やまと薔薇
ふくよかな唇は饒舌そう
あお空に映える無邪気な容姿
なのに、たくさんの秘密を抱えているような
野性的でおおらかな肢体だから
用心深く触れないと怪我をする
かたくなな幼さが匂いたつ 春の庭
強靭な無数の棘をまとうのは
愛されたい欲求を見透かされないためか
つよい生命に恵まれた花なのに
彼女たちが表情を閉ざす夜
おぼろげな囁きの中身は闖入者のうわさ
深いふかい茂みのくらがりに 彼女たちの戦利品
奪われたのは剪定バサミ
ふくよかな唇で、またひとつ秘密をつくる
初稿:2005/06/12
Ⓒ2022 Akira Yoshiyama and AKIRA
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