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「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」かなやんの自己矛盾の謎解けた?!

先日、六本木のギャラリー2121で開催中の企画展「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」を観てきました。

単に言葉を介した翻訳だけではなく、人や生物が発生する信号を、人の五感に感じられるように変換するとどうなる?を、さまざまな切り口で試した展示でした。

葉っぱとも会話できるなら、人なんて容易い

日頃、日本語と英語の翻訳で「わかりあえなさ」を痛感しているわたしには、ちょっと期待と違う内容でした。

例えば、葉っぱの光合成する様子を唇の動きに見立てて感情を読み取ろうとするとか、もはや人ではないものとコミュニケーションをしようとするほど発想がぶっ飛んでいました。

さすが、アート。翻訳、日英など言葉どおりに捉えた自分が浅く思えてしまう。

翻訳できない言葉も、あっていい

また、書籍で有名な『翻訳できない世界の言葉』の展示もありました。

日本語で言うと「木漏れ日」みたいな、他の言語では一言で表す言葉がない単語。そんな単語も、沢山の言葉を尽くせばなんとなく理解できる。

だから、翻訳業務としてはいかにシンプルに他の言語で言い表せるか、言葉を研ぎ澄ませることが重要なんだと実感しました。

じつは一番重要なのでは?グラフィックレコーディング

展示の中で一番興味深かったのが、グラフィックレコーディング。

心のモヤモヤをグラフィックで描き出し、整理していくというものです。

たしかに、言葉を使って言い表す以前に、考えや気持ちがまとまっていなくて、何て言ったらいいか分からないことって、よくありますよね。

自分自身のわからなさを翻訳するには、実はこれが一番重要なのではと思いました。

展示では、ワークショップ形式で代表者の心のモヤモヤをグラフィックレコーディングをしながらみんなで話し合い、整理していく様子が映像で紹介されていました。

かなやんの自己矛盾に、激しく同意

気になったのはその一人、かなやんです。

30歳ぐらいのメガネ男子は、祖母から結婚相手を見つけるように干渉されていて、どうしたら良いかにモヤモヤしていました。

聞いていくと、かなやんはこれまで何人かお付き合いした事がある。でも、長く続かなかった。人と付き合うことに向いてない。自由が好きで、誰かと暮らすのは無理なんじゃないかと思っている独身男性。

あ、それわたしやん。会ったこともないかなやんが、急に同志に思えてくる。

さらにかなやんの仕事はクリエイティブで、仕事で人に感動を与えたい、仕事で人と関わるのは苦じゃないと思っている。これも、わたしやん。

すると、ワークショップに参加していた、同世代の男性が鋭くこう言いました。

「人と付き合うのは嫌なのに、人を感動を与えたいって矛盾してて面白いですね」

たしかに、そうなんよ。矛盾してるけど、そうなんよ。

その男性には、面白くおかしく思えるかもしれないけど。ほんまに、そやねん。

ただ、なぜ矛盾していまうのか?その場ではわたしも答えが出なくて、モヤモヤしたまま帰宅しました。

数日後、かなやんの謎が解けた?!

その後もモヤモヤしながら、ふとした時に考えてたのですが、今日なんか答えが見えた気がします。

それは、そもそも仕事と、恋愛•結婚では人との関わりの性質がかなり違うからではないか。

例えば、仕事はやればなんらか成果が生まれる。人から報酬がもらえ、仲間から感謝されることも多い。

クリエイティブであれば、基本的に商品の受け手に良い影響を与えるように考えて作られるものだから、いいリアクションがもらえることも多い。

だけど、恋愛・結婚はそうはいかない。

成果も報酬もない。良かれと思ってやったことが、感謝されるとは限らない。

付き合いが深くなればなるほど、感情的になって深く傷つけてあうし、知らなかった一面が出てきて、失望することもある。

もちろん、幸せを感じる楽しい瞬間もあるけど、辛いことも多いのが現実だと思う。やはり他人だし、分かり合えないことは誰にもある。

成果が得られないのに、辛くてめんどくさい。そう思えてきて、人と付き合うのをやめたくなるんじゃないかと。

でもかなやんは、根本的には人が好きなんだと思う。興味もある。

だから、仕事では関わりたい。でも期待通りにならない恋愛には、疲れちゃってるのかなと、勝手ながら答えを見出せた気がしました。

でも、かなやん。大丈夫。

きっとこの先、嫌な部分を知ってもなお愛せる人ができれば変わると思う。

そんな、かなやんに聴いてほしい曲

official髭男dismの曲『ビンテージ』の一節、

「キレイとは傷跡がないことではなく、傷さえ愛しいというキセキだ」

この気持ちになれれば、人と長く付き合っていけるんじゃないかと思う。そんな日はきっと来る。

だから、それまでは人と付き合うことを、あきらめないで欲しい。

届くはずもない勝手なお願いだけど、どうか、かなやんに届きますように。









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