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知られざる建設業の世界!現場責任者として活躍する1人の女性の話。菊地建設株式会社 松本有香子

2020年11月、大仙市と由利本荘市を結ぶ国道105号線で行われていた「道路改良工事」。この現場は、由利本荘市の菊地建設が工事していました。

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以前、国道の脇に流れる芋川が氾濫した際に道路が冠水し、長時間にわたり車両通行止めとなったことがありました。今後そのような事態がおきないよう、道路を高くする工事を進めているとのこと。

現場の指揮を執っているのは、1人の女性でした。

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《名前》松本 有香子(まつもと ゆかこ)
《生年月日》1995年4月9日
《出身》秋田県由利本荘市
《経歴》秋田県立本荘高等学校 普通科卒業後、建設業の道へと進む。2019年に「二級土木施工管理技士」を取得し、現在は同社の現場代理人(現場監督)、主任技術者として活躍する。

2017年入社した松本さんはこの現場代理人...つまり若くして、工事現場の責任者として活躍されていました。今回のあきたびじょんBreakでは、そんな建設業の世界で輝く女性にフォーカスします!

女性も活躍できるんです!

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ー 松本さんがこの仕事を選んだ理由は?

小さい頃から図工や技術の授業が好きで、将来はものづくりをする仕事ができればなと考えていました。祖父が大工さんだったということもあって、高校卒業後は家を建てたりする大工さんを目指そうとしたのですが...親に言われたんです。「力仕事だけど大丈夫?」って。

だから大工ではなく建設業に進もうと。

― 今の建設業も力仕事だと思いますが...

それが、私が担当する仕事は全然そうじゃないんです。

例えば私が今やっていたのは、「道路をどれくらいまでかさ上げするか」を調べる構造物の高さ計算。工事が始まる前には測量も担当しましたね。そして私はこの現場の監督も任されているので、作業員に指示を出しています。

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<測量は土地の広さや起伏、位置関係などを計測する作業のこと。工事の事業計画を策定するために必要なデータを収集する>


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<工事の工程、資材の搬入や手配、安全管理などを現場監督が取り仕切る>


工事の現場に向かう前とその日の作業後は、事務所で安全確認をするための「RKYシート」や、工事に必要な図面などを作成しています。現場だけではなく、デスクワークも意外と多いんです。

建設業は男性しか活躍できない!...と思われがちですが、いざ足を踏み込んでみると女性も活躍できるシーンって意外と多いんですよ。

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<事務所でRKYシートや図面を作成する様子>


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<RKYシートを作成したら、必ず作業員たちと共有。危険箇所の特定や不慮の事故をおこさないために行う。RKYはリスクアセスメント(R)、危険予知(K:キケン、Y:ヨチ)の頭文字からきている>


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現場でうまくやるには素直であれ

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― 入社当時、不安はありませんでしたか?

やっぱり最初は不安でしたよ。女性や同年代が少なく、年上の方が多い業界なので。私より年上の方に指示を出さなければいけない場面もありますし...。

でも、入社後に資格を取得したり、経験を積んだりしていくうちに自信がついて、そこからうまくコミュニケーションをとれるようになってきたんですよね。現場監督となった今では、自分の意見をはっきりと伝えることができています。

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<建設現場は1つとして同じシーンが存在しないため毎日が刺激的だと松本さん。常に学ぶ姿勢を崩さず、現在は「一級土木施工管理技士」の資格取得へ向け勉強中とのこと>


女性だから...というハンディキャップはあまり感じていないですね。むしろ、この職種が自分に合っていると感じます。現場監督のプレッシャーはありますが、わからないことがあったら格好いいフリをしないで「できません」、「わかりません」って素直に答え、周りにアドバイスを求めるようにしています。

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<年上とうまくコミュニケーションをとるコツはもじもじせず、ハッキリと物事を伝えること。わからないことがあったら必ず相談し、疑問を残さないよう心掛けている>


