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THINK TWICE 20210704-0710

7月4日(日) THINK TWICE RADIO 20

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番組中で触れ忘れたのですが、リーナ・ラヴィッチの「I Think We're Alone Now (Japanese Version)」って、本国イギリスでごく少数プレスされた、メガレアな7インチシングルなんですね。現在はベストアルバムやファーストアルバムのボーナストラックとして収録されていて、Spotifyなどでも気軽に聞けるようになっています。ああ、いい時代だなあ。

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ローリー・アンダーソンの80年代当時のライブの様子がよくわかるビデオです。ぼくは当時『宝島』のグラビアページにスチルが載ってて、ああ、動いてるところが観たいなあ、と思ってたけれど、今はこんなにかんたんに。いい時代だなあ。

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細野さんの正調「ハニー・ムーン」。タヒチ80もそうですが、マルコのヴァージョンはわりと《まんま》です。歌やアレンジなど余計な解釈をせずに《まんま》カヴァーするというのも最近のトレンドかもしれませんね。

ザ・スリッツの「大地の歌」はSpotifyになかったので、オリジナルの英語ヴァージョンを登録。あと、ロスト・グリンゴスはまったくサブスクには上がってないようなので、割愛。


7月8日(木) さよならサマー

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オリンピックとパラリンピック。これまでそれなりに楽しみにしてきたし、勝利の歓びや感動というものを人並みに味わわせてもらってきたけれど、それもリオでおしまいということになりそうです。

政治であれ、スポーツであれ、お受験であれ、会社であれ、強いものが勝ち残り、弱いものの上に君臨するわけで、その争いのなかで残ってきた人たちが動かしているシステムにおいて、美しい敗北や勇気ある撤退はまったく考慮されていないか、あらかじめ無視されています。

そういった強烈なエゴイズムが、スポーツという枠のなかで効率よく制度化され、近代的に競技化され、美化されることで、ぼくらは安全安心なエンターテインメントとして受け入れることができ、オリンピックに関して言えば、ぼくらはそれらを2年に一度、特別豪華な皿のうえに盛り付けられた無料サーヴィスのイヴェントとして味わってきたわけです。

主催者や政治家たちだけでなく、多くのアスリートや関係者も含めて、こうした状況下でも「みんなで渡れば怖くない」的な態度を貫いていることにほとほと呆れましたし、この欺瞞に満ちたイヴェントに、烏合の衆のひとりとして長年加担してきたのか……と思うと、恥ずかしい気持ちにもなります。

幸か不幸か、今回の東京大会をきっかけにして、少なからず虚飾が剥ぎ取られ、その骨組みが垣間見えたことで、少なくともぼくは今までのような眼でスポーツ全体を眺めることができなくなってしまいました───まあ、だからって向こうもこっちも困ることはないでしょうが。


7月9日(金) The Truth Is Not Out There

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いざ始まってしまえば、オリンピック一色になりそうなテレビのすきまを埋めるべく、U-NEXTに加入しました。で、さっそく映画やドラマをいろいろ観ているのですが、中でも楽しみにしていたのは、以前、下記のnoteでも触れた、米HBO制作のドキュメンタリー『ウディ・アレンvsミア・ファロー』です。

これが予想以上に、ミア・ファロー側に肩入れした内容───というか、ウディ側の主張はほとんど無視するスタンスで、最後まで見るのはほんとうにしんどかったのだ。

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当時、裁判記録として提出されたという映像───ウディが性的虐待を娘ディランに対して行なったとされる日の直後、ミアが記録したディランへのビデオインタビューが何度も何度も流されるほか、ミアが隠し録りしたウディとの生々しい電話のやりとりも番組の目玉として登場します。

何かを訴えかけるような目をした、幼い日のディランの写真がくりかえし大写しにされるなど、事実の検証よりも、視聴者の情緒をミア側の主張に誘導しようとする演出が目立ち、インタビュイーとして登場する面々もミアやディラン側に立つ人たちばかりなのはとても残念でした。*1

*1 ある海外のコラムニストは「選挙戦で対立候補を批判するためのプロパガンダCMのようだった」と評したそうだけど、言い得て妙。

当時7歳だったディランが、ウディが行ったとされている"行為"だけでなく、彼女を守るべき大人たち───養母ミア、訴訟のために行われた警察の捜査、児童施設や医者による鑑定によって、彼女が2次的、3次的に心の傷を受けたことは本当に気の毒で、その痛みが癒やされることはないかもしれない。

それでも、このドキュメンタリーに関していちばん問題だと感じたのは、ハーヴェイ・ワインスタインとかビル・コスビー、ロマン・ポランスキーといった、刑事事件として訴追され、実際に服役したり、処罰された人たちとウディのケースを十把一絡げにしていることです。

あるいはマイケル・ジャクソンのように、起訴事実に関して全面無罪になっているケースもひとつの流れとして組み込み、さも「本当はやったのに、金や権力を駆使して、自分の犯した罪を消し去ったセレブリティ」という印象操作を行っているのは、非常に悪質でした。

また、ディランの事件に関する捜査資料が事実を歪曲した形で紹介していたり、ディラン以外の養子にはミアによる虐待があったと訴えている人たちもいて、そちらに言い分に関しては何の証拠も示さず「そんな事実はなかった」「どうせウディが圧力をかけて言わせてるんだ」と一笑に付し、まともに取り上げようとはしていなかったことも引っかかります。

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映像をディレクションしたHBOのチームと共に、この番組の制作の中心になったのは、ウディ・アレンとミア・ファローの実の息子、ローナン・ファローです。

弁護士の資格を持ち、ユニセフやオバマ政権下で政府のアドバイザーを務めるなど、超エリート。おまけに学生時代はセリーナ・ゴメスと浮名を流したこともあるイケメンです。ジャーナリストとして、彼が雑誌『ニューヨーカー』に寄稿したワインスタインの告発記事でピューリッツァ賞を受賞。いわゆる#MeToo運動の先鞭をつけました。

そんなローナンも実父であるウディを告発し、妹ディランと母親のミアの有能なスポークスマンとして、このドキュメンタリーでも矢面に立ってるんだけど、番組を制作したHBOと彼は数作のドキュメンタリー映画制作の契約を交わし、製作総指揮をしているんだとか───やれやれ。

ウディがやったとかやってないとか、あるいはどっちが勝ったとか負けたとか、白黒はっきりつけられるたぐいの話じゃない、人の尊厳がかかった問題だからこそ、真相がますます複雑化し、藪の奥に入ったことが残念です。

だからこそ、なんの利害関係もない日本人ライターの猿渡さんが書いたこの本を早く読みたくなりました。


7月10日(土) GOOD, BAD & UGLY

THINK TWICE RADIOでも激プッシュしているイギリスのデュオ、HOGARTH。今年になって1曲もリリースがなかったし、このまま消えていってしまうのか? と思っていたら、今日になって突然、キャッチーな新曲をドロップ。曲調もMVも彼らなりにめちゃくちゃ悪ぶってますが……(笑)。

アルバム早く出ないかな。



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