ゴミ拾いを「神様から褒められる一番偉い行動」と思い込む年商47億の社長が語る、幸せになる秘訣
Dec.28,2022 yahooニュースより
毎夜熱戦が繰り広げられたサッカーW杯。4年に1度の大会のたびに、世界中から称賛されているのが、日本人サポーターによる試合後のゴミ拾いです。
「YouTubeでこの様子を見て、同じ『ゴミラー』として感動しました。私も会場で観戦していたら、きっと一緒に嬉々としてゴミ拾いをしていたことでしょう」
そう語るのは、年商約47億円の会社「プリマベーラ」を経営する吉川充秀さん。会社経営をする傍ら、8年間ゴミを拾い続け、その数100万個を超えるという吉川さんは、ゴミ拾いに絶対の自信をみせます。その活動が高じて『ゴミ拾いをすると、人生に魔法がかかるかも♪』という本まで刊行した吉川さんに、ゴミ拾いをすることで「いいことがある」と断言する理由を伺った。
なぜゴミを拾い続けるのか? 地元では「ゴミ拾い仙人」として知られ、最高ゴミ拾い責任者と自称する吉川さんの万能感溢れる思考を紹介する。
ゴミ拾いで「いいことがある」と断言できる理由
私は今まで8年間で100万個のゴミを拾ってきました。その経験から言えることは、まずゴミ拾いをすると、「いいことがある」と確信を持って思えることです。
私が住む群馬県太田市は人口22万3000人の市です。私はこの太田市を中心に、ゴミ拾いをしてきました。道行く人にはいろんな人がいます。ウォーキングやジョギングに励む人、犬の散歩を楽しむ人、グループで楽しそうに歩いている人…。ところが、今まで日常的にトングを持ってゴミ拾いをしている人を、この太田市で見かけたことは一度もありません。
もちろん、ボランティアで月に一度、数十人で駅周辺のゴミ拾いをしたり、クリーン作戦や会社の大掃除で、町の道路のゴミを拾っている人は見かけます。が、自発的に日常的にゴミ拾いをする人は、いません。群馬県で見つけたのは、群馬県高崎市で、自転車でゴミ拾いをしていた初老のご婦人、その人一人です。それだけ、日常的にゴミ拾いを継続的にしている人口は少ないのです。
すると、確かな確信が持てます。
「この群馬県太田市で、神様から褒められる一番偉い行動をしているのは誰だ? それは、日常的にゴミ拾いをしている自分だ。22万3000人で自分しかいない。ということは、自分は22万3000人のなかで一番いい人なのでは?」と思い込むことができます。
すると、「自分は運がいい」と信じることができ、結果的に運がいいと思われる事象が増えてきます。私たちは、「自分は運がいい」とか「自分には価値がある」と素直に思い込めればいいのですが、学校教育により、「比較」という尺度、「数字」という観点から「証拠(エビデンス)」に基づかないと、思い込むことができない脳の構造になっています。だからこそ、「人口何人中の一人」だと気付くと、思い込むことができるようになるわけです。これが、ゴミ拾いをすると、感じることのできる効用の一つです。この効用をベースに、自分の心に三つの変化が起こります。
自己肯定感が上がる
まず、一つめの変化は、ゴミ拾いをすると、自分のことが好きになります。普通に仕事をして、自分が好きになる人は少ないでしょう。なぜなら、仕事という行為はお金を対価にしています。お金をもらっているから仕事をして当然です。期待以上の仕事をして、「やりきった! お客様に喜ばれた!」と思えるまで仕事をしたら別ですが、多くの場合、仕事で自分を褒める場面は少ないでしょう。
ところが、一円にもならないゴミ拾いのような行為は違います。損得から考えたら、明らかに損な行為です。ゴミを拾おうが、一円も手に入りません。金銭を拾うということで言えば、ゴミ1000個に一つ、ようやく一円玉を拾えるか拾えないかです。私が8年間100万個のゴミ拾いをして、拾った金額は総額で7万4000円程度。2777時間をゴミ拾いに費やしてきたので、時給わずか26円(苦笑)。ゴミ拾いをしても、基本的に一円もお金は拾えないと思ったほうがいいでしょう。
しかし、その一円にもならないことをしていると、そんな自分が「馬鹿馬鹿しいけど可愛く」思えてきます。これが巷で言われる自己肯定感です。自分を可愛く思えて自分が好きになるので、幸せな気分でいられます。ゴミ拾いという行為自体に、金銭的なメリットはありませんが、それを補うに余りある精神的メリットがあると言えばいいでしょうか。
もちろん自己有用感もアップする
そして二つ目の変化は、ゴミ拾いという行為を、もし続けることができたら、「自分はこんなにできた、こんなに拾えた」と思うことができるようになる、ということです。たとえば、多くの人が、子供の頃からよく言われてきたのは「一日一善」。「一つでもいいから善いことをしなさい」と親や先生が私たちに、ことあるごとに言ってきたはずです。
さて、道路に落ちていたゴミを一つ拾えば、一日一善は達成です。そして、もしゴミを100個拾えば、一日一善どころか、一日百善を達成したことになります。これが、「自分はこんなにもできた」という自己効力感です。ゴミ拾いをすると自己効力感が著しく、拾ったゴミの個数の数だけ上がります。
最後の三つ目の変化は、ゴミ拾いという行為は言うまでもなく、世のため人のための行為です。つまり利他業です。自分の落としたゴミだけでなく、どこの誰が落としたかわからないゴミを、どこかの知らない誰かの土地で、拾う行為です。自分がゴミを拾うことで、ゴミが落ちていた道路沿いの近所の家の人は気持ち良く暮らすことができる。公園のゴミを拾えば、多くの人がキレイな環境で過ごせて気分が良くなる。ゴミ拾いという行為で、誰かに喜ばれているという、社会的なつながりを感じることができるようになります。これが自己有用感です。自分が誰かの役に立ったという実感です。まさにお役立ちの実感を得られるわけです。
ゴミ拾いで幸せが感じられるメカニズム
「自信」は、自己肯定感×自己効力感×自己有用感、この三つの掛け算で、できています。ゴミ拾いという行為は、この三要素の一つ一つを引き上げることができます。その結果、自信、つまり自分に対する信頼が培われていき、その結果、幸せを感じやすくなります。
「ゴミ拾いをしている自分って、偉い、尊敬できる。愛しい存在だ」と思えて自己肯定感が上がり、「今日は17個もゴミを拾えたぞ」と自己効力感を実感し、「自分がゴミ拾いしたことで、町がキレイになった、町の人に役立てた」という確かな自己有用感を味わえます。
ゴミ拾いをすると、このように人生に「幸せの魔法」がかかります。ワールドカップの日本サポーターの素晴らしい行為をきっかけに、ゴミ拾いがムーブメントになり、幸せな人が増えると素敵ですね♪
吉川充秀(ゴミ拾い仙人/株式会社プリマベーラ会長兼CGO)
Book Bang編集部 2022年12月26日 掲載