見出し画像

【自治トピックス】No.45

 週に1~2度、朝から東京に出る機会がある。某駅から都営バスに乗って車窓を眺めていると、沿道に警察官の姿が多いことに気づく。東京五輪開催中にも厳重な警備に出くわしたことはあったが、それに近いイベントが開かれる予定はないし、外国の要人が訪日しているというニュースも聞かなかった。バスが停留所に止まると、普段なら停車中のバスを追い越す車がいくつかあるものだが、ピタリと追い越しがなくなっていることに気づいた。それで、ようやく事態を把握した。後ろを見ると、白バイが先導して大名行列のように警備の車に挟まれて黒塗りの車が近づいてくる。白バイはバスの運転席に横づけすると、何やら運転手に耳打ちし、運転手は軽く頷いた。白バイが再出発すると同時に、黒塗りの車が追い越した。事情を察した乗客の何人かが車窓から〝それ〟に向かって手を振る。なぜかは分からないが、この大名行列は途中でUターンし、反対車線を走り去った。バスは何事もなかったかのように発車した。途中、反対車線の途中で警備車両が車を止めていた。通行量が多いわけでもないのに渋滞の列が延々と続く。しばらくすれば、彼らもようやく渋滞から解放されるだろう。

 このやりとりは朝、ほぼ同じ時間に行われていることを知った。黒塗りの車は厳重に警護されているが、窓からは高貴なお方がやさしい微笑みで手を振っている。どちらにご出勤なのか、それともご通学なのか、それは分からない。ご自分の移動にどれだけの国民が動員されたり、滞留を余儀なくされているのかも、おそらくご存知ではなかろう。この国は、立憲君主制の国なのである。

 さて、週の初めはニュースの切り抜きを集めよう。

 複数の都民フ都議によると、都民フ内部では以前から、所属国会議員がいない現状で国政に絡む事柄に対応するのは難しいという声があった。7月の都議選で第2党の勢力を確保した後、こうした意見が強まり、9月下旬の会合で荒木氏に国政進出に関する対応を一任することを決めたという。一方で今回の衆院選への挑戦は見送るべきだという都議もおり、一枚岩とは言い難い状況だった。

 新たな政治団体結成を打ち出したものの、その後は足踏み状態が続く。公募での候補者選考は難航し、現職都議のくら替え立候補も「都議選から3カ月で辞職すれば有権者に理解されない」と慎重論が出た。さらに、新党結成を目指していた上田清司参院議員との連携も成就しなかった。

 普通、大々的にホテルで記者会見まで開いて国政新党の樹立を宣言したのだから、結果として候補者が見つからない、勝てる展望がないというのであれば、誰かが詰め腹を切らされて〝神風〟を信じて立候補するものではないか。それがまさか、候補者を立てられずに敵前逃亡するという。

 小池都政最大の爆笑案件となってしまった。

 組織として、記者会見を開く前に事前にブレーキをかけられなかったことをしっかり総括しないと、政党として瓦解するのではないか。少なくともまず、衆院議員を一人でもいいからオルグし、「ファーストの会」としての出馬を了承した上で、次は公募という流れが普通だ。

 おそらく、彼らにとっては選挙とは国盗りゲーム程度の感覚しかないのだろう。都民ファは、これまでポピュリズムの力を借りて勢力を確保してきた政治団体で、そういう形でしか勢力を伸ばせない。改革派を組織し、地盤を広げるという発想がないのだ。

東京都の小池百合子知事は15日の定例会見で、19日公示の衆院選について「私自身、出馬することはございません」と、不出馬をあらためて明言した。

 これで、小池知事が国政に進出できる可能性はほぼ潰えたと言っていい。衆院選で自民党がボロ負けし、政局が不安定になれば、また別の芽も可能性として考えられるが、立憲・共産の野党共闘にせよ、維新にせよ、議席を伸ばすことはあれど、自公政権の脅威になるとは思えない。野党再編の機運も今のところ期待できないのではないか。

 副知事2人の交代も、そういう意味では自然な流れで、当分知事をやらせていただきますという姿勢の表れだろう。

 7月の東京都議選の選挙運動期間中に起こした無免許運転での人身事故を公表せずに再選した木下富美子都議(55)は13日閉会の都議会定例会に一度も出席せず、2度の辞職勧告決議が可決されたことへの見解を会期中に直接説明するよう求める正副議長名の要請に応じなかった。体調不良を理由にしている。

 都議会側がじわじわと「除名」に向けた既成事実づくりをしている。辞めさせられたくなければ、反撃が必要だが、動く気配もない。さて、都民ファとしては、製造者責任をどう取るのか。木下都議を引きずり下ろしました、だけでは都民は納得できないだろう。

 衆院選で比例代表近畿ブロックから自民党公認候補として擁立が決まった柳本顕・元大阪市議(47)が16日、大阪市内で記者会見し、大阪3区での無所属での出馬見送りを正式に表明した上で、「期待されていた方を裏切る行為になり、断腸の思いだ」と陳謝した。

