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【女性向け】YouTube漫画シナリオサンプル

【タイトル】
片思いしていたモテ男子にラブレターを渡そうとして、間違えて隣の下駄箱に入れてしまった結果

【登場人物】
・日南結愛(ひなみゆあ)
主人公。
高校2年生。おとなしくて心優しい女の子。

・沢木真宙(さわきまひろ)
結愛のクラスメイト。結愛の隣の席の男子。地味で目立たないが、整った容姿をしている。クラスでもほとんどしゃべらず、友達も少ない。

・如月蓮(きさらぎれん)
結愛が思いを寄せるクラスメイト。イケメンでスポーツ万能、クラスの人気者の男子。

【ストーリー】
○放課後・学校の下駄箱
 誰もいない下駄箱。
 結愛、そわそわしながら下駄箱の前に立っている。

結愛(N)「私の名前は日南結愛。いたって平凡な高校二年生。ずっと片思いしていた同じクラスの人気者の蓮くん。直接言う勇気がないけど……今日こそ手紙を出すんだ! 頑張るのよ、結愛!」

 結愛、下駄箱に『あなたのことが好きでした。よかったら付き合ってください。日南結愛』と書かれた手紙を入れようとする。

結愛「やっぱり……無理!」

 入れようとした手紙を戻してしまう。
 数人の生徒、走ってくる。

生徒A「やばーい、部活遅刻しちゃう」
生徒B「絶対怒られるよぉ、どうしよ~」
結愛「っ!」

 結愛、驚いて手紙を下駄箱に入れてその場から逃げる。

結愛(M)「わ~、勢いで手紙入れちゃったよー! どうしよう、ドキドキしてきた…! 蓮くん、どう思うかな。返事、もらえるといいな」

○教室・朝

結愛(M)「蓮くん、もう手紙読んだよね。どうしよう、教室に入るの怖い……」

 結愛、教室に入ろうとする。クラスメイトに囲まれて話している連と目が合う。

結愛(M)「うわ~、どうしよう、蓮くんだ!」

 入り口のドアの前で動けなくなる結愛。

蓮「おはよ、日南」

 友達と話していた連、結愛に気づいてあいさつする。

結愛「れ、蓮くんおはよ……っ」
連「おう」

 笑顔で答えると、友達との会話に戻る連。

結愛(M)「おうって……え? それだけ? 連くん、普通すぎない? 手紙、気づいてないとか? ううん、まさか……」

 結愛、自分の席に着く。隣の席の真宙と目が合う。

結愛「あ、沢木くんおはよ!」
真宙「……っ」

 真宙、顔を真っ赤にして目をそらす。

結愛(M)「えっ……無視された? なんで? って、そんなこと今はどうでもいいか。それより連くん……」

○教室・授業中

結愛(M)「蓮くん、やっぱり普通だな……。私、フラれたってこと? そうだよね。蓮くんモテるもん。私なんかじゃ相手にされるわけないよ。……わかってたのに。だめだ、泣きそう」

 結愛、涙ぐむと、隣の席の真宙が見ていることに気づく。

真宙「(小声で)あ……あの、日南さん、大丈夫?」
結愛「えっ! あ……えっと」

結愛(N)「泣いちゃダメ! そう思ったら、ますます泣けて来ちゃって」

 結愛の頬に涙が流れる。
 真宙、驚いたように目を見開き、立ち上がる。

教師「どうした、沢木?」

真宙「え、えっと、日南さん体調悪いみたいなので、保健室に連れて行ってもいいですか?」

教師「あ、ああ。日南、大丈夫か?」

結愛「は、はい……」

結愛(M)「どうしよう、顔上げたら泣いてたのバレそうだ」

真宙「日南さん、行こう」

 真宙、結愛の手を取り歩き出す。
 真宙の手は震えていた。

 手を繋いだまま保健室に向かって歩く二人。

結愛(M)「び、びっくりした……沢木くん、そんなことするんだ」

結愛(N)「隣の席の沢木真宙くん。休み時間は本を読んでいて、友達も少なくてあまりしゃべってるところを見たことがない。あいさつをしても、ぼそっと「おはよう」って返してくるだけ。それなのに……」

結愛(M)「手、すごく震えてる。無理してるのかな」

結愛「(繋がれた手を見ながら)あの、もう大丈夫だから。ありがと」

 真宙、あわてて手を離す。

真宙「ご、ごめんっ!」

 真宙、何度も頭を下げる。

結愛(M)「そんなに申し訳なさそうにされると、なんだか悪いことしちゃった気分」

真宙「あの、何か悩んでるなら……話、聞くから」
結愛「え! あ、大丈夫、ありがとう」
真宙「やっぱり、その……僕って、頼りない?」
結愛「そんなことないよ。今も、助けてくれて感謝してる。正直、助かった」
真宙「それなら……もっと頼ってほしい。か、彼氏……なんだし」
結愛「えっ!?」

