見出し画像

効率的に知識を蓄えるための、良本の探し方【業界編】

社会人になって約1年半。
コンサルという仕事柄ももちろんありますが、様々な業界・業務に精通された方とディスカッションさせて頂くにはあまりにビジネスの素養がなさすぎると何度も痛感し、その度に数万円単位で本に投資してきました。

限られた時間で最大の効果を出すには、を考えながら1年間本を読んできた私が行き着いた結論は、本を読む速度や確保する時間の多寡だけではなく、「本を読む順序と本の「質」がモノを言う」というもの。
当たり前に聞こえる結論かもしれませんが、意識してそうするのとそうしないのとでは大違いだと思うのです。

ということで、本エントリでは「本を読む順序」と「本の質の見極め方」について、私なりの考え方を述べたいと思います。
きっと誰もが薄々感じていることなのではないかと思いますが、参考になったら嬉しいです。

本を読む順序は大学時代の勉強方法と同じ

大学時代の勉強では、まず講義を聞いてレジュメを読み、レポートを書く時にテーマを絞ってさらに詳しい書籍に当たる、という順序が基本だと思います。

仕事でも順序は同じで、
①簡単に全体観を掴める本を読む ⇨ ②詳しく述べている本を読む
が一番理解が早く、身につきやすい順序だと思います。

まず全体観を掴まずに詳しく述べている本を読もうとすると、使われている言葉がわからなかったりして、読んでいるときの手応えもなく、空回りしてしまいがちです。
特に仕事で読む本ならば、「ある程度わかっている」と最初の段階を飛ばしたくなったりしますが、速読/目で追うだけでも最初の一冊を通しで読んでおくと、「全体観が抜けているのかもしれない」と後から後悔することもないですし、後で読む本が楽になる印象です。

簡単に全体観を掴むには、就活生向けの業界本が最適

最初の一冊としては、ビジネスに縁のない学生にも理解できるように記載が細かく、また0から解説してある就活生向けの業界本が圧倒的におすすめです。
データが古かったり、出典の記載がなかったり、(だいたいが2ページで1トピックなのですが)トピックの記載順がおかしくてよくわからないことがあったりと不満をあげればキリがないのですが、これらのデメリットは他の本で補えます。
また、トピックが細かく分かれているので、一部読み飛ばした際のダメージも大きくなく(本だと1章読み飛ばすとわかっていない部分も読み飛ばしてしまうケースが多いです)、短時間で読み切れるのも◎

本屋さんでは就活コーナーに置いてあることが多い、下記3つのシリーズがやはり王道なのだと思います。
私はターゲット業界の本がそれぞれで発刊されているかを調べ、ある中で一番発刊日が新しいものを買うようにしています。

① ○○業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本

↑とにかくカバーしている業界の数が多い。業界カット以外もあります。

② 業界大研究シリーズ

↑こちらもカバーしている業界の数が多いです。よ〜くわかるより就活色はないかも?

③ 図解即戦力シリーズ

↑どちらかというと技術カットの本が多いですが、銀行・食品・金融・リース・保険は業界本があります


他には、主に東洋経済が出しているムック本もおすすめです。ビジネス紙ならではの詳しい解説があります。
ただ、上記のように一括で調べられるサイトがないので、Amazon等で「○○ 業界」と検索して、ムック本っぽいものが出てきたら御の字、くらいの探し方しかできません。。

全体観が掴めたら、業界の最新動向を掴みにいく

各業界本にも必ず「最新動向」の欄はあるのですが、記載が簡潔すぎる、かつなぜかだいたい冒頭ページにあって過去の動向を踏まえた記述になっていないので、一冊丸々最新動向を解説しているような本を探すと良いです。

