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THINK TWICE 20210919-0925

9月19日(日) サンソン再び

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今日の放送を聴いてたら、びっくりどっきりク◯◯◯◯(狐狼の血)。

ぼくが先週、架空の動物縛りで(勝手に)棚からわしづかんだ、ディジー・ギレスピー&ラロ・シフリン『Unicorn』が5曲目にかかったじゃないの。

ただ、ぼくのチョイスはライヴ・ヴァージョン、達郎さんは6分50秒あるオリジナルを半分に刈り込んだ7インチヴァージョンでしたが。

7インチだけでなく、オリジナル・ヴァージョンより約1分も長い12インチヴァージョンもあるのは知らなかったな。お値段はだいたい20ドル。欲しい。


9月20日(月) 東京夜曲

市川準と森田芳光と相米慎二の未見だった作品をこのところずっと観ている───というのは前にも書いたかな。

今日は市川監督の『東京夜曲』(1997年)。

原作や他人の書いた原案の作品が多い市川監督ですが、これは監督自身の原案を元に、当時20代だった佐藤信介(1970年生)が脚本を書いています。

もし、この映画をリアルタイムで観ていたら、ぼく(1969年生)もまだ20代後半。果たしてこの作品をどこまで自分に引き寄せることができたか、甚だ疑問。むしろ主演の3人───長塚京三(1945年生)、倍賞美津子(1946年生)、桃井かおり(1951年生)や当時の市川監督(1948年生)と同世代になった今、この映画に出会えてよかったな、と。

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東京の下町にある架空の商店街が舞台(ロケは浦安で行われた)ですが、桃井かおりが切り盛りする囲碁サロン兼喫茶『大沢』が、大映作品を支えた美術界の重鎮、間野重雄の手によるセットだというのに驚きました。

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そのいっぽう、大泉滉演じる店主が娘(『ドライブ・マイ・カー』でも印象深い役を演じていた安部聡美)と一緒に切り盛りしている中古レコード屋には見覚えあって、下町方面にこんなところあったっけ? と思っていたら、こっちは国分寺の「珍屋南口店」を使ったロケ撮影でした。

店のある路地はけっこう狭くて、目の前にあるのは単なるアパートです。そのまま映したら、とてもじゃないけど商店街には見えない。だから店内から外を見通すショット(写真2)のとき、商店街の案内看板を建てて、カモフラージュしてるところなんか芸が細かいですね。

1枚目のカウンター写真をよく見ると、シュガー・ベイブ『DOWN TOWN』の7インチやアルバム『ソングス』のCDが、またシリア・ポール『夢で逢えたら』のシングルが壁貼りされてたり、カウンター奥の棚にはっぴいえんどのベスト盤CDやサザンのボックス『HAPPY』も置いてありますね。いかにも90年代末の中古盤屋───っていう雰囲気も懐かしくてたまりません。

『東京夜曲』といえば、李香蘭こと山口淑子が1950年に同名の曲(こっちの読み方はとうきょうセレナーデ。映画はとうきょうやきょく)を歌っていますが、関連があるのか、無いのか。


9月26日(土) P.P. RIDER

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今週は県内とはいえ、ひさしぶりに泊まりがけの取材に出かけたり、帰ってからも取材を記事にまとめたり───要するにめずらしく仕事らしい仕事をしていたので、なかなかnoteに向き合う時間が取れなかったな。

でも、相変わらず映画だけは観ていて、先週から今週にかけて観たものをリストアップすれば『12人の優しい日本人』(中原俊)『それから』(森田)『僕達急行 A列車で行こう』(森田)『東京夜曲』(市川)『あしたの私のつくり方』(市川)『キスより簡単』(若松孝二)『(ハル)』(森田)───と毎日1本ペースをキープしてます。

1983年の劇場公開時に鑑賞したっきりだった『ションベン・ライダー』を昨夜ほぼ40年ぶりに観なおしました。

初見時は、同時上映だった『うる星やつら オンリー・ユー』がお目当てで、『ションベン・ライダー』は、主人公の子供たち3人(坂上忍、永瀬正敏、河合美智子)が映画の中盤以降に、お互いに着ていた服を交換するのだけど、河合美智子がやぶれかけのタンクトップみたいな姿(上の写真で永瀬が着てるやつ)になり、袖口や胸元からノーブラのおっぱいがチラチラ見えるところだけをやたら鮮明に覚えていた───というか、ほとんどそこしか記憶が無かったんです。こっちも14歳で、バリバリの思春期だったから(笑)。

いろんなシネフィルたちが絶賛している8分にも及ぶ冒頭の長回しや、海に浮かんだ丸太の上を登場人物たちが四方八方走り回るシーンも、中2のぼくは全然すごいとも思わず、とにかく乱雑でチープな作品だなあ……としか思わなかったし、相米慎二が『セーラー服と機関銃』の監督であることは知っていたから、てっきり『セーラー服〜』以前の古い作品を、ヒットをきっかけに引っ張り出してきたのかとさえ思っていました(ブルース・リーやジャッキー・チェン、Mr.BOO!シリーズの公開パターン)。

52歳になって、ひさしぶりに観た『ションベン・ライダー』の印象は良くも悪くも中2のときと変わらなかったけれど、実写でアニメのような動きを再現することにチャレンジした……という意味で、ウェス・アンダーソンの『グランド・ブタペスト・ホテル』をちょっと思い出したりしました。

ちなみにタイトルにした〈P.P. RIDER〉は、『ションベン・ライダー』の海外公開時のタイトル。永瀬正敏が海外の映画祭に呼ばれ、デビュー作として『P.P. RIDER』とタイトルが記載されてるのはちょっと恥ずかしい、という趣旨のことをインタビューで答えていて。また、彼自身も『ションベン・ライダー』というタイトルの意味をいまだによくわからない、とも話しています。その意味のわからなさ、ナンセンスこそがこの作品の最大の存在価値なのかもしれないですね。


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