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【自治トピックス】No.42

 先日、俳優座劇場で開演した舞台を観劇するため六本木を訪れた。これまで仕事で年に数回、六本木を訪れているが、コロナ禍に入ってからは初めてだった。六本木ヒルズやその周辺は、コロナ禍前なら平日でも賑やかだったが、現在では閑散としている。おしゃれなカフェも空席が目立つ。帰り際、暗くなりかけた街に酒類を提供している飲食店をいくつか見つけた。さすが六本木というべきなのだろうか。政府は緊急事態宣言を9月末に解除する方針だが、知事たちは相変わらず「段階的」だとか、「何時まで」などと、酒場いじめをいかに続けようかと意欲満々だ。きっと「段階的」の段階が進む前に第6波が襲来し、あっという間に緊急事態宣言の発出に逆戻りするのではないか。そのとき、日本の首相は誰になっているのか。おそらく意気揚々と記者会見を行い、国民にまたもや自粛を求めるに違いない。

 さて、週の初めはニュースの切り抜きから始めよう。

 都によると、区部では開会式が始まる直前の配水量は通常より多かったが、午後8時に式が始まると減少に転じ、最大で平均よりも1割ほど減った。開会式が終了すると配水量が短時間で急激に増加し、都水道局は「終了と同時にトイレなどで水を利用する人が相次いだ」とみている。同様の傾向はサッカーなど注目競技の日にも確認された。

 新型コロナウイルスの感染状況を評価するモニタリング会議で出すような資料ではない。都民をバカにしているのか。こんな資料は、サッカーやラグビーのW杯でも、プロ野球日本シリーズでも、同じ傾向が出る。こんな資料を見て、ああ、都民はステイホームしたんだなとニンマリするのは非常に不毛だ。こうやって都民が自宅でステイホームしている最中、新型コロナに感染しても入院先が見つからず、自宅で苦しんだ患者がたくさんいる。自宅療養で亡くなった方もいる。こんな自己満足の数字を出して、何をいったいモニタリングするつもりなのか。

 会議には専門家の方も入っていたはずだ。こんな資料を出されて、怒りを感じなかったのだろうか。小池知事の自己弁明だけを目的とした資料を見せつけられて、はあ、そうですねと納得したのだろうか。

 行動制限緩和のための政府が行う実証実験について、先週の会見では「様子を見たい」と話していた小池知事。この日は慎重な姿勢を示した。同日午前に西村経済再生担当相が会見で「13の都道府県から参加の意思表明があった」とする報告に関して、小池氏は「私自身は(その報告を)存じあげません。手を挙げているとは聞いておりません。そのような報告は上がってきておりません」と述べるにとどめた。

 小池知事にはコロナ問題が〝東京問題〟だという当事者意識がない。これからも相変わらず、行動規制を緩和せず、自粛、自粛と、都民を締め上げていたいのだろう。これまでも、そういう規制側に立った方が自分にとっての得点稼ぎになったし、メディアも注目したからだ。

大阪府の吉村洋文知事は24日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が30日で解除された場合、10月以降は条件付きで酒類提供を容認する方針を示した。対象は感染対策の基準を満たした場合に府が発行する「ゴールドステッカー」の認証店を想定し、段階的に緩和していく考えだ。府庁内で記者団の取材に応じて明らかにした。

 その点、大阪の吉村知事はスッキリしている。基準を満たしたから解除しましょう。ただし、条件は付けましょう。

 大阪のコロナ対応の評価が高いのは、こういう分かりやすさだ。

 何しろ、ほんの1カ月前まで、国民からの批判を一身に浴びる菅首相とは対照的に、東京五輪パラリンピックでマスコミへの露出度を高めていたのが彼女だったのである。菅首相続投のまま衆院選に突入していれば、自民党の混乱に乗じて自らの国政復帰の野望を果たせた可能性は極めて高かった。だが、もはやその夢も潰えてしまったように見える。

 某業界紙から暴露本を出版して、天下り先を首になってしまった澤さんの論考(笑)

 菅首相の突然の辞任と自民党総裁選で、小池知事が完全に蚊帳の外に弾き出されたというのは、正しい分析。記者会見では自己弁明ばかりで、東京のリアルな感染状況と向き合っているとは思えない。したがって、感染者数が増えようが、減ろうが、これまでのルーティンでしかコロナ対策が出てこない。

