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【自治トピックス】No.25

 東京の調布に住んでいた頃、今から15年くらい前になるが、地元の駅前にたった1軒、朝まで営業している居酒屋があった。20代でその街に住んで、毎晩、その居酒屋のカウンターで晩ごはんを食べて、帰宅していた。店が満席だと、トイレの前にビールケースをひっくり返して、ベニヤ板を置いて、席を作ってくれた。そのくせ、厄介なチンピラが入ってこようとすると、「満席だから入れない」と断り、私が席を立とうとすると、「ごめん。あいつらいなくなるまで、もう少し飲んでて」と引き留められた。選挙の取材が深夜に及び、駅前までタクシーで戻ると、明け方までこの居酒屋で飲んでいたことも何度もある。深夜の居酒屋は静かで、カウンターにぽつんと一人で座り、黙々と酒を飲んだ。明け方にアジア系の男女がカウンターで別れ話を始めて、男が卒倒し、救急車で運ばれたこともある。

 湘南に引っ越して10年以上が過ぎた。今の自分には当時のような居酒屋通いなどできないが(肝臓つぶれて死んでしまう)、コロナ禍で多くの居酒屋が潰れて、そこをまるで〝母親の子宮〟のように愛した人たちは、今、どこに居場所を見出しているのだろうか。時間短縮要請に応じない居酒屋を探して、さまよっているのだろうか。

 さて。今日もニュースの切り抜きから。

 読売新聞社は東京都内の有権者を対象に、告示約1か月前となった都議選(6月25日告示、7月4日投開票)の世論調査(電話方式)を実施した。政党別の投票先では、自民党が最多の30%で、都議会第1党の地域政党「都民ファーストの会」は11%にとどまった。立憲民主党は8%、公明党は7%、共産党は6%で、無回答は25%だった。
問7 もし今、都議選で投票するとしたら、どの政党・政治団体の候補者に投票しようと思いますか。
 都民ファーストの会     9.6
 自民党          19.3
 公明党           3.4
 共産党          12.9
 立憲民主党        14.0
 東京・生活者ネットワーク  1.6
 日本維新の会        3.4
 国民民主党         0.5
 古い政党から国民を守る党  0.5
 れいわ新選組        2.0
 その他の政党・政治団体   2.8
 わからない        30.0

 数字が微妙に異なるが、調査のタイミングや方法などによって変化するので、だいたいの傾向はつかめる。例えば、れいわ新選組や日本維新の会は候補者が少ないので、支持はしていても、自分の選挙区に候補者がいるとは限らない。そういう様々な要素を勘案して読み解く必要はあるだろう。

 全体として分かるのは、自民党は議席を増やし、都民ファーストの会は議席を減らすが、意外に第2党争いくらいには踏みとどまるかもしれないということではないか。気になるのは〝小池劇場〟だが、ピンポイントの選挙区で波乱がある可能性は否定しないが、この段階で結果が大きくぶれることは考える必要はないだろう。

 東京は立憲民主党の牙城だから、一定の支持率があるのは当然のこととして、定数1~2の選挙区で勝ち切れるかどうかがポイント。具体的に言えば、定数1の武蔵野市、小金井市(推薦)、定数2の立川市、三鷹市、小平市、西東京市の辺りで勝てば、第2党争いに食い込めるかもしれない。

 共産は現職の死守がカギ。前々回までの結果を見ると分かるが、定数2~3の選挙区で、自公系と民主系に押し出される状態では現状維持が難しいと思う。

 おそらく、各政党が選挙区ごとの情勢調査を行っているはずだ。

 東京都議選(6月25日告示、7月4日投開票)の千代田選挙区(定数1)で、小池百合子都知事(68)が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が現職の平慶翔都議(33)を国替えで擁立することが30日、本サイトの取材で分かった。同区は〝都議会のドン〟といわれた自民党の内田茂元都議(82)の娘婿・直之氏(57)が立候補予定で、ガチンコ対決となる。

 わざわざ現職を国替えしてぶつけるのは、それなりに情勢調査で勝てる見込みがあるからだろうか。それとも、区長選で都民ファ前都議が勝ったので、これは行けると安易に思ったのか。

 ただ、こういう選挙区が一つでもあると、マスコミは簡単に食いつくし、〝自民vs都民ファ〟という対立軸を打ち出しやすくなるとは思う。そういう捨て駒として現職をぶつけるのは、いかにももったいないが。

