【2018】エベレスト・トレッキング概要【持ち物,ルート,費用,etc...】
2018年4月にエベレスト街道を個人トレッキングしてきました。ここでは事前の準備や街道へのアクセス、トレッキング中の注意点等をまとめました。とりあえず、この記事を読めばエベレストトレッキングの全体像がなんとなく把握できるように書きました。
あくまで当時の情報、記録です。
1ルピー≒1円
レンジョー・パスからみたエベレスト。手前の湖はゴーキョレイク。
エベレスト街道略図
地図がないとイメージしづらいと思うので略図を乗せておきます。赤丸が私が宿泊した町、青丸がその他主要な町、黄丸が主要なピーク、峠です。とりあえず、ジリ、サレリ、ルクラ、ナムチェ、エベレストベースキャンプ(EBC)の場所は把握しておきましょう。
ルート紹介、日数
私が通ったルートをベースに細かく分け、計算しやすくしました。当然、個人の体力や天候によって変わってくるので、参考程度にとどめておいてください。計画するときは高地順応や休憩日、予備日等も含め余裕を持った計画をたてることをおすすめします。
ジリからパクディン(ルクラ)6〜7日
飛行機代をケチりバスでアクセスするとルクラまでだいたい1週間かかります。(ルクラは寄り道になるので実際は通りません)
私はジリ→バンダラ→セテ→ジュンベシ→ヌンタラ→パイヤ→パクディンと6日で行きました。
アップダウンが激しく、日本の登山道のような樹林帯を歩くうえに、ところどころ道が不明瞭なので、登山経験がない初心者や体力がない人は辛いと思います。ルクラに近づくにつれ石畳の階段が増え、整備されてる感がでてきます。しかし、私が通った時は雨上がりということもあり、ドロと糞が滝のように石畳の上を流れ、余計に滑りやすくなってました…。
とはいえ、ネパール山間部の村々の暮らしを間近で見れるので、そういうのが好きな人は楽しめるかもしれません。
そうでないなら節約と割り切ろう。
道に立ちふさがる子ヤギたち。かわいい。こういった風景は陸路でアクセスしないと見れない。
サレリからパクディン(ルクラ)3〜4日
ジープでサレリまで行った場合は、3〜4日でルクラ付近まで行けます。節約するならジープでサレリまで行くのがベストです。詳しくはアクセスの項で説明します。
ルクラからゴラクシェプ、EBC(エベレストベースキャンプ)約6日
飛行機でルクラまで飛ぶ1番メジャーなルートです。泊まる町はパクディン→ナムチェ→テンボチェ→ディンボチェ→ロブチェ→ゴラクシェプ。帰りは3日程度でルクラまで戻れるので(ディンボチェもしくはペリチェ→ナムチェ→ルクラ)、移動日含め往復11日程度。高地順応や予備日を考えると最低でも2週間は必要です。
最高点はカラパタールの5550m、日の出の時間帯は多くの人で賑わいます。
チュクンに寄り道しよう
ディンボチェからチュクンまでの道は氷河によって削られたU字谷になっており、平坦でとても歩きやすいです。すぐ横にそびえ立つアマ・ダブラムに見惚れること必至でしょう。さらに、チュクンからチュクン・リに登ればローツェ南壁が視界いっぱいに広がっています。チュクンに寄ろうと思ったら1〜2日余計にかかりますが、行く価値はあると思います。
そびえ立つアマ・ダブラム
ゴラクシェプからチョー・ラ・パスを経てゴーキョへ 2日
ゴラクシェプからゴーキョに行く場合はチョー・ラ・パス手前の町ゾンラで1泊して、ゴーキョに行く人が多いです。私もそうしました。しかし、チョー・ラ・パスは最高点が5400mもあるうえ、ゾンラからゴーキョまでは結構遠いので、途中の町でもう1泊する人もいるみたいです。
チョー・ラ・パスは氷河の上を歩くことになるのでチェーンスパイクかアイゼンは必須です。登山初心者は1人で行くのはおすすめしません。
ゴーキョはターコイズブルーの綺麗な湖の麓にある町で、すぐそばのピークであるゴーキョ・リはエベレストやチョ・オユー等の8000m峰が見渡せるビューポイントとして有名です。
ゴーキョからナムチェに下るには2日、早い人だと1日で行けます。(略図のゴーキョから下に伸びている灰色の道)ナムチェからルクラは1日で行く人が多いです。
チョー・ラ・パスから望むアマ・ダブラム(左)とタボチェ(右)中央に小さく小さく写ってる小屋がゾンラ(要拡大)
