはできますが、動画編集ができないので。


小さな村へ移住するということ

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<村内の一軒家を3人でシェア。今シーズンの除雪作業はかなり苦労したようです>

ー 人口が約2,500人の小さな村への移住...仕事や生活への不安はありましたか?

奈良:自分たちでクリエイトしていかなきゃ!というスタンスで着任したので、「充実した生活が送れないかも」という不安はありませんでした。仕事でも、自分たちがこの村に何かを求めるというより、自分たちで村を盛り上げていこう!というモチベーションのほうが強かったですね。

内野:秋田の自然を堪能できて、趣味の釣りができる。それさえあれば生きていけると思っていたので、そんなに不安はありませんでした。

倉持:僕は村に来るまで、どんな生活を送っていくのか想像できなかったです。都会育ちでコンビニ、スーパーが近くにあるのが当たり前だったので。

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― これまで約1年、東成瀬村に住んでみてどんな印象を受けましたか?

奈良:移住前のイメージとそんなにずれてない...というのが率直な感想ですね。自然が豊かなところとかは想像通り。

内野:思った以上に雪が多かったです。あと、予想より「人が集まる場所」が少なかった。

倉持:僕はアウトドアが好きなので、自然がたくさんあるほうが楽しいと思えるし、スマホもあるので娯楽の面でいえば不満はそんなにないかな。他の人が不便だと思うことも、自分たちの捉え方次第で楽しいことに変わってきますしね。

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移住者としての不安

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<村役場の一室が作業部屋。動画の企画会議などもここで行われます>

― 動画を撮影する中で村の人と交流することがあると思いますが、最初は慣れない部分も多かったのでは?

奈良:僕たちが地域おこし協力隊に着任したのは2020年の6月で、コロナのこともあり、村全体がかなりピリピリしていました。取材で仕事現場にお邪魔する際、「東京から来ました」と言ったら、村の人たちにどんな反応をされるのかとても不安だったのを覚えています。だけど実際は、皆さん本当に優しくて「東成瀬村ってこんな場所だよ」と村案内してくださったりと、アットホームな現場が多かったですね。

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内野:村の人たちはちょうどいい距離感だな、って感じます。僕の地元の鹿児島はもっとグイグイと来るイメージですが、秋田の人たちは遠からず近からず、ちょうどいい。村といえば閉鎖的なイメージが優先してしまいちょっと怖かったのですが、困ったときは助けてもらってますし、全然そんなことありませんでした。

倉持:外で撮影している際、わざわざ車から降りて「何やってら~?」と興味を持って話しかけてくれたのは嬉しかったですね。最初は、「都会の人お断り!」...なんて思われるんじゃないかと不安でしたが、とても気さくな方が多く安心してます。


外からの目線の発信を期待!

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<東成瀬村役場 企画課 福田 凌央(ふくだ りょお)さんに3人の活動ぶりなどを伺いました>

― そもそも、どうして地域おこし協力隊としてYouTuberを募集しようと思ったんでしょうか?

東成瀬村は毎年地域おこし協力隊を募集していたのですが、なかなか応募に繋がりませんでした。そこで「募集の仕方を工夫しなければ!」と思い2020年度に始めたのがYouTuberの募集です。最近ではYouTuberのような動画クリエイターが増えてきていますし、村の魅力発信の仕方も工夫しなければなりませんでしたしね。

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― 動画のテーマや構成などは、誰が考えているんですか?

「東成瀬村を第三者の視点で捉え、動画にしてもらう」というのがこちらの求めていることなので、基本的に彼らにお任せしています。

― これまでの動画に対して、村の人たちから反響はありましたか?

隊員たちが村民に密着した動画を作っているので、取材を受ける側もありがたく感じているようです。

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― 福田さんをはじめとした職員の皆さんはどう感じていますか?

私を含め役場の職員は、この村の出身がほとんど。なので外からの目線での発信は新鮮に感じています。職員でも知らなかったような細かいところまで取材しているので、動画は地域の魅力を再発見できるコンテンツになっているなと思っています。ただその一方で、村民に密着取材する内容は、子供たちにはなかなか理解しづらいようです。ですからその点に関しては、改善すべき点というか、課題なのかなと思っています。

― 地域おこし協力隊の3人に期待したいことはありますか?

今後は地域密着型のチャンネル「KANAME~要~」の他に、村外にも魅力を広く発信できる別のチャンネルを開設しようという話もあがっています。ありがたいことに、2021年度に募集した隊員も着任することが決まっているんですよ。隊員たちには、反響を生むような動画を継続的に公開し、YouTubeから地域おこしをしてほしいと考えています。

第2部では東成瀬村地域おこし協力隊が手掛けるYouTubeチャンネル「KANAME~要~」を詳しくご紹介します!(後日公開)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(追記)
第2部  "村の魅力"を映すYouTubeチャンネル「KANAME~要~」  を公開しました。ぜひご覧ください。
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【取材・文:秋田ブロガー兼YouTuber じゃんご】https://dochaku.com/

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