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過去の記憶

 昔のことを振り返る。あの時,こうしていたらな。あの時,ああしてなかったらな。今はきっともっと幸せだったんだろうなって。
 中学生の時,ガラスを割った。もちろん事故。夜の校舎窓ガラス壊して回ったわけじゃない。その事故はぼくではない,他の人の仕業ということになった。私は静かに罪を逃れたのだ。

 今東京にいることは,ぼくにとっては面白くない。巡り合わせ,自分の選択,偶然,必然入り混じってここにいる。改めて東京は人が住むところではないことを実感した。これはぼくが18歳の時から言っていること。東京は楽しいけど,住むのには何もかもが多すぎる。
 それでも,こっちにきたからこそ出会えたものがある。それは形のあるもの,形のないもの。人,物,考え方,文化,空気。京都のあの部屋に,窓の外を奈良線が走るあの部屋にいたらきっとずっと出会うことはなかった。

 過去の記憶を思い起こして,あーーーーとなる夜は何度もある。それと同じぐらい,今があるのは過去のおかげとも考える。ぼくが生まれてからもうすぐ30年。幾つの分岐があったのだろうか。きっと今より良い世界もあっただろう。今を生きるしかないから,これがベストだったと考えるしかない。全部無駄な気さえしてくるけど。

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