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ことわざショートショート🌈『ニ階から目薬』

秀子はある決意をしていた。
憧れの北斗先輩に今日、告白するのだ。

でも、どんな風に伝えたら
良いのだろう。

秀子は高校1年生で
想いを告白した経験は無い。

菜々子や瞳は
LINEや
インスタでのやり取りが
きっかけで
今の彼氏と
付き合い始めたって言ってたな。

(でも・・・
やっぱり直接伝えたい。)

そんな想いが秀子にはあった。

何をどんな風に切り出して良いのか
全然思い付かない。

とりあえずノートに
書き出してみることにした。

『北斗先輩と話していると
とても楽しい気持ちになります。
卒業してからも
一緒に笑ってたいです。』

ちょっとふんわりし過ぎたか、
これじゃあ回りくどいかもしれない。

『好きです。
付き合ってください。』

これはちょっとストレートすぎる。
書いてるだけで顔が熱くなった。

『先輩は付き合ってる人とかいるんですか?』

まずは探りを入れてみるのはどうか?
先走りすぎてフラれるよりはいいかもしれない。

ふと時計を見ると
家を出ないと間に合わない時間になっていた。

考えがまとまらぬまま
通学路を歩いていく。

(なんか考えても仕方がない気がする。
先輩の顔を見てから言うことを決めよう。)

当然のように授業も全く耳に入らず
お昼も喉を通らず
気がついたら放課後になっていた。

どんどん早くなる鼓動のせいで
秀子は息が出来なくなりそうだった。

ひとまず先輩を一目見ようと
体育館へたどり着いた。

北斗先輩は風邪で休みだった。

【完】

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