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THINK TWICE 20210328-20210403

3月28日(日) 俺の家の話

amassを読んでたらこんな記事が載っていました。

あのぼんやりした映像がどれほどクリアになったんだろう? と期待して見たのですが、元の素材が16mmフィルムなのでさほど大きな変化は感じませんでした。

ところで、このマッドネス「Our House」は昔から大好きな曲です。

Father wears his Sunday best
よそ行きを着た親父
Mother's tired she needs a rest
おふくろはくたびれてて、休みが欲しそうだ
The kids are playing up downstairs
ガキたちは階段の下で遊んでる
Sister's sighing in her sleep
姉貴は寝っ転がったままでためいきをつき
Brother's got a date to keep
兄貴はデートの約束があるもんで
He can't hang around
たむろしている場合じゃない

Our house in the middle of our street
俺たちの通りのド真ん中にある俺たちの家
Our house in the middle of our ...
俺たちの通りのド真ん中にある俺たちの家

MVに出てくる《俺たちの家》はイギリスの労働者階級(ワーキング・クラス)の、あまり裕福ではない家族が暮らすフラットの生活を描いた曲です。

マッドネスの中心メンバーはフォアマン(Foreman)、スミス(Smyth)、マクファーソン(McPherson)というファミリーネームが示しているように、アイルランド系の英国人です。アイルランド系の労働者たちは避妊や中絶を全面的に禁じているカトリックの信者がほとんどなので《貧乏人の子沢山》というイメージを持たれています。

イギリスのコメディグループ、モンティ・パイソンもカトリック系のワーキングクラスの人たちの子沢山ぶりをよくネタにしていました。

ところでこの「Our House」は、明るく楽しいムードと哀愁の入り混じった不思議な雰囲気の曲ですよね。

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その秘密はコード展開にありまして、イントロからAメロに至るコード進行(C→Gm→Dm→Fm)が、サビになると転調を繰り返し(D→Am→Em→G→B→Fm#→C#m→E)また元のコードに戻る───つまり、代わり映えのしない日々のなかで、一瞬、家族の間に波風が立っても、また自然と元のさやに戻る───そんなふうに聴こえます。別のたとえで言いなおせば、家のなかの階段を登ったり降りたりするような構造になってるんですね。まさしく、俺の家の話というか。

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このシングルのジャケットもクレヨンタッチ(Mustakiviのnote参照)だったな。描いたのは"カレン・アレン(6さい)"とクレジットされてます。マッドネスのメンバーの誰かの娘かなあ。1983年に6歳なので、現在46歳になってる計算。時間と云うものは残酷なものですね。


3月29日(月) 俺の祖母の写真

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大学時代の白黒フィルムをパソコンに取り込んでいて、懐かしい祖母のスナップ写真を見つけました。祖母は大正5年(1916年)生まれ。戦争中は当時は京城と呼ばれていたソウルで暮らしていて、終戦後はまだ小さいぼくの母をつれて命からがら帰国。そして、女手ひとつで母を育てました。趣味はパチンコ。編み物はプロ級。町内会のゲートボールでは折り合いの悪いチームメイトとしょっちゅう喧嘩。たばこと晩酌も欠かさなかった俺の家でいちばんの不良娘でした。

2005年6月、危篤の報を受けて東京から飛んで帰ったぼくを待ちうけていたかのように、病室に到着した直後、蝋燭の火が消えるように亡くなりました。いま気づいたけど今年で17回忌なんだな。それを知らせに写真で出てきたのか。やるなあ、ばあちゃん。


3月30日(火) 君の名は。

毎回ポッドキャストのトークパートのために、時間や手間をかけて資料集めをしてるんですけど、5年前に開設したっきりTwitterのフォロワーがいまだに40人のバンドとか、2年前に公開したMVのYouTubeの再生回数が7回……みたいなアーティストを取り扱うことが多いので、毎回とても大変です。

SpotifyやBandcampに記載されているプロフィールは当然として、海外のウェブメディアのインタビューを拾い読みしたり、ときには歌詞を探して、翻訳したり───まあ、やることはたくさんあります。

なかでも一番大変なのはバンド名やアーティスト名の正しい読み方や、聞き慣れない外国名の読み方や発音を調べること。

例えば、次回(VOL.15)で紹介する、南アフリカ出身の音楽家、Stephan Kreussel。ファーストネームのステファンはもちろん読めるけれど、問題はファミリーネームのほう。クレウセル、クレウゼル、クルーセル、クルーゼル、クリューセル、クリューゼル……どれかに当たりはまりそうだけど、どれが正しいかわかりません。さて、どうしよう。

