告白雨雲②【毎週ショートショートnote】
「うひゃあ、降ってきた!」
突然、空が真っ黒な雨雲に覆われたかと思うと、ざあっと雨が路面を叩き打つ。傘もない俺は、慌てて目についた店に飛び込んだ。
「いらっしゃいませー!」
明るい声に我に返ると、そこはこぢんまりした中華料理店だった。
まさか雨宿りで入ったとも言えず、俺はそそくさと隅の席に座った。
「えーと……ランチとかありますか」
「はい、今日は『鶏の甘酢あんかけ』がおすすめです!」
じゃあそれを、と言いかけて、はっと気づく。
店員の女の子がものすごく可愛い。
もうこれは雨雲が結んでくれた縁に違いない、と胸をときめかせているうちに、彼女が料理を運んできた。
「あ、あの、僕と付き合ってもらえませんか!?」
気づいたら、そう口走っていた。
すると店長と思しき男性が、セットのスープを持って奧から出てきた。
「兄さん、注文は食事だけにしてもらえるかな。一応こいつは俺の連れなんでね」
もう甘酢あんかけの味も判らない。
でもスープは妙に塩味が効いていて、ひどくしょっぱかった。
*424字、少しオーバーしました
【あとがき】
たらはさんとへいたさんから2本めリクエスト、しかも「恋愛もの(甘酸っぱい系)」ですって。あの二人にかかったら、もうアカンです。目を合わせちゃいけませんよ、皆さん。
ところで「甘酸っぱい」ってこれでいいの?
え、だめ?そもそも字が違う?
あらまあ、ほんとだ。気づかなかったなあ(呆)
*この記事は、以下の企画に参加しております。
お読み下さってありがとうございます。 よろしければサポート頂けると、とても励みになります! 頂いたサポートは、書籍購入費として大切に使わせて頂きます。