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【Outer Wilds考察】宇宙の眼って何なん?

本記事はOuter Wilds本編プレイを終えた時点の考察と妄想です。
DLC『Echoes of the Eye』はまだプレイしていません。
クリア済プレイヤーが読んでニヤニヤすることを意図しており、未プレイ者の閲覧は基本オススメしません。
宇宙の謎は君の目で確かめてくれ!

はじめに

『Outer Wilds』待望のDLC『Echoes of the Eye』が発売されました(2021/9/28)。
この記事を書いている時点ではまだプレイしておりません。はやくやれ。
というのも本編プレイ後の考察として、『宇宙の眼』に関する記事をが書きかけになっており、これを片付けてからでないとシツレイにあたると思ったからです。
DLCのタイトルも『Echoes of the "Eye"』となっているので、『宇宙の眼』に関する何らかの新情報もありそうだし……

というのは建前で、ほんとは「恐怖演出」というのが気になって怖くて始められないだけです。ビビりなので。対戦よろしくお願いします。

前提:宇宙がたどる運命=熱的死

Outer Wilds世界は太陽の10倍以上の質量を持つ恒星が大半を占めるというクソデカ宇宙のようであり、超新星爆発が連続で発生していて、宇宙の終焉感がだいぶマシマシでした。
幸いにして我々の住むリアル宇宙においては、超新星爆発を起こさないとされるサイズの恒星の方が圧倒的に多く(我々の太陽もそうです。ごあんしんください)。なんらなら寿命が1000億年程度の赤色矮星が恒星の約8割を占めるので、星々の灯火が全て消えるまでの時間的余裕はまだまだまだあります。ごあんしんください(2回目)。

話をゲームに戻しましょう。いずれにせよ『宇宙は永遠の熱的死』を迎え、そこから先には知的生命体が存在しえない永久の闇が待っています。困ったもんです。

結末:『宇宙の永遠の熱的死』は回避された!

死すべき定めの宇宙をどうにかすべく、血眼になって方法を模索する文明人Nomaiたち。知的生命の存続が何よりも尊いという価値観を持っています。そんなわけで宇宙より古い信号『宇宙の眼』を追ってOuter Wilds星系にやってきます。
『宇宙より古い信号』→『前の宇宙からやってきた』→『前の宇宙は熱的死を回避した?』→『この宇宙も熱的死を回避できる!』という論法。焦ってワープしたくなる気持ちも確かにわかる。

いろいろあって(マジで色々あって)、Nomaiたち自身には叶わなかった『宇宙の眼』への到達を、彼らの意思を継ぐものとして一人のHearthianが成し遂げたのです。

そうして目論見通りに、新たな宇宙を始めることに成功します。代償として現宇宙は滅び、まだ宇宙のどこかで生存しているであろうNomai文明やその他もろもろの生命はまるごと消滅してしまうわけですが、冷えていく宇宙の片隅に横たわってただ死を待つよりも、スパッと燃え尽きて可能性に満ちた新たな宇宙の種火となる方が有意義と言えます。どうせ超新星爆発で死ぬ定めの身としては救いの存在ですが、宇宙の熱的死を当然の運命と受け止めている文明からしてみれば、『宇宙の眼』は宇宙を即座に破壊してしまう恐怖の存在かもしれません。価値観しだいですね。

『宇宙の眼』の機能

『宇宙の眼』に関して、わかっているのはその機能だけです。意識的観測者を招き入れて、新たな宇宙を始める。

新たな宇宙を始めるにあたって今ある宇宙のエネルギーを利用する関係上、「終わり」と「始まり」は対になっており切っても切れない関係と言えるでしょう。

宇宙の初期条件は無数にあるので完全にランダムに委ねると、次の宇宙が生命や文明が発生できる条件を満たさない可能性が出てきます。(空間の次元が2以下だったりすると、生命はちゃんと誕生できるんでしょうか?)

