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はいさいフェスタ

 数年ぶりに訪れた川崎,はいサイフェスタはレベルアップしたような,そのままの姿で待ってくれていたような。4日目までは幸い天気も良く,しっかりと楽しむことができた。ずっといたわけではないけど。
 お酒を飲んだり,食事をしたり,人と話したり,最近あまりできていなかったことができた。そして,音楽である。やっぱりぼくは音楽が好きみたいだ。自然と笑顔になっていた。

 沖縄を好きになったきっかけは,その文化だったと思う。主に音楽。三線の音色やその歌声,受け継がれる島唄の文化。それからお酒。戦争でほとんど破壊された中から復興していった泡盛。ただの強い酒のイメージしかないのが残念だ。まだまだこれからなのだろう。
 沖縄はその周囲を広大な海に囲まれている。島のどこからでも海が見られそうなところだ。島々は点在している。それぞれは小さいけれど,合計面積はかなり大きなものになるらしい。その大半にまだまだ自然が残っている。都会に暮らすぼくから見ると,自然の中で人間が暮らしているようだ。自然と暮らさざるを得ないとも言える。
 自然とともに生きてきたからこそ,昔の文化が残っているのだと思う。世の中の歌のほとんどはラブソングだと言われている。沖縄で出会った歌は,自然を讃えた歌や教訓歌に出会うことが多かった。もちろんラブソングも少なくない。しかし,東京の街で教訓歌に出会うことがあるだろうか。

 初めて沖縄に行ってから,およそ10年が経つ。沖縄の姿はだいぶ変わった。10年前,沖縄に行き始めた時,沖縄通の愛好家達から「沖縄は変わった」とよく聞かされていた。昔はこんな感じで,ここはこうなっていたなど昔を偲ぶような話をたくさん聞かされた。あれから10年,ぼくも気がつけば同じような話をしていることがある。愛好家になっているようだ。

 川崎と沖縄の歴史は長いようだ。沖縄からの移住者が多く住んでいた街。川崎ではかつて,店先に「琉球人お断り」など掲げられ,差別の対象にもされたらしい。そんな中,沖縄出身者同士でコミュニティーを作り,生活してきたようだ。そして,現代においては川崎の一つの文化を作っている。
 はいさいフェスタは今年で20回目。初めて参加した時より規模が大きくなったし,出入りしている人の数も格段に多くなったことが実感できた。「沖縄」と聞いて,愉快な楽しいイメージがどんどん人を呼んでいるようだ。
 そして,沖縄から発信される音楽,それは民謡など受け継がれてきたのもに限らず,人々に心に何か伝わっていくものがあるのだろう。毎度のステージの盛り上がり,知らない曲でも楽しめる。そんな雰囲気で満ちていた。
 あるアーティストが,お客さんの掛け声や声援を聞いて言っていた。「やっと音楽が帰ってきた」と。音がそこにあるだけでじゃない。人ともにあることが音楽なんだと感じさせてくれる一言だった。

 

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