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【ChatGPTプロンプト】 使える!?弁証法的思考×水平思考②

前回の記事ではChatGPTに弁証法的思考を実践してもらいました。弁証法とはなんぞや、という方は下の記事を参考にしてください。


今回は応用を試みます。課題は「商品コンセプトの提案」です。弁証法は矛盾・対立を解消する思考法でした。ChatGPTに世の中から矛盾を見つけ出してもらった上で、それを解消する商品を提案してもらいます。


目次
1,水平思考
2,プロンプト
3,ChatGPTの出力結果
4,   商品の検討
5,   結論
6, 補足


1,水平思考


その際、「水平思考」を実践してもらいます。水平思考をプロンプトに入れると、アイデアがクリエイティブかつ実用的なものになるとのこと。詳しくはこちらのツイートに書かれています。


早速プロンプトを作成してみました。

2,プロンプト

②下のプロンプトを入力します。

###指示###商品開発のコンセプトを生んでください。やり方ですが、まず矛盾を見つけ出し弁証法によってジンテーゼを導いてください。そのうえで水平思考によってジンテーゼを体現する具体的な商品を1つ提示し、詳細に説明してください。temperatureは7です。
###参考###弁証法の意味「弁証法は、哲学的なアプローチの一つで、テーゼ(thesis)、アンチテーゼ(antithesis)、ジンテーゼ(synthesis)の三つの重要な要素を用いて、アイデアや議論の発展や進化を説明するための方法論です。テーゼ(Thesis):テーゼは、あるアイデア、主張、または状況の初期の立場や主張を指します。これはある種の主張や仮説であり、通常はある問題に対する一般的な立場を表現します。テーゼは議論の出発点であり、特定の主張や信念を反映しています。アンチテーゼ(Antithesis):アンチテーゼは、テーゼに対する対立または反対の立場を表します。これは通常、テーゼと対照的な主張や意見を指します。アンチテーゼは、テーゼに対する反証や反論としての役割を果たし、テーゼとの矛盾や対立を明示化します。ジンテーゼ(Synthesis):ジンテーゼは、テーゼとアンチテーゼの相互作用や対立から生まれる新しいアイデアや解決策を指します。ジンテーゼは、テーゼとアンチテーゼの要素を組み合わせ、調和させ、より包括的で進化した理解や立場を形成します。ジンテーゼによって、議論やアイデアは発展し、新たな洞察が得られることがあります。弁証法は、これらのプロセスを通じて思考や議論の進展を示す哲学的なフレームワークです。テーゼとアンチテーゼの対立がジンテーゼに導くことで、より洗練された理解や解決策が生まれ、知識や思考の進歩が可能となります。」
###出力形式###【テーゼ】、【アンチテーゼ】、【ジンテーゼ】、【商品説明】の順でお願いします。

プロンプトの説明

このプロンプトは「指示」と「参考情報」から成ります。「指示」は要望、方法、具体例の要求を含みます。「参考情報」には弁証法の意味を載せています。これでこちらの指定した思考法に沿って出力してくれるわけです。

①要望 「商品開発のコンセプトを生んでください。」

②方法 「やり方ですが、まず矛盾を見つけ出し弁証法によってジンテーゼを導いてください。」

③具体例の要求 「そのうえで水平思考によってジンテーゼを体現する具体的な商品を一つ提示してください。」


3,ChatGPTの出力結果

少し長くなりますが全文を載せます。商品アイデアは一番最後にあります。


矛盾の発見

一つの矛盾は、「デジタルコンビニエンスとアナログ体験」の問題です。現代社会ではデジタル技術が進歩し、多くの業務と活動がデジタル化されています。しかし、一方で人々は従来のアナログな体験や情報への渇望を持っています。

テーゼ (デジタルコンビニエンス):

テーゼとして、デジタルテクノロジーを利用した便益とコンビニエンスが強調されています。スマートフォン、オンラインサービスなどがこれに当たります。

アンチテーゼ (アナログ体験):

アンチテーゼとして、アナログな体験や情報への愛好者が存在し、デジタル依存に対抗する立場をとっています。

ジンテーゼ (デジタルとアナログの調和):