ゴーキョからレンジョー・パスを経てナムチェへ 2日
上の略図にはレンジョー・パスからターメ間に何も書いてませんが、実際は2,3の町があります。
個人的にレンジョー・パスからみるエベレストが1番好きです。この記事の最初にのせた写真がそうです。
レンジョー・パスは比較的マイナーなルートなので人が少なく、静かな山歩きができます。しかし、裏を返せば誰も助けてくれないということなので、初心者にはあまりおすすめしません。
ナムチェからルクラは1日で行く人が多いです。
ナムチェからサレリ 2〜3日
陸路で帰る人は、陸路でアクセスした人が大半だと思います。帰りは1度通った道を戻ることになるので、イメージしやすくなってると思います。
私は帰りはナムチェには泊まらず、ターメからスルケェ→ヌンタラ→サレリと行きました。スルケェからヌンタラは疲労のせいもあってか、このトレッキングで1番疲れました。
番外:エベレスト・トレッキング 3大峠(3 High Passes)
上記したチョー・ラ・パスとレンジョー・パス、そしてディンボチェからロブチェに続くコングマ・ラ・パスをあわせて3大峠と呼び、どの峠も難易度は少々高いもののエベレストエリアをぐるっと1周できるので、欲張りなトレッカーに人気だそうです。
私はコングマ・ラ・パスには行きませんでしたが、あるイギリス人曰く「途中に休憩できる村や小屋がないのも相まって、3つの中では1番大変だった」そうです。
持ち物
基本的には日本の山小屋泊と変わりません。防寒対策はしっかりと。とりあえずリスト化しときます。カトマンズで買うべきものには星印を付けておきました。
・登山に適した靴(登山靴、トレランシューズ等)
・バックパック
・レインウェア
・防寒着
・防寒具
・寝袋
・着替え
・地図☆
・ヘッドランプ
・トイレットペーパー
・サングラス
・日焼け止め
・衛生用品
・現金(後述)
・行動食☆
・水筒(1Lサイズ)
・高山病のくすり☆
・アクアタブレット☆、もしくは浄水器
・(ルートによっては)軽アイゼン、チェーンスパイク
以上が必須アイテムになってくると思います。以下一部詳しく書いていきます。
防寒着、防寒具
春に行くならダウンとフリース、あとはタイツ、帽子、手袋、ネックウォーマー、ウールの靴下ぐらいあるといいと思います。秋ならダウンを厚手のものにするなど調整は必要だと思います。標高が高いと小屋の中でもペットボトルの水が氷るレベルまで気温が下がるので、気持ち多めに持っていくといいかもしれません。
私はメインの防寒着としてはモンベルのスペリオルダウンジャケットを持っていきましたが、正直かなり心もとなかったです。標高5500mでエベレストの日の出待ちしている時は凍えてました。もう一枚ダウンかフリースがあれば良かったと思います。とはいえ、太陽がでていれば高所でも下着(長袖)、登山用シャツ、レインウェアのみで快適に行動できました。
防寒具としてはウールの帽子とウールのハイソックスをカトマンズで購入していきましたが(合わせて650ルピー)、これらはかなり重宝しました。小屋に着いてから靴下を履き替えることによって冷え性の私でも快適に過ごすことができました。
カトマンズでは防寒具(贋物)が安く購入できるので、カトマンズで購入→トレッキング終了後に破棄、というのも常套手段らしいです。もったいない気もしますが…。
寝袋
春なら3シーズンようで十分です。小屋では基本的にブランケットがあるので寝袋+ブランケットで寝るには困らない暖かさになると思います。私は寝袋は小屋で借りられるという情報があったので、持っていきませんでした。(結局、寝袋は借りませんでしたが…)
地図
カトマンズの地図屋にたくさん売ってます。青い表紙のものがバラエティ豊富でオススメです。注意点としては絶対に最新版のものを買うことです。登山ルートが変更されている可能性があります。私は地図を頼りに進んでいったら見事に旧ルートを歩く羽目になり、大変な思いをしました。場末の地図ショップだと古いものしか売っていない場合があるので、タメル地区の大きなお店に行くといいです。縮図は大きいに越したことはないです。
地図は買ったけど読めないから全然見てない、という方に会いました。メインルートでしたら人が多いので迷うことはないでしょうが、せっかくの機会なので地図の読み方を一通り勉強していくとトレッキングがより楽しいものになると思います。
