建築学生失格
建築学生として過ごして2年が経つので、ここらで記録しておこうと思う。
建築に興味を持った明確な瞬間がある。金沢にある高校に通っていたのだが、学校帰りによく金沢21世紀美術館などに寄っていた。金沢城や兼六園といった古くから守られてきた場と21世紀美術館は連なり、心地よい都市空間を生み出している。この都市空間を歩き、俺はこの空間を作り出す建築というものに注目し、都市を変えるのは建築なのだと確信し、建築への道を志した。
通っていた高校は県下一の進学校であった。踠いても踠いても周りにいる人々に追いつけやしなかった。教室という単位空間の中で皆が必死に与えられた問題集を解く様を見て俺は心底苦しくなり、何度も逃げ出したことがあった。俺に纏わりつく諸悪は高校によってますます体を大きくしていったが、21世紀美術館のタレルの部屋で空と交信することで諸悪が空に吸い込まれていく感覚を楽しんだりした。
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