 真宙、真っ赤な顔で結愛を見ている。

結愛「ま、待って! 彼氏って、なんのこと?」
真宙「昨日、手紙くれたよね。だからその……返事というか」

結愛(M)「嘘! あの時焦ってよく見てなかったけど、もしかして……私、間違えて沢木くんの下駄箱に手紙入れちゃった!?」
結愛(M)「だから蓮くん、あんなにいつも通りだったんだ。うわ~、恥ずかしい! ちゃんと沢木くんに謝らなきゃ」

結愛「あの、昨日の手紙は――」
真宙「僕、ずっと日南さんが好きだったんだ。だから……うれしかった」
結愛「え、あ、ありがとう」
真宙「今日の放課後、空いてたら……一緒に帰れないかな。その、話、聞くから……」
結愛「あ、えっと、今日は無理かも!」
真宙「そっか。じゃあ、今度の休みは?」
結愛「えっと……うん、いいよ」

結愛(M)「どうしよう、今さら間違えましたなんて言えない……!」

結愛(N)「大変なことになってしまった。まさか、沢木くんが私のことを好きでいてくれてたなんて。でも、ちゃんと言わなきゃ。そう決意したけど――」

○駅前・昼
 結愛、改札前できょろきょろする。
 うつむいてスマホを見ている男子に目を奪われる。

結愛(M)「あ、あの人かっこいいな……って、見とれてる場合じゃない」

結愛(N)「結局、沢木くんには本当のことを言えないまま、休日を迎えてしまった。でも、これは逆にチャンスかもしれない。今日こそ本当のことを言うんだ……!」

 スマホに『着いたよ』とLINEで文字を打ち込んで送信する。
 その瞬間、結愛が見とれた男子が顔を上げて、ほほえんだ。

真宙「あ、日南さん……こ、こんにちは」
結愛「えっ、もしかして沢木くん!?」

 真宙はメガネを外していて、髪も丁寧にセットされていた。

真宙「や、やっぱり、変かな。その、いろいろ頑張ってみたんだけど……」
結愛「へ、変じゃないよ! い、いいと思います」
真宙「あ、ありがとうございます」

 真宙、照れたように笑う。結愛、ドキッとする。

結愛(M)「あれ? なんで私、ドキッとしたんだろう。私が好きなのは連くんなのに……」

真宙「じゃ、行こうか」
結愛「うん」

 歩き出す二人。

真宙「日南さん、お腹空いてない?」
結愛「うーん、私は大丈夫かな」
真宙「えっ」
結愛「え?」
真宙「あ、いや、別に……」

 焦っている真宙。

結愛「沢木くん、お腹空いてる?」
真宙「僕も別に……大丈夫」
結愛「?」

結愛(M)「じゃあ、さっきの反応はなんだったんだろう。あれ、もしかして……?」

結愛「どこか行くお店考えてくれてたとか?」
真宙「……っ!」

 真宙、動揺し、転びそうになる。

結愛(M)「沢木くんには失礼だけど、沢木くんそういうの苦手そうだし、何も考えてないのかと思ってた。なんか、うれしいかも」

結愛「やっぱりお腹空いてたかも。ね、ご飯食べに行かない?」
真宙「う、うん!」

 ほっとしたように笑う真宙。それを見て、またドキッとする。

結愛(M)「あれ、どうしたんだろう。今日の私、ちょっと変かもしれない」

結愛(N)「きっと、沢木くんに謝らなきゃいけないプレッシャーで変になっているのかもしれない。私は、そう思っていた。でも――」

○カフェ・昼

結愛(N)「沢木くんが連れて行ってくれたお店は、なんと、私が気になってたおしゃれなカフェだった」

結愛「え、ここ?」
真宙「うん。嫌、かな?」
結愛「ぜ、全然! 私、ここ行ってみたかったの!」
真宙「……よかった」

 真宙、微笑む。
 結愛、ドキッとする。

結愛(M)「……また私、ドキッとしてる……」
結愛(M)「それより、ちゃんと言わなきゃ」

結愛「あの……! 私、沢木くんに話したいことがあるの」
真宙「え? な、何?(不安そうな顔で)」
結愛「……え、えっと」

店員「お待たせしました~」

 注文したパンケーキと紅茶が運ばれてくる。

結愛「ありがとうございます」

 店員、去る。

結愛「わ、美味しそ~! ね、早く食べよう」
真宙「うん」

結愛(M)「食べ終わったら、ちゃんと話そう」

 パンケーキを食べる二人。
 真宙、半分くらいで食べるのを止める。

結愛「どうしたの? 沢木くん、お腹すいてなかった?」
真宙「や、その……緊張してて……ごめん」
結愛「え!」

 真宙、真っ赤になる。

結愛(M)「どうしよう、言えるわけないよ……」

 カフェの会計をする二人。

結愛「美味しかったね~」

 結愛、財布を出す。

真宙「あ、いいよ。僕が出すから」
結愛「で、でも」
真宙「払わせてよ。デートなんだから」
結愛「あ、ありがとう」

結愛(M)「おごってもらうなんて、申し訳なさすぎる。本当は彼女でもないのに」

 結愛の胸がズキッとする。

結愛(M)「あれ? なんで今、ズキッとしたんだろう」

結愛(N)「その後も、やっぱり私は告白が間違いだと言い出すことができませんでした。だって――」

○映画館・館内(回想)

