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美しい花を求める新たな旅 - YARI FLOWER FARMは法人になります

YARI FLOWER FARMは2シーズン目を終えました。

前回のnoteを書いたのは、就農直後の2年前。振り返っても記憶が殆どないくらい、この2年間は、本当に激動の日々でした。

ぼくは高知に生まれ、学生時代は京都と神戸で過ごし、社会人になってからの15年間は東京で生活していました。偶然が重なって辿り着いた安曇野のこの土地は、縁もゆかりもなく、ぼくにとってはまったくの異世界。

実家は農家でもなく、完全にゼロからの新規就農。知り合いは誰一人おらず、農業の経験はなく、農業機械は何も持っておらず、それらを揃える資金もなし。周囲から無謀だと心配される中、ただひたすら花を育てる情熱だけがぼくを支え、周りの人々に助けられながらがむしゃらに走り、ここまで来ることができました。

ルドベキアの収穫の様子

花を育てるなら、理想を追い求めよう。ぼくは「美しい花を、美しく育てる」ことを掲げ、それを実現するために花作りと向き合うことを決めました。40歳目前での農家デビュー。そんなに甘い世界ではありません。諦めたくない一心で、早朝から深夜まで、頭と身体が動く時間の全てを花作りに注ぎました。当然、楽しいことよりも大変なことが多い毎日でしたが、草花に触れながら暮らし、それを生業にできることをありがたく感じました。

安曇野の雄大な自然の中で草花に触れ、学びながら、自分の理想と社会に求められることとの調和(=ビジネス)を模索しました。今でもこれほど素晴らしい仕事は他にはないと、自負しています。

美しい花を、美しく育てること

ところで、「美しい花を、美しく育てる」とは何でしょうか?2年間実際に花を育てながら思っていることを簡単に文字にしてみます。

まず、ぼくにとっての「美しい花」とは、形や色合いが自然な花です。風になびき、雨に打たれ、太陽の光を浴びて成長した花の姿と色合いに惹かれます。もっと言うと、一輪一輪の咲き方や色味が、画一的でなく、多種多様である方がより美しさを感じます。

そして、「美しく育てる」とは、自然に負担をかけず、多くの種類の花を育てることです。除草剤は一切使わず、農薬の使用は最小限にし、土の力を最大限に活用した栽培に取り組んでいます。たくさんの品種を育て、土壌の多様性を保つことも大切にしています。

安曇野の大地ですくすく育つダリアたち

2シーズン目(2023年)を振り返る

昨年(2023年)の実績を具体的に振り返ってみます。
まずは、花作りについてですが、約10,000㎡の農地で、約150品種の草花(ダリア、ジニア等)を育て、20万本の草花を収穫しました。
大きな天災がなかったこともありますが、就農2シーズン目としては、合格点の成果だったと思います。

また、選花場の一画に店舗スペースを設け、直売所「FARM STAND」をオープンしました。
花を育てる過程が感じられるような店舗設計を意識し、収穫したばかりの花を選別する様子を見てもらえるような空間にしました。農業優先の時間割のため、土曜日の14:00-17:00という限られた時間しか営業しない店舗でしたが、いつも長蛇の列ができ、毎週50組近くのお客様が訪れてくれました(本当にありがとうございます)。
来店者と直接会話をし、育てた花を手に取って笑顔で楽しんでいただける様子を見ると、ぼくたちの目指す方向が正しいと確信し、心の支えになりました。

1年目(2022年)から始めた農業共創型コミュニティ「FARM MEMBER」は参加者150人前後を維持しながら、前向きな試行錯誤を続けられています。たくさんのメンバーに支えられているおかげで、YARI FLOWER FARMの花作りは目の前の数字(売上)に惑わされることなく、中長期的な視点で、ぶれずに花と向き合うことができています。

この2年で、「FARM MEMBER」と「FARM STAND」の2つのサービスを両輪で運営しながら、農業(花づくり)に集中する、ぼくが理想とする土台をようやく築くことができました。

直売所「FARM STAND」の外観

株式会社 YARI FLOWER FARM に

さて、昨年(2023年)の振り返りはこのくらいにしておいて、今年についても書いてみます。

まず、組織作りで大きなニュースがあります。YARI FLOWER FARMを法人化することにしました(2023年12月25日登記完了)。業績が順調であることも一因ですが、「美しい花を、美しく育てる」ことを実現させることが大きな理由です。
農業を2年間通してやってみて痛感したことは、農業はどうしても労働集約型で、1人では成り立たないことです。チームとして、組織として、取り組まなければならないと感じました。そして、社会に還元する仕組みを作り上げるためには法人化が不可欠です。

ちなみに、今回で会社を創るのは3社目になります。社会人として欠陥だらけのぼくですが、事業や会社を創ることには人一倍情熱を注げるようで、社会と関わり、貢献できる唯一の手段だと信じています。ビジネスは再現性があると言われますが、本当にその通りで、これまでの起業経験が新たな創業をいつも支えてくれます。

2024年もがんばります

2024年度には、作付面積が前年より2倍増の25,000㎡に達する予定です。おそらく露地での花卉生産では全国トップクラスになるでしょう。この目標を達成するために、ドローン等の最新機械を導入したり、作業を平準化、最適化したり、ハードとソフトの両面での改善活動にも取り組んでいきます。

「リジェネラティブ農業(環境再生型農業)」と「スマート農業(ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業)」は、ぼくの信念の中では矛盾しません。「美しい花を、美しく育てる」ために、あらゆる選択肢での最適解を模索し続ける旅は続きます

最後に、ぼくたちは新しい仲間を求めています。熱意を持ち、一緒に働きたい方を歓迎します。兼業でも問題ありません。
この2年で痛感したのは農業という仕事は幅が広く、多種多様であること。農家の数だけ仕事が異なります。
ついては、双方のギャップを埋め合わせるために、オンラインでの会社説明会を開催することにしました。興味がある方は、どうぞお気軽にご参加ください(詳細は近日中にInstagramで)。

YARI FLOWER FARMで取れた草花で束ねたブーケ


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