ハーメルンの笛吹き男
【ハーメルンの笛吹き男】
昔話って
結構ホラーなものが多くないですか
もったいないオバケ的な発想なのか
戒め、とか警鐘、とか
そんな感じのもの
子供のころの俺は
サンタクロースにしろ
もったいないオバケにしろ
ぜんっぜん通じない子供でした
いっるわけ、ねーじゃん
そんなんいいから、プレゼントよこせよ
みたいな腹立たしい子供だったんです
よく虐待されずに大人になれたものです
さて、そのホラーな話の続きでいうと
ハーメルンの笛吹き男を思い出します
グリム童話だったような覚えがあります
ドイツにあるハーメルンという街では
ネズミが大量発生し
街の人たちは困っていました
そこに色とりどりの服を着た男がやってきて
このネズミたちを始末するので
褒美が欲しい、と言い出します
大量のネズミに困っていた街の人たちは
そんなことができるのであれば
ぜひやって欲しい、と
その男と契約を交わすのでした
そして、男が笛を吹くと
ネズミたちは一斉に男の後に連なって
川の方まで向かってゆくではありませんか
催眠術にかかった様に
ネズミたちは川の中にどんどん入ってゆき
男はネズミたちを溺死させたのです
が、しかし
街の人たちは男に褒美を与えませんでした
男は怒り心頭でこの街を去るのでした
ところが、その年の6月26日
男が再び街に現れます
色とりどりの服を着たその男は
笛を吹きだすと
街にいたすべての子供たちが
催眠術にかかったように男に
ついていってしまうのです
そして、コッペン丘のあたりで
子どもたちはいなくなり
2度と街には戻らなかったのでした
このお話は
1286年6月26日
130名の子供が集団失踪したという
史実をもとに
後世の作家たちが
ストーリーを付けたんだそうです
話の内容は、すごく単純です
大人たちが約束を守らなかったので
笛吹き男が笛を吹いて
町の子供たち130名を連れ去ってしまい
その後、子供たちは二度と戻ってこなかった
さぁ、この話
ただの物語なのか
それとも、後世に何かを伝えるために
メタ的な思想が隠されているのでしょうか
だとすると
この話から何を戒めろというのでしょう
だから、皆さん約束は守りましょう?
それはあまりに粗雑で強引で
面白みのない話だな
と思ってしまいます
この話にはもう少し詳細があって
実は町の子供たちの中で
2人だけ連れ去られなかった
という話があるのです
その2名とは、盲目と聾唖
つまり障がい児
ハーメルンの笛吹き男は
健康な子供たちしか相手にしなかった
ということになるんです
ハーメルンの笛吹き男
否応なしに連れて行かれた子供たち
この物語の年代からも
戦に駆り出されていった
という仮説はどうでしょうか
最初のネズミのくだりは
国家からの圧力や権力の象徴で
我々のおかげで
お前たちは生きていれるんだぞ的な発想
だからこその徴兵令、なのではないでしょうか
残された親からすると
理不尽極まりなく
2度とこんな悲劇は起こらないで欲しい
そんな風に思うかもしれません
ドイツのハーメルン市では
この史実にある130名の子供たちの冥福を祈り
縁起事、祝い事を禁止する通りが
実際にあるんだそうです
800年の時を超えてもなお
現代にその痕跡を残しているんですね
なので、もしかしたら
かわいい我が子たちが
強制的に連れて行かれた
その深い悲しみの記憶を
忘れないため
そして、繰り返さないため
街全体の戒めとして刻まれ
時とともに
ハーメルンの笛吹き男
というファンタジーに姿を変えていった
なんて風に物語を解釈すると
自分の世界でしかないのですが
合点がいくわけでした
そうだとしたら、この話
児童向けの話じゃないですね(笑)
そうそう日本の童謡も
湿りっ気あるホラーばかりです
聞いたことあるかもしれません
かごめかごめ
真ん中の鬼役の子を円になって囲い
後ろの正面にいる子が誰かを当てる
という歌遊びです
あれ、あの円から少し離れて
見てみたら
鬼役の子は目隠しをされているんです
かぁごめ、かごめ
かぁごのなぁかのとぉりぃは
いついつでよる
夜明けのばぁぁんに
ツルとカメがすぅべぇった
後ろの正面、だぁぁぁぁれぇ?
日本人にとって縁起の良い
ツルとカメが滑るほど
大変なことが起きました
捕まえた捕まえた
災いもってる鬼子を捕まえた
さてさて、鬼子よ
出られるもんなら出てみんしゃい
なんて風に見せませんか
災をもたらした犯人を捕まえて
集団リンチをしている風景
風の谷のナウシカで
ナウシカがオウムの子供を庇うシーン
どことなく、それを思い出すのでした
昔からある物語には
当時の社会情勢や事情の中で
印象的な出来事を切り取って
権力にバレないように、なのか
興味を示してもらうため、なのか
話がファンタジーとなり
マイルドになって
親から子へ
語り部たちから他の土地へと
語り継がれていったのかもしれません
知らんけど
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