 映画館の隣の席で、結愛と真宙が映画を見ている。
 映画はクライマックスのシーンを迎えていた。
 真宙、結愛の手を握る。

結愛「えっ(小声で)」
真宙「……」

 耳まで赤くなっている真宙。
 結愛、手を握り返す。

結愛(N)「本当は、早く謝らなきゃいけないのに。本当のことを言ったら、沢木くんとこんな風に話せなくなってしまう。そう思ったら、結局、本当のことは言えなかった」

○駅前・夕方

 駅に向かって二人は歩いている。

結愛「今日は楽しかったね」
真宙「うん。あのさ」
結愛「ん?」
真宙「さっき言ってた、話って、何?」
結愛「それは……」

 女子二人が近づいてくる。

友人A「あれ、結愛じゃん。……って、そのイケメン誰!?」
友人B「もしかしてデート?」
友人B「そんなわけないじゃん。結愛は連くん一筋で、連くんに告白する! って言ってラブレターまで書いてたんだから」
結愛「……っ!」
友人A「その様子じゃやっぱり渡せなかったか」
友人B「元気出しなよ、まだチャンスはあるって」
友人A「じゃ、また学校で話聞くから」

 去っていく二人。
 結愛、おそるおそる真宙を見る。

真宙「そっか。そういうことか」
結愛「え?」
真宙「よく考えれば、日南さんが僕を……なんてありえないよね。ごめん。僕が舞い上がって好きなんて言うから、日南さん、言い出せなかったんだね」
結愛「それは――」
真宙「気にしないで。今日はありがとう。如月くんとうまくいくように応援してるから。じゃあね」

 真宙、走って行ってしまう。

結愛(N)「これでよかったんだ。そのはずなのに、私はずっともやもやしていた」

○学校・朝

 結愛、教室に入る。
 真宙は眼鏡をかけ、もとの地味な姿に戻っていた。

結愛「お、おはよう、沢木くん」
真宙「おはよう(目を合わせずに)」

結愛(M)「沢木くん、すっかり前みたいに戻ってる。もう、あの時みたいに笑ってくれないのかな」
結愛(M)「そうだよね。私が最低なことしたんだもん、当然だよね」

 席に着き、もやもやしている結愛。
 連が近づいてくる。

連「日南、ちょっといいか?」
結愛「え、う、うん!」
結愛(M)「連くんから話しかけられるなんてめったにないのに。なんだろう」
連「あの、日南って彼氏いるの?」
結愛「え? どうして?」
連「昨日、男と一緒にいたところ見たって聞いたから」
結愛(M)「沢木くんの前でその話されると気まずいからやめてほしいな。あの男の子が沢木くんってみんな気づいてないのかな……かっこよかったもんね、沢木くん」
結愛「付き合ってないよ」
連「ま、マジで!? よかった……」
結愛「え?」
連「あ、いや、なんでもない」

 焦ったように友達のところに戻っていく連。

結愛(M)「私に彼氏がいないって知って、なんであんなに喜んでたんだろう。私のこと好き、とか? いや、まさかね」

○昼休み・教室

 4時間目終了のチャイムが鳴る。
 連がやってくる。

連「日南、ちょっといい?」
結愛「う、うん」

 連、結愛を連れて誰もいない階段の踊り場に行く。

結愛「どうしたの?」
連「日南、俺と付き合ってほしい」
結愛「……え!」
連「ごめん、急に。でも、日南に彼氏いるかもって思ったら焦っちゃって」
結愛(M)「嘘でしょ。連くんが私を好きなんて」
結愛「……どうして私なの?」
連「日南、誰に対しても優しいじゃん。いつもみんなに挨拶してて、いい子だなって思ってた」
結愛「……あの、私」
連「待って! 返事は今すぐじゃなくていいから。今日の放課後、一緒に帰らない?」
結愛「え、あの」

 連、結愛の返事を待たずに立ち去る。
 結愛、教室に戻ろうとすると真宙とばったり会う。

結愛(M)「嘘……沢木くんに聞かれてた!」
真宙「よかったじゃん、両思いで。おめでとう」
結愛「えっと……」
真宙「僕、日南さんのことなんてもう好きじゃないから。告白されたからちょっと意識しちゃっただけで。だから気にしないで」