 おそらく石原知事と同様、このままダラダラと2期目を終えて、3選するつもりなのだろう。小池都政は自公の傀儡政権となり、都民ファーストの会もそこに飲み込まれていく。かつて石原都政が実質的に自公民で支えられていたのと似ている。ミイラ取りがミイラになるのだ。

 東京都教育委員会などは21日、都内の公立や私立高校の入試計画などに関する協議会を開き、都立高校の入試で設けている男女別定員を段階的に見直す方針を決めた。計画的に緩和を進め、2022年度の入試結果の分析などを踏まえた上で男女合同定員による試験の実施時期を判断する。

 前向きな判断だと思うが、男女の比率が毎年変わってしまうと、トイレや更衣室の数や、男女別にならざるを得ない授業や部活などの対応は追いつくのだろうか。

 エスカレーターの事故防止のため、利用者に歩かず立ち止まって乗るよう努力義務を課す全国初の条例が、埼玉県で来月施行されるのを前に、大野元裕知事らが27日、さいたま市のJR浦和駅でチラシを配り、条例の内容を周知して安全な利用を呼び掛けた。

 議会が思いつきで作ってしまったアホみたいな条例に付き合わされる知事も気の毒だ。埼玉県だけエスカレーターでは歩けないとか、冗談みたいな条例だ。行政にはできることと、できないことがある。条例で何とかなるなら、誰も苦労しない。

 大分市議会は22日の議会運営委員会で、大分市議で覆面レスラーのスカルリーパー・エイジ議員(52)=写真=の覆面写真について「市議会だより」や市議会のホームページに掲載することを決めた。議会側は会議規則を理由に掲載を拒否し、議員側が市を相手取り、掲載を求めて大分地裁に訴訟を起こしていた。

 覆面レスラーに向かって、覆面を被るなと言うのは無茶。覆面を被ったレスラーに市民は投票し、見事に当選したわけで、覆面を理由に掲載を認めないのは、投票した市民を冒とくしている。

 というか、アホみたいな争いなので、さっさと認めて、普通に議会を開いてもらいたい。

 海水浴場が開設されたことで「海や浜における来場者の安全が確保でき、秩序が維持されるなど、一定の役割を果たした」とする一方で、「砂浜で飲酒や一部海の家でルールの徹底が不十分だった」とも指摘。改めて周辺住民の意見を聴く機会を設けるなど、顕在化した課題の改善に努める姿勢を強調した。

 「来場者の安全が確保でき、秩序が維持される」などという事実無根の答弁はすべきではない。質問者が海水浴場組合の顧問だからリップサービスしているのかもしれないが、砂浜で飲酒している輩がいる上に、一部の海の家でルールの徹底が不十分なのに、「安全が確保できた」「秩序が維持できた」など、どうすればそんな意味不明な総括ができるのだろうか。

 いっぺん、海の家周辺の写真を写して、議会で公開すればいいのだ。周辺住民がどれだけ迷惑をこうむっているのか理解できるはずだ。

 大井川和彦茨城県知事は二十五日、一期目の任期満了を迎えた。知事は約三千六百万円の退職金(退職手当)について、任期中に改正された条例に基づき支給を申請しなかった。二十二日の記者会見では「もらうのは本当に辞める時かと思っている」と述べ、引退時にまとめて受け取る考えを示している。

 知事の退職金は、前任の橋本昌氏までは一期ごとに支給されていた。二〇一九年の条例改正で、知事から申し出がなければ、退任する際に務めた期数分を一括して支給するルールに改めた。県人事課は、条例改正について「他県でも支給時期を選べるようにする動きがあったため」と説明している。

 ごく常識的な判断だと思う。退職金をもらう額を減らすわけではなく、退任時にまとめてもらおうという措置。いっそ、「もらわない」という判断もできる条例にはならないものだろうか。そもそも、退職金をゼロにすることでドヤ顔する政治家は好きではない。でも、もらわない首長がいても構わないと思う。

 頭にけがを負った状態で見つかり、意識不明になっていた福井県の辻一憲県議(56)=同県越前市宮谷町=が26日夜、亡くなった。県議会議会局が27日、発表した。福井県警は事件と事故の両面から捜査を続けている。
 県議会関係者によると、現場の住宅街は辻県議の自宅に近く、発見時の所持品は車の鍵だけだった。約300メートル離れた寺の付近で政策ビラが入ったカバンが見つかったといい、ビラを配っていた可能性がある。