 維新は公明が都構想に賛成することを引き換えに衆院小選挙区に対立候補を出していない。しかし、前回の住民投票で公明は支持者の半分が都構想に反対票を投じている。本来、この件で立場が悪いのは公明の側なのだが、こともあろうに公明は全国の自公協力に影響があるかのような恫喝をしてきたから、柳本氏は出馬を断念せざるを得なくなったわけだ。

 しかし、考えてみれば、自公政権が瓦解して困るのは公明の側ではないか。単独で戦えるなら戦ったらいい。小選挙区で勝てないばかりか、比例票まで目減りするはずだ。今さら野党共闘に公明が参加できるわけもない。まして、維公共闘などあり得ないだろう(維新の候補者が発狂する)。

 柳本氏が「アホか」と山口公明代表を蹴ってやれば良かったのだよ。

 大阪市は12日、水道局の技能職員5人が日本中央競馬会(JRA)の競走馬の仮想馬主になって賭博をしたとして常習賭博の疑いで大阪府警に書類送検された問題を受け、水道局全職員への聞き取り調査の結果を公表した。ほかにも8人が賭博に参加していたことが判明。期間は20年間に及んでいた。

 さすが、大阪市はカジノ誘致を進めているだけあって、ギャンブルに造詣の深い職員が多いらしい。それにしても、20年間に及んで外部に漏れなかったのか。そのうち10年は維新首長だったはずだが。

 堺市の竹山修身(おさみ)前市長(71)の関連団体で政治資金収支報告書に多額の記載漏れがあった問題をめぐり、市議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で回答を拒否したなどとして、地方自治法違反罪で告発された竹山氏ら4人について、大阪地検特捜部は15日、不起訴とした。

 ここのところ全国で百条委員会が乱発されていて、どれもこれも告発した案件は「不起訴」となっている。結果、百条委員会に呼ばれても拒否していい、出頭しても質問には適当にはぐらかせばいい、そういう議会の権威を貶めるイメージが定着してきている。

 百条委員会は伝家の宝刀。そういう定義自体が揺らぎつつある。これは政治家の失政だと自覚すべきだ。

 2020年度一般会計決算をめぐり、兵庫県明石市議会の決算審査特別委員会は12日、反対多数で不認定とした。現在開会中の9月定例会では、5千円分のサポート利用券の配布を泉房穂市長が専決処分したことについて不承認としたほか、住民投票条例案なども否決。13日に行われる本会議の採決で同決算が不認定となれば、同市史上初めてという異常事態に直面する。

 執行機関と議会との緊張関係は悪いことではない。大いにケンカして、決めるときには決めればいいだけだ。ただ、決算の不認定など、首長にとっては痛くもかゆくもない。予算執行には何の影響もないからだ。主戦場はやはり予算審議である。

 愛知県東部の新城市で、二十四日告示の市長選を前に、立候補予定者による公開討論会が実施された。他の自治体と違うのは、全国初の市条例に基づく公営討論会だったことだ。市のリーダー選びを通じて、市民が主体的に街づくりに参加する「市民自治」の活性化を狙う試みといえよう。
 同市では二〇〇五年から、市長選に合わせ、新城青年会議所(JC)などで構成する実行委員会が討論会を開いてきた。だが、JCメンバーの減少は地方都市共通の悩み。現在人口四万四千人弱の同市でも一七年の討論会は開催が危ぶまれたが、各立候補予定者が推薦した実行委員がJCと一緒になって何とか討論会を実現した。

 私も子どものころに観に行った覚えがあるが、昔は選挙では立会演説会が行われていた。最近では自主的にJCなどが公開討論会を開くが、あくまで民間ベースの話。愛知県新城市では市の条例で公開討論会が位置づけられている。こういう取り組みはもっと全国に広がってほしい。

 埼玉県戸田市議選で1月に当選したスーパークレイジー君(本名西本誠)議員(35)が、当選無効への不服申し立てを棄却した県選挙管理委員会を相手取り、裁決取り消しを求めた訴訟の判決が15日、東京高裁であった。渡部勇次裁判長は同議員が公選法で定められた住所要件を満たさず、「被選挙権はなかった」と述べ、請求を棄却した。議員側は、判決を不服として上告する方針。

 スーパークレイジー君の気持ちは分かるが、この裁判にこだわることにどれだけの意味があるのか疑問。本当に戸田市議になりたいというのであれば、4年間戸田市に住んで、コミュニティーに溶け込んで、地域の課題を洗い出し、公約を掲げ、次の市議選で文句なしに当選すればいい。でないと、同じことの繰り返しになる。

 福島市は15日、納税課で使っている公印(市長印・納税課用)を紛失したと発表した。12日に紛失が判明し、現時点で悪用は確認されていない。納税課は悪用された場合を考慮し、12日以降に「福島市長之印 納税課用」の公印が使用された文書が手元に届いたら注意してほしいとした。