 真宙、笑って立ち去る。

結愛(M)「そんな……!」
結愛(M)「なんで私、こんなにショックなんだろう。もしかして私、沢木くんのこと――」
結愛(M)「でも、もう沢木くんは私のことなんて好きじゃないのに……」

○教室・放課後

 ホームルールが終わり、連、結愛の席にやってくる。

連「日南、帰ろう」

 教室がざわつく。

生徒A「えー! なんで日南さん?」
生徒B「連くん、好きだったのに……」

 結愛、真宙を見る。
 真宙は結愛を一切見ず、立ち上がって教室を出ていく。
 連と連れ立って教室を出る結愛。

結愛(M)「沢木くん、私のことなんて本当にどうでもいいんだな」
結愛(M)「自業自得だけど、辛いよ……」

 結愛の目に涙がにじむ。
 連、動揺する。

連「な、なんで泣くんだよ。そんなに俺と帰るの嫌だった?」
結愛「ううん、違うの。でも、私、好きな人いるから……連くんとは帰れない。ごめんなさい」

結愛(M)「そういえば、私が泣いた時、沢木くんすごく優しかったな。あの時から私、沢木くんのこと気になってたのかもしれない」
結愛(M)「でも、もう嫌われちゃったけど……」

連「わかった。その人とうまくいくといいな。気を付けて帰れよ」
結愛「うん、ごめんね」

結愛(N)「沢木くんは、もう私のことなんて好きじゃない。それでも、沢木くんと出会えてよかったよって、伝えたい――私はある決心をした」

 結愛、『あなたのことが好きでした。よかったら付き合ってください。日南結愛』と書かれた手紙を真宙の下駄箱に入れる。

結愛(M)「うん、これで大丈夫。今度はちゃんと間違えてない」

 真宙がやってくる。

真宙「……日南さん?」
結愛「え、あ……なんで? 沢木くん、帰ったんじゃ……」

結愛(M)「そういえば、沢木くんの下駄箱、靴が入ったままだった! 緊張してて全然気づかなかった……!」

真宙「ちょっと用事があって。それより、また入れる場所間違えてるよ」

 そっけない態度の真宙。

結愛「ま、間違えてないよ!」
真宙「え?」
結愛「今度は、間違えてない。私、沢木くんに書いたの……ラブレター」

 結愛、怖くて真宙の顔が見られない。

結愛「ごめん。あんなことして、信用できないよね。確かに、最初は連くんが好きだった。でも、いつの間にか、沢木くんが好きになってたの」
真宙「……え」
結愛「返事はいらないから。沢木くん、私のこともう好きじゃないってわかってる。それでも、伝えたかったの。じゃあね!」

 結愛、逃げる。その手を真宙がつかむ。

真宙「待ってよ!」
結愛「え?」
真宙「もう好きじゃないなんて……嘘に決まってるじゃん」
結愛「えぇっ!?」
真宙「それより、本当なの? 僕のこと好きって」
結愛「う、うん!」
真宙「うんじゃわからないよ。ちゃんと聞かせて」
結愛「え、えっと……私は、沢木くんのことが大好きです。付き合ってください」
真宙「はい」

 真宙、照れたように笑う。

結愛(N)「こうして、私と沢木くんは付き合い始めた。『連くんを断って沢木を選ぶなんて何様!?』と騒がれたけど、沢木くんがメガネを外して学校に来るようになってから、『あんなイケメンと付き合えるなんてうらやましい!』なんて言われるようになった。

結愛(N)「おとなしかった沢木くんは意外と意地悪で、今でもラブレターを間違えて入れたことをからかわれている」

○真宙の部屋・昼

 真宙と結愛、真宙の部屋で勉強会をしている。

真宙「結愛。この問題間違えてるよ」
結愛「え、嘘!」
真宙「結愛ってほんとに抜けてるよね。普通、ラブレター入れ間違えるなんてありえないって」
結愛「ご、ごめん……」

 結愛、しょんぼりする。

結愛「私、沢木くんのことすごく傷つけたよね。ごめんなさい……」
真宙「え! あ、いや、違うんだよ! その……結愛、すごく気にしてたから、こうやってからかったら、結愛の罪悪感も薄れるかなって思って……でも、やりすぎた。ごめん」
結愛「……怒ってないの?」
真宙「当たり前だよ」

 真宙、結愛の頭をなでる。

結愛「真宙、大好き」
真宙「僕も好きだよ、結愛」

結愛(N)「見た目が変わっても、やっぱり真宙は優しいまま。ラブレターが連くんの手に渡ってたら、真宙の優しさを知ることもなかったんだ。色々あったけど、あの時ラブレターを入れ間違えて本当によかった」

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