こういうとき、ぼくはまず〇〇(今回なら"Kreussel")+Prounounceというキーワードで検索します。すると、参考になりそうなサイトがふたつ出てきます。ひとつはHow To Prinounceというサイト、もうひとつはYouTubeの"PronunciationManual "というチャンネルです。

まあ、大体はこの両方、ダメでもどちらか片方には登録があり、今回の"Kreussel"もHow To Prinounceのほうで見つかりました。

クセのある機械音声ですが、クレイセルと聞こえますね。しかし、これですんなり解決とはいきません。なぜなら、Googleの検索結果の中に、同じような綴りでドイツ語の名前"Kreusel"の読み方が引っかかったからです。

うーん、これだとコイゼル……ですかね。

シンプルに考えれば、クレイセルでいいじゃん、と思われるかもしれないけど、今度はファーストネームが気になってくるんですよ。このStephanという名前は英語圏でいうところの、Steve、Stevieのドイツ語読みなのです。

ひょっとして、この人の家系はドイツ系かもしれない。その証拠に、ウィキペディアによると、南アフリカ出身の白人にはフランス系とドイツ系が多いんですね。例えば、南アフリカで生まれたシャーリーズ・セロンはお父さんがフランス、お母さんがドイツ系です。

他にも、YouTubeに上がってるライブ映像───たとえば、テレビやラジオなどのスタジオライブに出演してる場合、番組ホストがアーティスト名をコールすることが多いので、それを参考にして特定できます。ときにはCDTV方式でアーティスト本人が「ハーイ、アイム〇〇」みたいに自己紹介するケースもあるので、それを聞き取ることもできるし。

まま、とにかく、ぼくはこんな部分にもこだわって番組を作っていることをわかってもらえたら嬉しいです。

で、結局ぼくが"Stephan Kreussel"をどう発音したのか? それは明日アップするTHINK TWICE RADIO本編を聞いて確かめてみてください。


3月31日(水) THINK TWICE RADIO 15

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THINK TWICE RADIO VOL.15
Tana Kara Washi Dukami / Grab From The New Songs Issue

[PLAYLIST]
Los Retros - It's Got To Be You
Local Opener - I’ve Got You feat. Summer Salt
Dante Elephante - Find Somebody To Love
Men I Trust - Tides
Stephan Kreussel - Cruel AF
Cool Sounds - Human Statue
Hether - Sex Wax
klark sound- What is Progress
Still Pigeon - Tippy Toes


4月1日(木) あきカバ

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こんにちは。今日はみなさんにとっておきのお知らせがあります。

2006年にPAM名義で出した『Journalized』以降、15年ぶりにアルバムをリリースさせていただくことになりました。

その名も『あきカバ』。

音楽史に燦然と輝く名曲の数々をぼくの歌で蘇らせたカバーアルバムで、日本に元気を届けたい……という祈りを込めて選んだ曲は「365歩のマーチ」「ハイスクールララバイ」「孫」「マンピーのG★SPOT」「スマイル(ホフ・ディラン)」「スマイル(岡本真夜)」「スマイル(チャップリン)」「ウルトラマン・ゼンブ」ほか、全17曲です。

プロデュースは日本最強の女性ボーカリスト、ニッキー・モンローを「スキヤキ」で全米デビューさせた、あのナラダ・マイケル・ウォルデン。コロナ禍のさなか、日本とアメリカをネットで繋ぎ、リモートレコーディングに費やしたのはなんと1,500時間にも及びました。

初回限定盤はなんと3枚組。CD本体に加え、オリジナルカラオケを収録したボーナスディスク「あなたも”あきカバ”」、スペシャルDVD『メイキング・オブ・あきカバ(仮)』が特製カバ型透明ケースに入ってきます。お値段は初回盤が4,500円、通常盤は2,800円。発売は5月26日(水)です。

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そして発売当日は日本武道館でフリーライブ「いつむななや」を開催します。現在、万全の感染予防をしながらリハーサルを進めています。詳細は追ってまたお知らせします。なにはともあれひさびさのアルバムとライブを楽しみにしていてくださいね。

春風に乗ってみなさんに愛と平和と歌を届けにいきます🌸

4月1日 愛媛にて
ミズモトアキラ


4月2日(金) ミナリについてぼくが考えたこと。

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『ミナリ』を観てきました。スティーヴン・ユァンが主演、A24とPLAN Bがタッグを組んだ作品で、オスカー最有力候補、韓国系の移民がアメリカの片田舎で苦労する話───くらいの予備知識だったんですが、たしかに素晴らしい映画でした。

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