こんな選択
観光ガイドのひとりが菖蒲の花束を持ってやってきました。
庭で咲いたから飾って、と。
観光案内所には花瓶を置く場所があります。
さっそく先輩が活け、その場所に置きました。
きれいに活けられた菖蒲をみてガイドは満足し、活動に出かけました。
午後になり、所長の奥様がみえました。
薔薇の花束を抱えています。
庭で咲いたから飾って、と。
奥様は急いでいたかで菖蒲が目に入らなかったのでしょう。
花瓶を置く場所はそこしかなく、複数の花瓶を置くほどの広さはありません。
そこは誰からもよく見える位置にあります。
いわば案内所の「上座」です。
もうすぐガイドが戻ってきます。
当然、花瓶を目にします。
この場合、どう対処するのが正解でしょうか?
・・・
正解は
「菖蒲を半分抜いて、薔薇を半分突っ込む」
です。
抜いた分は誰かがこっそり持って帰ります。
え、ふつうやん。と思った方、すみません。
そう、ふつうの回答です。
せっかく菖蒲だけで美しかったのが、薔薇のせいでぶちこわしです。
ですが、活け花の免状をもっている先輩はさすがです。
あまり合わなさそうな取り合わせでも、美しく活けなおしされました。
薔薇ももちろん美しいし、奥様はたまに差し入れをくれたりするいい人なのです。
とフォローしておきます。
これを、めんどくせえ!と思ってはなりません。
めんどくせえ!と思う人(つまり私)は、接客業に向いていないのです。