マリノスサポーターがベトナムのサポーターと応援について語った話
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マリノスサポーターがベトナムのサポーターと応援について語った話

akira

どうも、akira(@akiras21_)です。
ホーチミンに比べると日本は涼しいですね。風邪引きそうです。

今回はベトナムのサッカーリーグであるVリーグ所属のホアンアイン・ザライFC(HAGL)の応援文化について、現地サポーターの方とお話ししてきたことをちょっぴりご紹介しようと思います。

HAGLサポーターと話すまでのいきさつ

2022シーズン、僕が応援する横浜F・マリノスがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場することとなり、マリノスが組み分けられたグループHはベトナム・ホーチミンでの集中開催となりました。

ということで(?)、コロナ禍真っ只中ではありますが、出入国に必要な書類等を揃え、紆余曲折を経て一路ホーチミンへ。2年ぶりの声出し応援解禁で喉をガラガラに枯らせながら、そしていろいろなカルチャーショックに刺激を受けながら、実に濃厚な7日間を過ごしてきました。その中でも特に濃かったのが、帰国直前に交わしたHAGLサポーターのネモさんとの会話でした。

ネモさんとは第5節のマリノスvsHAGL戦の後に知り合い、Facebookを交換したところ、「また後日改めてお話ししたい」との申し出をいただきました。スケジュールの関係で帰国便のフライト2時間前というギリギリのタイミングでしたが、タンソンニャット国際空港の一角でネモさんと会うことになりました。

ベトナムのサッカー文化とACLでの成長

ネモさんはHAGLのみならずベトナム代表のコアサポーターでもあり、アジア各国の応援文化をよく調べている勉強家でした。その探究心の源は「ベトナムサッカー界に応援文化を根付かせたい」という情熱。いまのベトナム人はサッカーそのもののゲーム性、ハラハラドキドキ感から来る楽しさを享受していて、「クラブのサポーター」という概念がそもそも希薄なんだそうです。そこでネモさんは特定のクラブをフォローする楽しさを伝えて、もう一歩進めた楽しみ方を広めたいんだと語ってくれました。

とはいえ、ネモさん1人で出来ることには限りがあります。そこで大きな刺激を与えたのが今回のACLでした。アジアの中でも応援文化が良く根付いている国のひとつである日本のサッカークラブがベトナムにやってきて、それを追いかけるサポーターの姿もスタジアムに現れたのです。

ネモさんはこれをチャンスと捉えて、自身のネットワークを通じてベトナム代表コミュニティにも「日本のサポーターが来る。スタジアムに集まって、彼らから応援の文化を学ぼう」と呼びかけました。

「日本のサポーターを尊敬しているんだ。少ない人数でも応援をリードする人がいて、ドラムを叩く人もいて、それに皆が同じチャントを歌ってたからね」とネモさん。ベトナムはどうなの?と聞いてみると、今はまだ伸びしろだらけといった様子。曰く「みんなで歌えるチャントがないから、まずはそれを作って定着させようとしている」そう。

たとえば、グループステージ最終節の試合前にHAGLサポーターがバス待ちを実施したんですが、このときに歌っていたチャントはタイのものを参考にしたといいます。

このチャントを作るにあたって気を付けたのは「分かりやすいメロディーであること」「歌詞をあまり長くしないこと」そして「人々が歌いたくなるようなチャントを目指すこと」。そう、基本のきをちゃんと理解しているんです。

それだけでなく、その国や街の人々の言葉や文化、そして歴史を理解して落とし込むべきだと。もうお気付きかと思いますが、ネモさんは文句のつけようがないほどしっかりとした考えをお持ちでした。

こうしたチャントを使って周りの人々を巻き込み、みんなで一緒にチャントを歌える日が来るよう努力しているとのこと。このACL期間中はネモさんたちのグループが主導して試合前に集会を行い、試合中のチャントやスマートフォンのライトを使った演出を打ち合わせをするなど、かなり組織立てて試合に臨んでいました。

ネモさんたちの努力の甲斐もあってか、HAGLサポーターの応援は試合を追うごとに成長。「ホアンアイン!ザーライ!」コールは次第に浸透し、ドラム(というか和太鼓?)の音も大きくなり、バックスタンド中央上段にはクラブエンブレムのビッグフラッグが登場するなど、ビジュアル面もだんだんと充実していきました。

いちマリノスサポーターからの提言

ひと通りお話を伺ったところで「日本のクラブのサポーターとして何かアドバイスはないかな?」とネモさんに尋ねられたので、ひとりのマリノスサポーターとして僕は大きく2つお答えすることにしました。

1つ目は「歌わない」こと。第5節のマリノスvsHAGL戦を現地で観た印象として、HAGLサポーターは場を盛り上げようとチャントを連発していましたが、かえって応援のメリハリに欠ける印象でした。なので、「チャントを歌うタイミングを調節すれば、スタジアムの雰囲気に緩急を付けることができる。試合の展開によっては敢えて歌わない時間も必要だよ」とお話ししました。

2つ目は「全員が歌えるチャントと、特徴的なチャントの両方があると個性が出る」ということ。ネモさんによると、HAGLはベトナムの各地にサポーターズクラブが点在しており、それぞれのグループが横のつながりをもって連携しているといいます。そのため、ベトナムの何処に行っても完全アウェイになることがないとのこと。サポーター文化があまり根付いていないベトナムにおいては珍しい存在なのです。

ならばHAGLサポーターとして共通のチャントを持ちながら、各地のオリジナルなチャントがあれば互いに刺激し合えるのではないか…と思い、このようにお話ししました。実例として、今回のACLでよく聞かれた「ラララマリノス」と「アジアを勝ち取ろう」の2曲をネモさんに披露。歌詞の意味や曲の背景を簡単に解説しました。

特に後者は日本のバンド(THE HIGH-LOWS)の曲であることを伝えると、「そういうのを取り込むためには若者の感覚が大事だよね!流行りの曲をモチーフにすればみんなが歌えるきっかけになるかもしれないな…」と、こちらの思惑通りの気付きを手に入れたようでした。

おわりに

他にもいろいろとお話ししましたが、ネモさんのビジョンに近いであろうマリノスゴール裏の様子を、こちらの動画からかいつまんでお見せすることにしました。

この動画をネモさんは食い入るように観て、「横浜で本物を見たいよ!」と言ってくださいました。いまはコロナ禍の影響で声を出しての応援が制限されていますが、いつか日常風景が戻ってきたとき、是非ネモさんには日産スタジアムのマリノスゴール裏をお見せしたいです。

日常生活の中の非日常としてサッカー観戦を通じて感情を爆発させる様子には、どこか原風景のようなものを思わせながら、この先ベトナムにサポーター文化が根付いたときの熱量はきっと凄まじいものになりそうだ…と想像できるようになった、そんな今回のACLでした。

ネモさん(写真左)からプレゼントをいただきました

今回のお話を通じて、HAGLのサポーターズグループメンバーにだけ配付しているユニフォームを特別に譲っていただきました。そのお返しといってはなんですが、このたびHAGLサポーターに日本の応援文化を伝えるスペシャルアドバイザー(Cố vấn Văn hóa, Hội Cổ Động Viên HAGL)を務めることになりました。HAGLを通じて、これからベトナムサッカーの応援文化がより活性化していけばいいなと思います。

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akira
横浜F・マリノスサポーター。映画、音楽、デザインに興味あり。