 47都道府県の貯金に当たる財政調整基金(財調)の2020年度末残高が1年前に比べ、計7000億円以上も減少していることが本紙の調査で分かった。休業要請に応じた事業者への協力金など、新型コロナウイルス対策費として大幅に取り崩したケースが多い。政府は、コロナ対策に使える地方創生臨時交付金を自治体に複数回配分するなど財政支援しているが、必要な額に追い付いていない。このまま財調の取り崩しが進めば災害など不測の事態への備えが手薄になるとして、自治体は危機感を強めている。

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 20年度中の財調の減少幅が最も大きかった東京都は、21年度の都税収入が前年度より約4000億円少なくなると見込む。大企業が集積し、景気に左右される法人課税が多いことも踏まえて、財政担当者は「厳しい財政環境にあるという認識だ」と話す。
 他の自治体からも「景気低迷に遅れて税収減が追い掛けてくる」(愛知県の担当者)と先行きを悲観する声が上がる。税収が想定以下だった場合に認められる「減収補填債」の発行額は20年度、08年のリーマン・ショック時に次ぐ水準の800億円超に上った。神奈川県の担当者は「減収補填債がなければ、21年度当初予算は組めなかった」と打ち明ける。

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 新型コロナウイルス対策で都道府県が財政調整基金の取り崩しによって予算を充てていたため、この1年で基金が大幅に減っているという記事。しかし、驚いたのは2割以上、財政調整基金が減っているのは9都県しかない。それどころか、20年度末残高見込みがプラスの道府県すらある。

 正直、東京都を除いては「綱渡り」という見出しをつけるには早すぎると感じた。記事にもあるように、基金がプラスになった自治体でも減収補てん債で減収を穴埋めしているところが多いので、貯金は現状維持でも借金が増えるということもあり得る。とはいえ、減収補てん債の償還には地方交付税を充てられるので、あまり慌てる必要はない。

 逆に東京都は深刻だ。1兆円弱あった財調基金が一気に2500億円にまで減っている。都は地方交付税の不交付団体で、減収補てん債を発行しても、償還経費は自前だ。法人税収は景気の悪化をもろに受けるので、主計部は冷や冷やしているのではないか。今年は涼しい夏が過ごせそうだ。

 新型コロナウイルス対策は人口が過密の都市部に影響が大きいが、政府のコロナ対策交付金は地方に手厚く配分される。言ってみれば、病気で入院したら保険金が医療費以上に入って、かえって儲かったみたいな話だ。東京都を除く道府県が「コロナで財政悪化」など戯言である可能性が高いので、地方議員の皆さんは心して財政分析していただきたい。

 原案によると、観客全員に事前にPCR検査などを求め、入り口で観戦日の前1週間以内の陰性証明書を提示することを条件に入場を認める。ワクチンを接種した人は接種証明書があれば陰性証明書は求めない。検査費は自己負担で、政府は検査数は1日最大約40万件と試算しており、今後、検査態勢の拡充も図る。

 いつも読んでくださる方はご存知と思うが、私は民間会社のPCR検査で「陰性」の判定が出た3日後に新型コロナウイルス感染症を発症し、4日後に医療機関でPCR検査を受け、5日後に「陽性」の診断が出ている。

 そもそも、最近話題になっているいくつかの変異株にしたって、成田空港や関西空港で検疫を行い、滞在先での「陰性」証明がないと入国できず、帰国後は自主隔離となっているにもかかわらず、しっかり市中感染が広がり、従来株と置き換わっている。PCR検査の「陰性」がどれほどあてにならないものか、誰もが理解していると思ったのだが。

 つくづく愚かだ。

 むしろ必要なのは、全観客へのワクチン接種証明で、だからこそ五輪開催前に圧倒的多数の国民のワクチン接種が終わっていることが最低条件だったのだ。それを今さら、「陰性」証明など、どうかしているのではないか。

 熊谷氏は、このアンケート結果を受け、来日する大会関係者の感染対策に自治体が関与できるかについて「今、例えば我々、千葉県で言えば、幕張とかに組織委員会が大量にホテルを予約をされているんですけれども、それがどういう方が泊まるとか、情報共有されていないところがありますので、我々そういう部分を組織委員会にしっかり情報共有していただいて、少なくとも我々の県に入ってくる方々ですから、基本的には組織委員会の責任になるのでしょうけれども、我々自身もしっかりと何かあった時の対応を取れるように、そこは情報共有は求めていきたいと思います」と話した。