弁証法により、デジタルコンビニエンスとアナログ体験の矛盾から導かれるジンテーゼは、「デジタルエンハンスメント」です。
このコンセプトでは、デジタル技術を使用して従来のアナログな体験を豊かにすることを目指します。

水平思考によるジンテーゼの商品コンセプト:

商品名: 「Analogiaデジタルブック」

商品概要: Analogiaデジタルブックは、アナログとデジタルの世界を融合したブックデザインです。この特別な本は、物理的なページとデジタル要素を組み合わせ、読書体験を一歩進化させます。

1,特長:物理とデジタルの融合: 本のページに埋め込まれたQRコードをスキャンすると、デジタルコンテンツにアクセスできます。このコンテンツは本の内容を補完し、豊かな読書体験を提供します。
2,インタラクティブな要素: デジタル要素は読者と対話し、追加情報、音楽、ビデオなどを提供します。読者は物語に没入し、キャラクターや舞台についてより深く理解できます。
3,アナログ感覚: ページめくりの感触、紙のにおい、デジタル要素の魅力を組み合わせ、アナログな読書の魅力を保持します。
4,学習体験: 教育分野で活用でき、学習をより魅力的にし、情報の吸収を促進します。

Analogiaデジタルブックは、デジタルとアナログの調和を体現した商品で、新しい読書体験を提供します。このようなアプローチは、デジタル化が進む現代社会において、古典的なアナログ体験を再評価し、新たな可能性を探求する例として展示できます。

なんとデジタル要素を含んだ紙の本を提案してきました。



4,商品の検討

いや、でもこれ一笑に付せないのでは。ページにQRコードを記載すれば読者はスマホで動画や音楽を再生できます。筆者が考えたことのないアイデアです。商品例を考えてみましょう。まず、「ホラー小説」。たとえば紙の本に次のような描写があるとします。

「郵便物の山のなかに明子は一枚のはがきを見つけた。綺麗な字で住所が書いてある。差出人の名前はない。裏返すとQRコードが目に飛び込んできた。明子はそれをスマートホンに読み込んだ。」

ここで読者がページをめくると、はたして、QRコードがある。読み取るとスマホ画面にJホラー風の恐怖映像が流れる。読者は小説の登場人物が見たのと「同じ」動画を見てしまう・・・。

こんな読書体験が可能になります。文章を通して体験していた架空のQRコードが突然目の前に現れる。この仕掛けにゾクリとする読者もいそうです。

デジタルですから動画にかぎらず小説内音楽、小説内ゲーム、小説内Webサイト、なんでもスマホからアクセスして実際に体験できます。小学生時代、筆者は江戸川乱歩の少年探偵団シリーズにはまった時期がありました。乱歩の文章も好きでしたが、挿絵を見るのも楽しみでした。挿絵がオーケーでデジタル要素はダメという道理はないでしょう。これはこれで新しい読書体験と言えるのではないでしょうか。

他に考えられる工夫は本のアナログ感覚を敢えて強調する、というものです。ChatGPTが解答してくれたように本には独特の感触と匂いがあります。デジタル要素に加えすこし凝った紙を使用して感触や香りを楽しんでもらうことも可能でしょう。


5,結論

弁証法と水平思考を組み合わせたプロンプト、少なくとも今回は成功したと言って良いのではないでしょうか。クリエイティブですし、実現困難という感じでもありません。なにより手軽です。プロンプトを入力するだけでコンセプトが手に入るわけで。ブレインストーミングの際に役立つのは・・・。

「Analogiaデジタルブック」以外にも「UrbanEscape(アーバンエスケープ)」(都会向け移動式オアシス)というアイデアを出してくれました。水平思考のおかげでおもしろいアイデアを出してくれます。

次の課題は提案された商品アイデアの吟味です。需要の有無、実現可能性、価格設定、収益性など商品化にあたって考慮する項目はたくさんあります。この作業に弁証法は貢献できるのでしょうか?つづきは次回の記事で。


6,補足

ChatGPTが提案した「Analogiaデジタルブック」という商品名ですが、これについて少し考えたいと思います。「Analogia」は〈比例〉を意味するギリシア語です。おそらく「アナログ」という言葉からこの商品名がついたと思われます。

「アナロジア」と「デジタル」の比較については次の記事が詳しいです。


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