 謎が多すぎる事件で、ちょっとゾッとしてしまう。自分でけつまずいたくらいで、死ぬほどの重傷を負うとは考えられない。ひき逃げなら重傷を負わせることができるが、それならばひき逃げの痕跡があるはずで、警察も最初からひき逃げの線で捜査するだろう。

 配っていた政策ビラは、本人が見つかった場所から300メートル離れた場所で発見されている。おそらく、そこで事件に巻き込まれて、意識もうろうとした状態で、もしかすると助けを求めるために歩いてきて、力尽きたのかもしれない。

 何となく事件が風化するというのは避けたいところだ。福井県警は本気を出してほしい。

 新宿駅の140年近い歴史を振り返ってみると、内藤新宿のはずれに置かれた田舎駅であった新宿駅が、鉄道開通によって人が集まり街となり、街の成長が新たな人を呼び込んだというダイナミズムを見ることができる。その変化は新宿という街が変わり続ける限り止まることはないだろう。

 だが冒頭に記した通り、新宿駅はこれまでのような拡大一辺倒を改め、使いやすさを追求する方針に転換されつつある。2025年に新宿駅は開業150周年を迎えるが、計画中の改良工事の完成は早くて2035年、開業160周年の年になる。もっとも、新宿駅が「完成」を迎えるころには新たな工事が始まっているのだろう。

 新宿駅が〝ダンジョン化〟されてゆく歴史的な経過を追った記事だが、なぜダンジョンになってしまったのかという肝心の考察はあまりない。

 新宿駅の大規模な改造が始まったのは、私が新宿に通勤し始めた1995年頃ではないか。最初は甲州街道の付け替え工事から始まった。駅をまたぐ甲州街道の橋梁を耐震化のため改良工事を行い、そのときに仮設橋として整備したのが、現在のバスタ新宿のある人工地盤だ。

 これを機に新宿駅はホームごと南にじわじわと移動を始めた。これによって南側の旧貨物ターミナルの土地に高島屋タイムズスクエアができて、西側には小田急がホテルなどを整備した。新宿駅の新南口が設置され、人の流れが南に向いた。

 新宿駅を南に移動すると、当然、北側が空く。今度はその空いた部分に東西を回遊できる自由通路を整備することになった。それまで新宿駅は東西の回遊が狭い地下通路でしかできなかった。改札口が東西ではなく、南北になって、現在のように切符がなくても東西に抜けることができる。

 駅全体が南に移動し、当然、北側の開発がこれから始まる。そこには思い出横丁もある。あの昭和の香りがする奥ゆかしい飲み屋街も、そのうち再開発の波にのまれる運命にある。

 そういう壮大な計画を、私は記者時代に新宿区役所の職員から聞いた。まだタイムズスクエアができたばかりの頃である。全体の計画はないかと問うたら、「全体の計画は誰も知らない」と言われた。これは隠しているわけではなく、本当に知らないのだろう。

 こういう永遠に終わらないターミナル駅の大改造は、東京駅や横浜駅、品川駅、渋谷駅でも行われている。東京はそうやって、誰が望んでいるのかも分からないような途方もない将来像に向けて、日夜改造が続いている。

 もうそろそろ、こういう街づくりをやめるべきだと、私は思う。

 数十年もすれば、人口は減って、高齢者は増える。そんな煌びやかな高層ビルに囲まれた大ターミナル駅を、誰が望むのだろうか。

 15年ぶりの新人対決となり、26日に投開票された旭川市長選は、元衆院議員秘書の今津寛介氏(44)が前道議の笠木薫氏(64)を下した。早々と当選確実が伝えられ、再挑戦が実った今津氏陣営には喜びの声が上がり、笠木氏陣営は重い空気に包まれた。
 笠木氏は次期衆院選に出馬する西川将人前市長(52)の後継候補として出馬。敗北について「有権者は変化を求めていたのではないか」と受け止めた。

 北海道・旭川市長選は、国政野党から国政与党に〝政権交代〟。西川前市長は、立憲民主党公認で衆院選に出馬予定で、その後継候補が落選した。衆院選で野党は軽々しく「政権交代」を掲げているが、少なくとも現在は攻める側ではなくなっていることを自覚すべきではないか。

 私は自民党政権のままでいいとは思っていないが、今の立憲民主党に投票しようとは思えない。「枝野総理」なんぞ、背筋がゾッとする。


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