かっこいい建設業を広めたい

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― 建設業って女性が働きやすく活躍できる環境なのでしょうか。

働く環境は整ってきていると思いますが、現場で女性が活躍するシーンはあまり見られないのが現状です。そもそも女性が興味を抱きにくい業種、というところにも問題があるのかもしれません。なので今後は「女性でもできるんだ!」というイメージに変えていきたいですね。

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この現場に女性、私1人ですよ?(笑)

だけど毎日楽しいし、自分に合っているって感じるんです。女性でも安心して働けるのに、環境も整ってきているのに、女性の就活で建設業が選択肢にないのがすごく悔しい。だから「女性でも現場で活躍できるんだ!」ということを、もっと発信していけたらなって。

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私は現場監督を任されています。
現場を預かると同時に、みんなが安心して働けるように安全管理も担っています。そんなやりがいのある職種を、かっこいい建設業を、県内外の女性に広めていけたらなと思っています!


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【菊地建設株式会社】
《住所》秋田県由利本荘市大内三川字三川20番地
《連絡》TEL:0184-65-2022
《HP》https://kikuchi-cons.co.jp

県公式Facebook、Twitterにも取材の様子や裏話を掲載しているので、よろしければご覧ください。
【県公式Facebook】 https://www.facebook.com/pref.akita/
【県公式Twitter】   https://twitter.com/pref_akita

県の取り組みをご紹介!

森山さん②

<秋田県建設産業担い手確保センター女性活躍推進担当の森山千恵子さん>

― 秋田県の建設産業で活躍している女性で構成する団体があると聞きました。

「あきた建設女性ネットワーク クローバー」のことですね。クローバーは、地域やあらゆる業種とのネットワーク拡大を図りながら、女性活躍に関する情報発信やキャリアアップを目的とした団体です。現在、県内6地域の女性部が参加しています。

― 各エリアの女性部で活動内容は違いますか?

あまり大きな違いはありませんが、それぞれの女性部で学生向けの見学会や意見交流をするワークショップが活発に行われています。

― クローバーにはどんな人が参加できるんですか?

建設産業における女性活躍の推進に取り組む方であれば、個人・団体問わず誰でも入会できますよ。

<県内の主な女性部>
・平鹿地域「SAKURA」
・雄勝地域「はなこまち」
・仙北地域「HANAMARU」
・北秋田地域「わかば」
・能代山本地域「能代山本アテナ」
・秋田中央建設業協会女性部
・由利建設業協会建設女子会 ※2020年11月24日に設立され、会長には松本さんが就任。

2月交流会記念写真_知事の激励メッセージの後に撮影

<県内各地域の建設業界で働く女性たちが会に賛同し、150名を超える規模となっている>


女性技術者講交流会_現場見学

<八戸市で開催された現場見学会の様子。他にも講演会やワークショップを実施している>


R1よこて建設女子会現場見学2

<「よこて建設女子会」で女子高生向けに実施した現場見学会>


― このキャラクターは?

女性キャラクター_集合

クローバーではオリジナルキャラクター(公式応援キャラクター)をパンフレットや広報物などのアイコンとして活用しています。実はピンクの作業服を着ているキャラクター(写真中央)は、松本さんがモデルなんですよ。

― どおりで!現場で働く女性のかっこよさが溢れてますね。

それぞれのキャラクターが手に持っている機器や服装などは、松本さんをはじめとした現場で働く女性の意見を取り入れて作成しています。見学会に来た際はキャラクターにも注目してくださいね!


建設業で働く女性のネットワーク拡大やスキルアップ活動を行うクローバー。今回取材した松本さんやクローバーの活動を見ていると、最近の建設業の世界では女性もどんどん活躍できる場所になっていることがわかりました。クローバーの活動の様子は、秋田県建設産業担い手確保育成センターのTwitterで確認できます。興味のある方はぜひチェックしてください!

【取材・文:秋田ブロガー兼YouTuber じゃんご】https://dochaku.com/