トイレットペーパー
標高4000mを越えてくるとトイレが水を使ってお尻を洗うタイプではなくなり、トイレットペーパーの使用になります。小屋でも買えますが、当然高く付くので下界から持っていきましょう。
行動食
山でももちろん買えますが、カトマンズで買った方が安いうえに選べます。定番はスニッカーズやクッキーですが、私はグラノーラバーを持っていきました。そして、忘れちゃいけないのはのど飴です。山はかなり乾燥しているので必須です。ネパールでも買えますが変なものしか売ってないので、日本からお気に入りのを持っていくのが良いと思います。
水筒
ネパールでは水は基本的に1L単位なのでそのサイズの水筒があると便利です。私はペットボトルで代用しましたがネパールのペットボトルは蓋がやわなので水筒を持っていくのが無難でしょう。カトマンズでも安く購入できます。
高山病の薬
いわゆる、ダイアモックスです。最近ではゾラマイドという名前らしいですが、カトマンズの薬局で”ダイアモックス”と言えば伝わります。厳密には高山病の薬ではないですが万が一に備えて持っていくに越したことはないでしょう。
アクアタブレット、浄水器
生水を飲むのはあまりにも危険すぎるうえに、ボトル入りの水は標高が上がると高くなるのでどちらかを持っていくのが無難でしょう。アクアタブレットはカトマンズの登山用品店等で購入できます。50錠いり500ルピーでした。たぶんもっと安く買えます。
アクアタブレット,50錠入り500ルピー
軽アイゼン、チェーンスパイク
エベレストからゴーキョに向かう際に通るチョー・ラ・パスを超える予定がある人は必須になります。他の方のブログには、「自分は持っていかなかったが、持っていったほうが良い」と書いてありますが、私は声を大にして言います、絶対に必要だと。スニーカーで登山するシェルパですらアイゼンをつけていました。
チョー・ラ・パスの雪の急斜面。道は雪が踏み固められスベスベ。ストックもあるといいだろう。
エベレスト・トレッキングでかかった費用
私の場合、日本からネパールまでの航空券を含めず、エベレストトレッキング19日間で使用した金額はおよそ35,000ルピーでした。これは交通費やカトマンズでの買い出し、国立公園の入場料、タメルでのお茶代を含めた金額です。山小屋で使用した金額は1日平均1500ルピー程でした。とはいえ、かなり節約したほうだと思いますので参考程度に留めておいて下さい。
1日2500〜3000ルピーもあれば好きなものも食べれて快適に過ごせるので、×日数分+予備として10,000ルピー+念の為の日本円や米ドル、があれば安心だと思います。
ルクラ、ナムチェにはATMや両替所があります。
wifiは200MBを600ルピーで購入できます。
パーミッションフィーは以下の通りです。
サガルマータ国立公園 3200ルピー
ルクラもしくはナムチェの手前で払うTIMSの代わり 2000ルピー
ロブチェへの入場料? 500ルピー
シバラヤ周辺の国立公園 2200ルピー (ルクラ、サレリからの場合不要)
余談:水に関して
標高があがるにつれ物価が上昇します。参考程度に水1リットルの値段は、
カトマンズやジリ、サレリ等の麓の町では25ルピー前後
ナムチェまでは100ルピー
ナムチェをすぎると200ルピー
EBC(エベレストベースキャンプ)に一番近いゴラクシェプでは400ルピー
が目安になります。ナムチェまででも山の中のアクセスが悪い村では200ルピーしたりしますが。
とはいえ、小屋の人に水筒を見せながら「水くださいな」といえば無料でくれます。この水は雨水や川の水なので前述したアクアタブレットや浄水器を使いましょう。
しかし、ゴラクシェプでは水は貴重らしく400ルピー払って買うしかありません。なので、手前の町ロブチェで多めに汲んでくると節約できます。
アクセス
カトマンズからエベレストエリアへのアクセスは大きく3つの方法があります。
飛行機でルクラへ(片道170ドル前後)
ジープでサレリへ(1400ルピー、ルクラまで3日)
バスでジリへ(580ルピー、ルクラまで1週間)
特にこだわりがなく、お金があるなら飛行機を使えばいいと思います。私は次行くなら間違いなく飛行機を利用します。