探すときは、まず本屋に行くのが正解。駅ナカの小さい本屋よりは、ある程度規模の大きな本屋さんで、業界本コーナーで表紙がこちらに向いている本や、帯に「有名コンサルタント執筆」と書いてあるような本の中でも、発刊年ができるだけ最近のもの(業界にもよりますが2-3年以内)を選びます。
特に帯の記述は重要。名前を調べてすぐにレポートが出てくるような有名コンサルタントの著作であれば、それで即決です(アパレル業界のRB福田さんみたいな人)。
あまりに本が多くて何が良いかわからない場合や、著名な人が書いている本がなさそうな場合は、いくつかの本の参考文献ページを開き、他の本でどれを参照しているかを確認。よく参照されている本は往々にして少し古いことが多いですが、それだけによく練られた本なので、よほど変化が急激な業界でない限りは(ベンチャーしかいないような業界等)大丈夫です。

このプロセスをオンラインでできないか、私も少し考えたのですが(そして自粛期間中に実行しようとしたのですが)、なかなか難しいというのが結論です。
というのも、ビジネス系の書籍はレビュー数が圧倒的に少ない&購買プラットフォーム毎に分散しており、本屋に行ったら平積みされているかどうかで確認できる、「その本が誰かに評価されているか」を確認することができません。(本屋の平積みは発刊時期も関係するので一概に評価とは言えませんが)
オンライン書店にしかアクセスできない場合は、著者名を検索してみて他にも同様の著作があるか等を調べてあたりをつけて買う、周りの人におすすめの本を聞く、といった方法で代替する必要があるかなと思います。

ちなみに、周りの人におすすめの本を聞く、はオンラインで買う/買わないに関わらず、意外と大事です。特に、一緒に仕事をする上司や先輩に聞くと、彼らが読んだことがある=彼らの知識のベースになっている本を教えてもらえるので、話がしやすくなります。

最新の動向が掴めたら、トップ企業の方法論を知る

ここから先は「なんのためにその知識を蓄えるか」次第なので、必ずしもこのやり方があっているとは限りませんが、私の場合は大抵業界トップ企業に関する本を読みます。「なんで勝っているか」に関する説明は業界最新動向を掴めば自ずと見えてくるものですが、具体的な施策や辿ってきた道のりは、やはりトップ企業を分析した本に詳しいからです。

大企業になればなるほど、カリスマ経営者と言われた人たちの自伝や会社語りは多く出版されますが(トヨタや日産が良い例ですね)、私はできるだけ第三者的な語り方をしているものを選ぶようにしています。
ここはなぜ読むのかに依存する部分なので、自伝や会社語りを否定するものではありません(特にコンサルなら、クライアント企業や業界ガリバーのトップの言葉は読んでおいた方が良いと思います)。

「本を読む」ことは自分の中に知識を蓄える一番の近道

一時期の私は、ネットでなんでも調べることができるしその方が時間もかからないから、と本を読むことを怠っていましたが、最近になってやっと本を読む効用の大きさを理解しはじめました。

本は、編集者と著者が、「誰に向けて」「何を理解してもらうために」「どんな順序で」「何を書くか」をよく考えて作成しています。
体系的に記述されているので、目的に合致している本を一冊読み切るだけで必要な知識が得られますし、基本的に一冊で完結するので「あれってなんだっけ?」と他の本を開くこともありません。店頭に並んでいる限りは特に苦労しなくても手に取ることができます。

対してネットは、比較的1ページの記事が短く、ターゲットや内容が吟味されていないものもある玉石混交の世界です。ストーリー性のある連載になっているものもありますが、基本的に長い記事は好まれず、またファクトチェックが行われているかも怪しい記事があったりします。
もちろん、ネット上にもよく練られた記事・サイトは多いのですが、それらは往々にしてSEO対策をしている「まとめキュレーションサイト」に検索上位を奪われ、検索ワードを絞り込めない初学者にはたどり着くのが難しいように思います。

もちろんネットの方が長けている機能もあります。特に諸外国の動向を探す際は、本屋で日本語の翻訳や小さな洋書コーナーを探すより、ネットで検索をかけた方が効率的かつ効果的でしょう。

ネットと本、どちらも使える世代・時代だからこそ、時と場合に応じて柔軟に使い分けられるよう、それぞれの使い方を熟知したいと思っています。

いただいたサポートは、趣味の諸々をより充実させるために使わせていただきます。