 幕張メッセが東京五輪の競技会場になっているから、当然、大会期間中は関係者が幕張周辺に滞在することになる。気になるのは、ホテルから幕張メッセまでの移動によって、周辺の会社員や住民が〝接触〟することはないのだろうか。まさか、その辺のコンビニを普通に使うのだろうか。

 市長は「新型コロナまん延が収まらず、海水浴場開設による感染拡大のリスクが懸念され、近隣住民の不安を払拭(ふっしょく)し理解を得ることが難しい」と理由を説明。
 来訪を控えるよう呼び掛けつつ、ライフガードや警備員などを配置してビーチの安全対策を講じるとした。

 当然の措置だと思うが、これで不安になるのは、片瀬海岸や鵠沼海岸など、開設されている海水浴場に人が集まるのではないかということだ。鎌倉が来訪を控えるよう呼び掛けているのに、藤沢や茅ケ崎がウエルカムでは説明がつかないのではないか。

 神奈川県の黒岩祐治知事は29日の全国知事会オンライン会合で、新型コロナウイルス特措法に基づく時短営業要請などに応じない飲食店でクラスター(感染者集団)が発生した場合に備え、過料にとどまらない強い措置を講じる必要性について「検討課題にすべきだ」と提言した。

 海水浴場は開いてもいいが、居酒屋は酒を出すな。そういうダブスタをやっているから、事業者は県の言うことを聞かなくなる。そのくせ、過料も課していないうちに、もっと罰ゲームを増やせという。やっていることがちぐはぐだ。

全国知事会の危機管理・防災特別委員会は27日、災害時の死者や行方不明者の氏名公表に関する指針案を示した。行方不明者の救助活動が効果的にできるようになるなど、氏名の公表には「公益性」があると指摘。死者を実名公表することで国民の知る権利に応え、災害の教訓を後世に残すことにつながるとの考え方も示した。公表するかどうかを判断する際の3類型も提示した。

 日航123便の墜落事故の際、私はまだ高校生だった。事故の翌朝、テレビのある居間に入ると、NHKテレビが日航機の乗員・乗客の氏名を延々と流していた。ブラウン管に映し出される青い背景と白い文字の羅列。まるで読経のように続くアナウンサーによる氏名の読み上げ。時折、カタカナだけの人もいる。そういう画面を、父と母が黙り込んでじーっと観ていた。いまだに、あの静寂はトラウマのように記憶に残っている。

 氏名の公表に何の意味があるのか分からない。「公益性」という言葉にも違和感を覚える。だが、単調な氏名の羅列を観て、まだ子供だった私は事の重大さを悟った。一定の条件を課して、公表していいのではないかと思う。

 自民党の特命委員会(委員長・古屋圭司元拉致問題担当相)は27日、感染症対策の観点からも東京一極集中の是正が必要だとして、首都機能の分散を求める中間提言を政府に提出した。政府が6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる狙い。
 提言書では、一極集中は首都直下地震など防災面だけでなく、新型コロナのような感染症にも大きなリスクがあると指摘。地方創生とともに「分散型国づくり」を進めるべきだと訴えた。

 首都機能移転論の亡霊が形を変えて、事あるごとに息を吹き返す。東京一極集中の是正は必要だが、新型コロナウイルス感染症の拡大で首都機能に支障があっただろうか。感染症の拡大は人口密集に問題があるのであって、首都機能が集中していることにあるわけではない。

 首都直下地震のリスクもよく指摘されるが、東京都の被害想定で、首都直下地震により首都機能がまひするという想定は行われていない。

 赤城山のふもと、渡良瀬川の清流沿いに静かな町並みが広がる。群馬県の旧大間々町(現みどり市)。2005年、市町村合併がきっかけとなった町長への2度目のリコール運動で不正が発覚し、同法違反容疑で町議2人が書類送検された。
 埼玉県本庄市では1965年、市長へのリコール運動をめぐり複数の逮捕者が出た。当時の報道によると、住民票などから有権者の氏名、住所などを引き写したとされる。提出署名の8割近くが無効となった。

 愛知県知事のリコール運動に限らず、署名を偽造して逮捕された事例は過去にもあったという記事。少し安心したのは、偽造が行われれば関係者は逮捕されるし、署名は無効になっているということ。愛知県の事例があまりにも大規模で悪質なので、他でも行われているのかと思ったが、日本の民主主義はまだ自浄能力を残していることが分かる。

