心を動かさない支援

障害ある人の支援をしていく中でとても苦労することの一つは、思うように感情のやり取りができない場面が少なくないということ。期待していたことが急に裏切られてものすごいショックを受けてしまうのだ。たとえば、さっきまで楽しそうにこちらとやり取りしていたのに急に大声で怒鳴り始めるとか、約束をしたのに、次の場面ではもう破られるとか。

支援するものとして専門的に分析すると、それは相手の器質的なものだったり精神的なものだったりの事情で表出してしまうことであり、その事情を十分わかった上でこちらも関わっている訳だけど、それでもちょっと油断してたり、予想を超えた分量でこられると、一瞬で感情的なスイッチが入ってしまうことがある。そのコントロールが難しい。アンガーマネジメント研修とかやってるけれど、あれは一般的な怒りのコントロールの仕方であって、例えばワンオペ育児のお母さんに「子どもさんが泣き叫んでいたら6秒数えて」とか「その場を一旦離れましょう」なんて全く役に立たないように、支援の現場ではあまり実践的なやり方ではないと思っている。

とにかくそういった感情が芽生えないようにと、常に自分に言い聞かせているのだけど、なかなか上手くいかない。そこで最近、仕事をする前に「今日は感情を捨てる」「ロボットのようにやるべきことを淡々とやろう」と唱えるようにしてみた。これが結構、自分にはいい効果がでているように思う。要は心を動かさない、ということ。

人相手の仕事なのに冷たい感じかもしれないけれど、人相手だからこそ、相手がよければ全て良しであり、自分の感情はどうでもいい。演者に徹する。仕事をしている間は自分の感情をなくし、まさにロボットのように演じて、徹底的に状況に合わせてやるべきことをやり通す意識でいる。そうすることで、今のところよい感じで支援できているように思う。相手を冷静に分析しつつ、心で思い込んだり期待したりすることをやめ、状況だけに合わせて対応する。もしかしたらこれが支援の神髄なのでは?とも感じたりしているがどうだろう。もうちょっと、やってみながら考察していくと面白いなと思っている。

仕事で心を動かさない代わりに、仕事外の時間を充実できるように考えないと、きっと精神的には病んでしまうだろうな。仕事は仕事、休みは休みとしての楽しみを見つけていきたい。そうしてバランスをとることができたらいいなと思う。

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