それを防ぐために意識的観測者のイメージを利用します。意識的観測者のイメージする「宇宙」は、当然生命が生存できる環境が無意識のうちに含まれているので、それを次の宇宙の初期条件に反映させることで、ある程度整った宇宙を創世できるのではないでしょうか?初期条件が近くても、実際にどんな生命が生まれ、どんな文明が育つかは不確定要素が大きいので前の宇宙と次の宇宙との間の多様性も十分確保できるでしょう。宇宙を何百回と繰り返しても似たような文明ばかり生まれるのでは進歩がないですからね。

究極の目的:『超宇宙文明の誕生』

宇宙文明の発展度を示すスケールに「カルダシェフ・スケール」というものがあります。オリジナルは3段階なのですが、色々と拡張されて色んなパターンがあります。以下に引用します。

タイプ0:タイプIに未到達の文明
タイプI:惑星文明、その惑星の全てのエネルギーを支配
タイプII:恒星文明、母星の恒星の全てのエネルギーを支配
タイプIII:銀河文明、属する銀河の全てのエネルギーを支配
タイプⅣ:超銀河文明、銀河群や銀河団、超銀河団を支配
タイプV:宇宙文明、加速膨張を超えて観測可能な宇宙全体を支配
タイプⅥ:超宇宙文明、多元宇宙への進出、或いは新たな宇宙を創造し宇宙の寿命を超えて存続

タイプⅥの超宇宙文明が誕生すれば『宇宙の眼』はようやくお役御免と言うことが出来ます。何故ならこのクラスの文明であれば、宇宙の寿命が尽きる前に新たな宇宙を自力で創造し、その新しい宇宙に文明まるごとお引っ越しできるからです。宇宙をリセマラして生命誕生ピックアップガチャを引き続ける必要はもはや無いのです。

『宇宙の眼』はどこにあるのが良い?

『宇宙の眼』に意識的観測者が入り、現宇宙を破壊して新宇宙を創造するとします。新宇宙においても『宇宙の眼』は変わらず存在し続けるとして、宇宙のどこにあるのが最適なのでしょうか?

宇宙はとんでもなく広く、信じられないくらい大きいことが知られているので、適当な場所に配置すると遠すぎて誰も到達できない可能性があります。逆に文明から近すぎても、宇宙に飛び出す能力を獲得したばかりのヒヨッコ宇宙飛行士がうっかり進入して現宇宙を破壊してしまう可能性もあります。タイプⅥの超宇宙文明に育つ可能性の芽を摘んでしまうので、これはあまり好ましくありません。

結論から言うと、文明から程よく離れた場所が良いでしょう。

幸い『宇宙の眼』は巨視的量子物質(?)なので、観測されるまでその位置が確定しない(観測されたという結果から遡及的に位置が確定する)といったことも可能でしょう。なので観測者がいない状態では宇宙のあらゆる座標に対して同時に存在できる(存在確率が一様)と言ってもいいはずです。

生命が誕生し人々が空を見上げて観測を始めるようになると、宇宙全体にあった『宇宙の眼』の確率分布が徐々に収縮していきます。1地点からの観測では「おおよそこの方向にある」くらいしか確定できませんが、複数の観測結果を積み上げることで最終的な位置が確定します。また「何もなかった」という観測結果も重要で、存在可能な空白地帯が徐々に減っていきます。

要するに『宇宙の眼』がそこにあったから信号を観測できたのではなく、信号を観測したからそこにあった、というふうに原因と結果を逆転できます。この方法なら文明から近すぎず遠すぎずの程よい距離の場所に遡及的に出現できるのではないでしょうか?

『宇宙の眼』の創造主?

長々と書きましたがこの節で終わりしたいと思います。いったい誰が『宇宙の眼』を作ったのでしょうか?

知的生命を次の宇宙においても発生させる、という目的を鑑みれば人工物っぽいですね。最初の宇宙の、とても高度な文明によって生み出されたということにしておきましょう。

残念ながら彼らは宇宙を創造する能力を持ちながら、次の宇宙へ文明を移転するだけの能力は持ち得なかったと推察されます。その心境はどんなものだったでしょうか?これまで築き上げた荘厳な神殿も、偉大な功績も、美しい音楽も、その種族の名前すら、次の宇宙に持ち越せるものが何一つ無いとしたら?それでも今ある宇宙を崩壊させて、次の宇宙にバトンを渡すことができるでしょうか?

彼らはそれをやったのです。彼らだけでなく、Outer Wilds世代に至るまでの全ての先駆者たちは、このバトンを次の世代に渡す決断をしたということになります。誉れ高い行いですが、決して次の宇宙の記録に残ることはありません。アンサングヒーローというやつですね。

『誉れとは、記録に値する行動であり、読むに値する記録である』
―――― 大プリニウス

希望のリレーとも、絶望の輪廻とも言えるこの営み、終わる日が来るのでしょうか?時の試練に耐えうる文明の誕生を願ってやみません。



おわり

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