 例えば、福島市の公印を架空請求詐欺に悪用されたら、高齢者はコロッと引っかかるかもしれない。ご注意を。

 「京都市営地下鉄の烏丸線に近鉄特急が乗り入れないのはもったいない」。そんな意見が、関東の大学研究者から京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。「特急乗り入れは地下鉄線のみの利用も見込め、市交通局にメリットがある」という。新型コロナ禍による経営難に直面する市営地下鉄にとって、光明となるプランなのか。研究者に話を聞いた。
 しかし、乗り入れのための費用はどれくらいかかるのだろうか。大塚准教授の計算によると、近鉄の特急車両乗り入れのためには安全装置やホームドアの改修に数十億円程度が必要と見込まれる。特急券販売システムの構築も必要だが、大塚准教授は「スマートフォンで購入する場合は割引料金とし、紙の切符は窓口でのみ発売とすれば、投資額はかなり抑えられるはず」とそろばんをはじく。

 近鉄は「通勤用特急」という需要があまりないので、いきなり地下鉄直通ということにはなりにくいのではないか。京都・奈良間の近鉄特急は観光用というイメージがある。

 まずは京都・大阪近郊の通勤特急の需要を開拓するところから始めてはどうか。通勤用であれば、京都止まりの特急より地下鉄経由で烏丸や北大路まで足を延ばすことができる。車両ドアも通勤電車に合わせればいい。

 それにしても、京都市交通局はインバウンド需要に頼り過ぎていて、ではどうやって儲けるのかという発想がない。

 ポケットモンスターで知られる任天堂の関連会社、ポケモン(東京都)は14日、ふくしま応援ポケモン「ラッキー」にちなんだ遊具を郡山、柳津、昭和、浪江の4市町村に寄贈した。浪江町の12月を先頭に各市町村が順次、各市町村の道の駅などに「ラッキー公園」として整備する予定で、国内外で人気の高いキャラクターを活用した観光振興などの地域活性化が期待される。

 県と同社による連携協定の一環。同社からの自治体向けの遊具の寄贈は全国初。同社は、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」と連動させた仕掛けも計画しているといい、県や各市町村は新型コロナウイルス収束後の外国人旅行客をはじめとした交流人口拡大を見据える。

 ラッキーをゲットしようと福島を訪れる人たちがいるのだろうか。それにしても、自治体は潰れて消えたりしないが、企業は永遠に存続するわけではない。荒廃した被災地に、荒廃した「ラッキー」の遊具が放置されることのないようにしてほしいものだ。

 「迫ってくる相手が初めて見えた戦い。当選は簡単ではない」。10日、自民前職の金子万寿夫氏(74)が鹿児島市で開いた事務所開き。谷山地区を地盤とする園田修光参院議員(64)=比例=が、4期目を目指す陣営の危機感をあおった。

 「相手」とは無所属新人で元知事の三反園訓氏(63)のことだ。知名度を武器につじ立ちなど選挙区の至る所で「ゲリラ戦」(自民県議)を仕掛け、金子氏陣営は色めき立つ。

 野党共闘で知事になった人が保守の味を忘れられず、国政に転身しようとしている。誰か成仏させてあげてほしい。

 羽田空港(東京都大田区)の着陸機が都心上空を飛ぶ新ルートについて、渋谷区議会は13日の本会議で、国に運用停止の検討を求める意見書を全会一致で可決し、同日付で国に意見書を提出した。新ルートを巡り、同区議会が意見書を提出したのは3回目。
 意見書は、国土交通省が設置した新ルート見直しの検討会について「(過去に提出した)意見書の内容を踏まえているとは言いがたい」と指摘。「現行の管制システムであれば従来の海上ルートでの増便が可能で、都心上空を通過して着陸するルートの必要性はなくなった。早急に運用の停止を検討するよう強く求める」としている。

 全会一致というのが強い。コロナ禍で羽田空港の発着は減っているのだから、わざわざ危なっかしい都心の新ルートを利用する必要もないはずだが、相変わらず運用が続いている。羽田の発着枠があふれたというなら分かるが、この状態が続くならしばらく運用を休止してはどうか。

 最後は微笑ましい話題を。

 「『ひやけのひと』はありますか」「それは『火宅の人』です」―。福井県立図書館が、探している本の題名が曖昧な利用者の問い合わせに回答した「覚え違いタイトル集」が、このほど書籍化される。同館ホームページで公開中の内容が面白いと好評なことを受けたもので、担当者は「図書館の調べ物サービスを知ってもらう機会になってほしい」と期待する。

  「100万回死んだねこ」には笑った。ま、100万回生きていれば、100万回死んでるんだけどね(笑)

ほとんどの記事は無料で提供しております。ささやかなサポートをご希望の方はこちらからどうぞ。