さて、下2つの陸路での移動ですが現在ルクラまで車道をつなげようとしているらしく、日々道路が拡張されていってます。ジープですとサレリからさらにタクシンドゥの町(ヌンタラの手前)まで行くことができます(2018.4)。
正直、サレリからリンモという町までは砂埃舞う車道を延々と歩くはめになるので、利用するのも手だと思います。値段は2人に声をかけられ、2人とも500ルピーと言っていました。乗る気がなかったので交渉はしませんでしたが、値下げは可能でしょう。
バスの場合ジリで乗り換えてシバラヤ、さらにその先のバンダラまで行くことができるようです。バスでシバラヤまで行ってしまうトレッカーが多いようです。
バス、ジープ共に道中は悪路が続きます。ジープは乗る席にもよりますが運悪く3列目に乗せられるとなかなかに辛いです。助手席、2列目ならまだましなのでしょうが。
節約するならジープを使うべし
道中の食費、宿泊費を含めるとバスを使うよりもジープでサレリまで行くのがお得です。カトマンズでジープを下りた場所からタメルまではタクシーで500ルピーでした。
カトマンズのバス停
ラトナパーク・バスパーク、オールド・バスパーク、プラーノバスパーク等呼び方がいろいろあります。タメル地区から徒歩で行けますし大量のバスが停まってるので分かりやすいと思います。チケットはバスパーク内にある鉄格子の付いたほったて小屋で買えるのですが、いくつも並んでいる上にネパール語の看板しかないので困ったものである。とはいえ、適当なチケットカウンターで「ジリ?」と聞くと「隣だよ」とか返してくれます。基本的に英語通じます。おじさんがチケットの詳細を聞いてくるので(明日か?6時と8時があるけどどっちがいいんだ?とか)適当に答えましょう。お金を払えばチケットを貰えます。5時30分にチケットカウンターの前に集合と言われます。
当日はバス停に行き、チケット売り場の前で待っていましたが、特に案内される様子も無かったので、大声で叫んでいる人に「ジリ?」って聞きつつチケットを見せると、あっちだと指さしてくれます。が、あっちには山の数ほどのバスがあって、どれがどれだか分かりません。あっち行ったりこっち行ったり、たまに人に聞いたりしても分からず、またチケット売り場の前に戻って別の人に聞いたら、親切にも連れていってくれました。実際にバスが止まっていたのはバス停の出口のすぐそばでした。(分かるわけがない)
トレッキング中の1日の流れ
前日に朝食のメニューと時間を伝えておきましょう。春の場合、午後からは雲がでて景色が楽しめなくなる可能性が高いので、なるべく朝早くから行動するのがいいでしょう。あまりにも早いと小屋の人が起きてくれないので、6時起床7時出発ぐらいがいいと思います。
朝食後、もしくは出発前に小屋で使った金額をまとめて支払います。
昼ごはんは途中の小屋で食べることも可能です。途中に小屋がないということはなかったです。私は行動食で済ましていました。
目的地に到着したら泊まる小屋を探します。どこも似たり寄ったりなので、フィーリングで決めちゃいましょう。小屋に入って、部屋ありますか?と聞けばあとは小屋の人が勝手に案内してくれます。
夕飯は食べる直前に注文しても良いですが、事前にメニューと時間を伝えておくと小屋の人もありがたいそうです。ダルバートの場合、途中で「もっと貰えますか?Can I have more?」と聞けばおかわりを持ってきてくれます。大抵何も言わなくても持ってきますが。
寝る前に寒ければ、「もう一枚ブランケット貰えますか?」と聞けば大抵の場合は貸してくれます。シャワーは好みですが、浴びた後に体が冷えるのであまりオススメしません。私は行動後にウェットティッシュで体を拭いていました。
TIMSカードは申請不要(2018.4)
他の方のブログですとトレッキング前にはTIMSカードの申請が必要と書いてありますが、2018年現在申請は不要になっています。(アンナプルナ方面へのトレッキングには必要です!) その代わり、ルクラもしくはタメルの直前でパーミッションを購入する必要があります。つまり、エベレスト・トレッキングではカトマンズのツーリズムボードに行く必要はありません。
2018年8月からオーストラリアで出稼ぎワーホリ。日常の感情をつらつらとエッセイしていきます。