 現職市長の急死により行われた5月23日の栃木県日光市長選の結果が、自民県連内に大きな波紋を呼んでいる。元市議の粉川昭一氏(57)と元副市長の阿部哲夫氏(71)=自民推薦=という自民系の新人候補2人の戦いは、わずか87票差で自民推薦候補が敗れた。同市などを含む衆院栃木2区は県内で唯一自民の議席がない「空白区」で、分裂選挙に加え、推薦候補の敗北は、秋までには行われる衆院選前に足場を固めたかった自民としては大きな痛手だ。
 自民県議の対立という内部の問題が透ける今回の市長選。ある自民系市議は「分裂は避けたかったが、同じ選挙区内に複数の県議がいる場合、うまく歩調を合わせられないのは日光に限った話ではない。仕方のないことだ」とみる。実は他の地域も含め、衆院栃木2区は昔から自民の党内抗争の歴史がある。

 亡くなった野村克也氏の座右の銘に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という一文があった。日光市長選挙の背景を探る長いリポートだが、そのことがよく分かる記事。中選挙区制時代ならいざ知らず、小選挙区制になっても、保守同士のいがみ合いが続いているとは。

 任期満了に伴う仙台市長選(7月18日告示、8月1日投開票)で、自民党宮城県連は29日、青葉区の県連事務所で執行部会を開き、立候補の意思を固めた党市議の菊地崇良氏(52)の推薦を見送ることを決めた。市長選への対応は未定とした。
 県連会長の西村明宏衆院議員(宮城3区)は終了後の取材に「大変有為な人材の菊地氏からの推薦申請だが、仙台市連という大きな固まりの中で意見の一致が見られないのなら、党本部には上申できないとの結論に達した」と説明した。

 野党系の現職が再選出馬確実な仙台市長選挙でも、自民党内に不協和音。出たい人ではまとまらない。出てほしい人は出てくれない。そんなことを言っているうちに、市長選投票まであと2カ月。野党共闘が一枚岩とも思えないが、保守がこの調子では市政奪還は難しそうだ。

 東京・小笠原村では、来月上旬に高齢者と医療従事者の2回目の接種がすべて終わる予定で、その後、余ったおよそ500人分のワクチンを64歳以下の希望する住民にも接種する計画です。

 菅首相がドヤ顔で「6月には広く一般にも開始」と言っていたのは、まさか、このことだろうか(笑)

 先ほど、一極集中の是正という話題を紹介したが、地方には地方なりのメリットはある。特にコロナ禍という意味では、ウイルス感染のリスクが低く、その割には国からの交付金はがっつり入る。私も、東京を離れてから地方都市のメリットを感じることが多い。

 さて、最後はタイの話題を。

 北部チェンマイ県の山間部メーチャム郡では、ワクチン接種者の中から抽選で1万バーツ(約3万5000円)相当の子牛が当たるキャンペーンを20日から始めた。牛の飼育が盛んな土地ならではの発想で、村長いわく「村人たちが少しでもリラックスしてワクチン接種してもらえれば」。タイでも副反応を恐れて接種をためらう人がいるため、村長は「少しでも接種の後押しになれば」と話している。
 また、「ワクチン接種しました」と書かれたファンシーなパネルを用意する病院や接種会場が、全国的に急増している。周りに接種完了をアピールしたい人の〝SNS映え〟を狙ったものだ。

 タイも日本と同様、ワクチン接種が遅れている。そこで、ワクチン接種で様々なインセンティブを用意している。

 日本でワクチンを接種して子牛が当たっても、ステーキにするしか手がないが、牛角の食べ放題チケットとか当たったら、若い人たちは喜んで接種しに行くのではないか。市役所の婚姻届の提出窓口には記念のパネルとかあるが、ワクチン接種も同様の記念撮影の場所をつくるといいかもしれない。

 日本はワクチン接種を重くとらえすぎている。もっと気楽に打ちにいこう。くだらない陰謀論で、ネットでひそひそ話しているより、ワクチン接種でインスタ映えした方が楽しいに決まっている。

 こういうことをやると、すぐに不謹慎厨がわいてきそうだが、ワクチン接種を自慰行為のごとく隠し事にする方がはるかに不謹慎である。接種会場は撮影可にして、お医者さんとにっこり記念撮影すればいいではないか。明るく、楽しく、ワクチン接種を乗り切ろう。

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