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ChatGPTプロンプト 使える!?弁証法的思考

ChatGPTのプロンプトに関してあるツイートを見つけました。

38もの思考が紹介されています。私も一つChatGPTで実践できる思考法を紹介したいと思います。

(長めの記事です。プロンプトと出力から見たい方は目次「3,弁証法を操るChatGPT」をご覧ください。)

目次

1,弁証法とは

2,弁証法の意味をChatGPTに尋ねてみる

3,弁証法を操るChatGPT

4,ChatGPTの回答を調べる

5,結論

6、補足


1,弁証法とは

意味

弁証法はもともと哲学用語です。しかし今では日常的に使われるようになりました。哲学者によって弁証法にこめた意味が異なるので様々なパターンがありますが、ここではグロービス経営大学院のMBA用語集から引用したいと思います。

 

弁証法とは、ある命題(テーゼ)と対立関係にある命題(アンチテーゼ)を統合し、より高い次元の命題(ジンテーゼ)を導き出す止揚(アウフヘーベン)の考え方を土台とした思考法。
 (省略)
 弁証法のベースとなる止揚(アウフヘーベン)の考え方のポイントは、対立する二つの命題(テーゼとアンチテーゼ)に優劣があるわけではないということ。片方の命題がもう片方の命題を打ち消すのではなく、統合され進化していくという点にある。

(引用元 グロービス経営大学院 MBA用語集)

要点を整理すると
 ①弁証法の土台はテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼからなる。
 ②テーゼとアンチテーゼはアウフヘーベンによって統合・進化する。
となります。

これでもまだ理解しづらいのでMBA用語集から具体例をあげます。

具体例1


・テーゼ:ユーザーはゲームに楽しさを求めている

・アンチテーゼ:ユーザーは運動不足を懸念し、ゲームを控えるべきと思っている

・ジンテーゼ:楽しみながらできる運動を取り入れたゲームソフトを開発しよう

この例では「ユーザーはゲームに楽しさを求めている」と「運動不足を懸念し控えるべきだと思っている」という二つの命題が一見対立しているように見えます。しかし「運動できるゲーム」というアイデアによって「楽しみながら運動できるゲームを開発する」というジンテーゼが導きだされています。はじめ「ゲームを楽しめば運動ができない」という矛盾がありましたが、ジンテーゼにはテーゼの「ゲームを楽しむ」とアンチテーゼの「運動するべき」という二つの要素が矛盾することなく統合されています。もう一つ弁証法の事例をあげます。]

具体例2

・テーゼ:栄養価も高く美味しいお肉を人々は求めている

・アンチテーゼ:世界的に肉食が広がると、食糧資源の枯渇につながる

・ジンテーゼ:大豆等を原料に、栄養価が高く、美味しい人工肉を世に広めよう

この事例でも「美味しい肉を人々は求める」と「食料資源の枯渇を防ぐ」は
矛盾しているように見えます。人々が存分に肉食しながら食料資源枯渇を促進させないことは成り立たない、というわけです。しかし大豆を原料とした人工肉ならば「肉食」と食料資源維持が両立します。当初の矛盾が、本物の肉は食べれないものの、解消されています。

ではChatGPTは弁証法ができるのでしょうか?試してみました。

2,弁証法の意味をChatGPTに尋ねてみる。

プロンプト

「弁証法をテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼという用語を用いて説明してください。」

ChatGPTの回答

「弁証法(Dialectics)は、テーゼ(Thesis)、アンチテーゼ(Antithesis)、ジンテーゼ(Synthesis)という用語を用いて、相反する要素やアイデアが相互作用し進化する思考法です。以下に、これらの用語を用いて弁証法を説明します:テーゼ(Thesis): テーゼは、あるアイデア、主張、または状況の初期の状態や立場を指します。これは特定の立場やアイデア、状況が存在することを表します。テーゼは通常、ある問題や状況に対する最初の主張や立場です。
アンチテーゼ(Antithesis): アンチテーゼは、テーゼと相反する要素やアイデア、逆の立場を指します。アンチテーゼは、テーゼに対立する要素や反対の意見であり、テーゼとの対立が存在します。
ジンテーゼ(Synthesis): ジンテーゼは、テーゼとアンチテーゼの相互作用によって生まれる新たな状態や解決策を指します。弁証法的思考では、テーゼとアンチテーゼが相互作用し、議論やディスカッションが行われることで、新たな洞察や結論が導かれ、新しい立場や解決策が生まれます。


弁証法的思考の基本的なアイデアは、相反する要素が衝突し、その対立と相互作用が新たな洞察と進化につながるという考え方です。テーゼとアンチテーゼが存在することで、議論や対話が促進され、最終的にはジンテーゼが形成され、問題の理解と解決策の発展が可能になります。弁証法は哲学的な思考法の一つであり、知識の進化と問題解決のツールとして広く使用されています。」

最初に紹介した意味とおおむね一致しているようです。今度は弁証法を実践してもらいます。

3,弁証法を操るChatGPT

プロンプト

テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼをあげながら、「明日、レジャーで山と海どちらにいくべきか」について結論をだしてください。

