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成長のバランスの調和について

中学校の同窓会に行ってきた。11クラス合同なので、知らない顔ばかりだった。おじさんやおばさんがたくさんいる。名札を見て、ああ知ってるやつだと思って、改めて顔を見ると、おじさんの顔が中学時代の顔に変貌する。

一人の細身のイケメンが寄ってきた。
「someya君、ひさしぶり! 変わってないね」
僕は「?」という顔を返した。
名札は「鈴木英一」(仮名)と書いてあるが、記憶にない。
鈴木君(仮名)はこちらの反応をむしろ楽しんでいるように、
「俺だよ。小学校5年のときに転校してきて、6年で同じクラスになったじゃん」
と言う。
僕は
「ああ! あの鈴木か! 思い出したよ!」
と言っておいたものの、実は全然思い出せない。
それで、「おお! 松本(仮名)!」などと別の知った顔を見つけてその場から逃げた。
それから友人たちと健康や病気の話題などで盛り上がりながらも鈴木君(仮名)のことが気になっていた。

突然小学6年の教室の映像が脳内に浮かび上がった。不機嫌な顔の太っちょの鈴木君(仮名)がなにか僕に文句を言っていた。
僕が知っている鈴木君は太っちょの丸顔だ。あっちでにこやかにしている細身のイケメンは決して鈴木君ではない。
僕はつかつかと鈴木くんに歩み寄った。
「君は小学校にときに、ちょっとばかり太っていたのではないかい?」
「うん、俺はたしかに太っていたよ。まあ、成長のバランスの不調和だったのかな」
「今はかなりバランスが調和しているみたいだね」
それで完全にすっきりしたわけではなくて、丸顔の不機嫌な顔とにこやかな細身のイケメンが同一人物だとは思えない。今でも怪しんでいる。

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