ChatGPTの回答

『もちろん、山と海のレジャーの選択に関して、テーゼ(Thesis)、アンチテーゼ(Antithesis)、ジンテーゼ(Synthesis)を考えて結論を導き出してみましょう。

テーゼ(山に行くべき):山に行くことは、新しい冒険を提供し、ハイキングやアウトドア活動の機会を提供します。
山の景色は美しく、自然環境を楽しむチャンスがあります。
山に行くことで、リフレッシュし、ストレスを解消できるかもしれません。


アンチテーゼ(海に行くべき):海に行くことは、ビーチでのリラックスや水泳、日光浴などの楽しみがある。
海は、波の音や塩水の匂いなど、独自の癒しを提供します。
海辺で過ごすことで、親しい友人や家族と楽しい時間を過ごす機会があります。


ジンテーゼ(結論):弁証法的思考を通じて、山と海の選択については、どちらも魅力的な要素があります。したがって、結論としては、時間と予算に余裕がある場合、異なる機会に山と海の双方を楽しむことを検討することが最適かもしれません。
例えば、週末の一日は山にハイキングに行き、別の週末の一日は海に行ってビーチでリラックスすることができます。
また、山からの景色を楽しみながら、海の波の音を聞いたり、自然の美しさとビーチの楽しみを組み合わせることもできるでしょう。


このジンテーゼにより、両方の選択を楽しむ方法が提案され、両方の環境を堪能する素晴らしいレジャーの機会が得られます。』


4,ChatGPTの回答を調べる

 ChatGPTの回答を分析します。
 テーゼは「山に行くべき」、アンチテーゼは「海に行くべき」としています。さらに山と海それぞれの利点をあげています。ここが対立です。山に行くべきかそれとも海に行くべきかと意見が対立しているわけです。もちろんこの対立が生まれるのは「一日に山と海の両方を巡ることはできない」という前提があるからですが。
 ChatGPTはこの対立を解消するジンテーゼを二つ用意してくれました。一つ目が「異なる日に行く」です。次の週末は海に、その次は山に行って両方楽しむという案です。確かに「時間をずらす」というアイデアによって対立が解消されています。一日で両方行けないなら別の日に行けばいいじゃん、という話です。
 二つ目の解消法は「一日で山と海を両方楽しむ」です。たしかに日本にも海と山が近い土地が多そうです。であれば山の頂上から海を楽しむとか、体力があれば山で軽いハイキングをしてから海で汗を流す、みたいなこともできるでしょう。山かそれとも海かという凝り固まった対立がうまく解消されいるようにみえます。

5,結論

問題は単純なもののChatGPTは弁証法を実践してくれたと思います。筆者の直感だと他の問題でもうまく処理してくれそうです。弁証法を使いこなすChatGPTは様々な分野で活躍してくれる気がします。例えば旅行先の相談。「山に行こうか海に行こうか迷ってるんだ」と聞く。すると「山と海両方を一日で楽しめる場所がありますよ」と具体的な観光地まで答えてくれる。さらに詳細な旅行計画まで立ててくれる。こんなサービスとかおもしろそうです。悩み事があればChatGPTに弁証法で解決できるか尋ねてみるのもありかもしれない。


6,補足

肉食人気と食料資源枯渇の対立についてChatGPTに尋ねてみました。

プロンプト:


いまテーゼ「人々は肉食を求めている」とジンテーゼ「肉食は食料資源枯渇につながる」があるとき、弁証法によってジンテーゼを導いてください。

ChatGPTによる解答:


『弁証法的思考を用いて、テーゼ「人々は肉食を求めている」とジンテーゼ「肉食は食料資源枯渇につながる」を結びつけてみましょう。以下はそのプロセスです:

  1. テーゼ(人々は肉食を求めている):

    • 肉食は多くの人にとって好みの食事であり、肉料理は一般的に人気があります。

    • 肉食はたんぱく質摂取や栄養バランスに寄与するため、多くの文化で一般的です。

  2. アンチテーゼ(肉食は食料資源枯渇につながる):

    • 肉の生産には多くの資源が必要で、家畜の飼育や畜産業は大量の飼料、水、土地を必要とします。

    • 世界人口の増加とともに、肉食の需要が増大すると、食料資源への圧力が高まり、環境への負担も増加します。

    • 肉産業には二酸化炭素の排出や森林伐採などの環境への悪影響が伴う。

  3. ジンテーゼ(結論):

    • 弁証法的思考に基づくジンテーゼでは、肉食の人気と食料資源の枯渇という対立的な要素を結びつけることができます。

    • 肉食の人気を理解し、食事の一部として肉を楽しむことは多くの人にとって重要ですが、肉食に対する需要の増加は食料資源への圧力を高め、環境に影響を及ぼす可能性があります。

    • そのため、肉食については持続可能な生産方法や代替タンパク質源の探求が重要であり、食料資源の持続可能性に配慮しながら、肉食の人気とバランスを取る必要があるでしょう。

ジンテーゼは、肉食の好みと環境への配慮を両立させ、持続可能な食事習慣を採用するための提案となります。このアプローチは、食事における個人や社会の選択をより持続可能な方向に導く助けになります。』

評価

ちゃんと代替たんぱく質源に言及してくれました。


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