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【自治トピックス】No.48

 選挙の「翌日開票」はやっかいだ。首長選と議員選が同日ならなおさらだ。7日投票の葛飾区長選・区議選がまさに代表例だ。私が業界紙の記者をしていた頃、開票日の朝はいつもより早く自宅を出て、朝8時には候補者の事務所に張り付く。午前8時半の1回目の開票で差がつけばいい。だが、もつれるとやっかいだ。ノートパソコンで予定稿を書きながら結果が届くのを待つ。夕刊のある新聞は正午には校了しなければならないから、出口調査で大差がついていたり、開票所の(投票用紙の)山で結果が見えていれば、陣営の幹部に「さっさと万歳しましょう」とせっつく。地元のケーブルテレビ局が当確を打つ場合もある。首長選だけなら、これで会社に戻って原稿を突っ込めばいい。だが、議員選が同日となると、勝負はこれからだ。区役所の記者室でひたすら開票が終わるのを待つ。事前に並べた名簿に得票数を入力するだけでいい。だが、これもまたやっかいだ。9割方票が出れば、当落くらいは分かるが、翌日の新聞には確定票を入れたい。しかし、いつまで経っても、確定票が出ない。開票所では疑問票などを巡って攻防が続いている。待てども待てども届かない確定票。会社では上司がイライラを募らせている。そんな胃が痛くなるような思いをして、ようやく確定票が届いたら、名簿が届け出順になっていて、さらに絶望感が募る。エクセルに候補者ごとの得票数を突っ込み、得票順の票に入れ替える。それでも間違いはつきものだから、ゲラのチェックが待っている。選挙の情報が間違っているのは報道機関にとって致命的なので、肩甲骨が固まるほどに集中する。校了する頃には暗くなっている。

 面白いもので、これだけ神経をすり減らしても、翌朝に新聞を開いたら、数秒で誤植が目に飛び込んでくるものだ。

 おーまいがー!と天を仰ぐ。

 翌日開票なんて大嫌いだ。

 さて、葛飾区議選の確定が出たようだ。今日もニュースの切り抜きから始めよう。

 任期満了に伴う東京都葛飾区長選は7日に投票、8日に開票が行われ、無所属現職の青木克徳氏(72)=自民、公明推薦=が、元区議の新人、梅田信利氏(59)を大差で下し、4選を果たした。投票率は44・02%(前回43・61%)、当日有権者数は37万5779人だった。
 選挙戦で争点となった京成立石駅前の再開発については「JR亀有駅、金町駅の再開発でも反対意見はあったが、今では多くの方に喜んでもらっている。今回も理解していただけるよう説明責任を果たしていく」と述べた。

 争点は京成立石駅前の再開発と庁舎建設問題だ。選挙期間中も「せんべろの街」の行方が報道されていた。新庁舎の建て替えが課題となっていることは否めないが、それを駅前再開発に突っ込んでしまおうという手法に疑問の声が集まった。

 ただ、観光ガイドなどで話題となる古き良き「せんべろ」の街は一歩間違えれば、木造が密集し、防災の弱い街でもある。京成立石駅の「せんべろ」を愛する人たちもいるかもしれないが、アルコールには縁のない世代まで共感を広げられたのだろうか。

 4年後は青木区長の去就が焦点。新人同士の争いとなる可能性が高い。

 前哨戦となった7月の都議選葛飾区選挙区からは落選した9人の内、6人がエントリー。さらに前回の59人を上回り、2005年以来、最多タイとなる60人の候補者が立候補した。その顔ぶれは多士済々で、14人もの公認候補を送り出した自民党を筆頭に立憲民主、公明、共産、NHK党、都民ファーストの会などが参戦。一つの駅に複数の候補者がバッティングし、場所取り合戦や選挙妨害の小競り合いが区内各所で繰り広げられているのだ。
 中でも異彩を放っているのは過去、都知事選や千葉県知事選など首長選挙に立候補してきた後藤輝樹氏(38)だ。区議選は15年の千代田区以来で、落選した場合には「地方に引っ越して、ほのぼの暮らす」と明言しており、首都圏での出馬は最後になる可能性もある。
 ほかにもNHK党の黒瀬信明氏(37)には人気ユーチューバーの令和タケちゃん、「マンガ、アニメ、ゲームの表現の自由を守る」と訴える無所属の中谷基志氏(49)には、ゆづか姫こと新藤加菜氏が熱弁を振るうなど、国政選挙並みの盛り上がりとなっている。

 これは地元の記者でも専門家でもいいが、なぜ葛飾区議選が目立ちたい人の〝おもちゃ〟にされるのか分析していただきたい。これは都議選葛飾区選挙区も同じことが言える。定数40程度の自治体は他にもあるが、なぜか葛飾区には〝キワモノ〟が集まってくる。そして、たまに当選してしまう。4年前のNHKから国民を守る党や極右などが典型的な例だ。

 今回は、維新とは何の関係もない「葛飾に維新を起こす会」や、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」「国民主権党」「テレビ改革党」「くらしの相談党」「つばさの党」「後藤輝樹と世界を変える党」と、諸派オンパレードだ。

 一方で、衆院選の1週間後にもかかわらず、衆院選で議席を増やした維新の会や国民民主党が候補者を出していない。

 さて、ようやく確定票が出てきた結果だが、1議席増を狙った共産党が2人を落として、結果1減。公明党も1人を落として1減という驚くべき結果だった。2021年都議選の葛飾区選挙区は共産、公明がともに議席を持っていて、決して弱い選挙区ではないはずだ。

 いわゆるキワモノグループはほとんど落選しているが、「葛飾に維新を興す会」の新人候補は当選している。これはシンプルに「維新効果」なのではないか。前回、維新公認でトップ当選した候補は、今回は無所属で出馬し、前回から微減ながらトップ当選を果たしている。そもそも、明確な維新票などなかったのかもしれない。あるのは、「維新」という言葉に素直に脊髄反射してくれる優しい有権者だけだ。

 後藤氏は10年前の神奈川県議選を皮切りに港区、千代田区、東京都知事などの首長選に立候補し、今年3月の千葉県知事選で落選後は葛飾区に居を移し、同区の都議選に立候補。その後も区議選に照準を合わし、落選した場合には「地方に引っ越して、ほのぼの暮らす」と宣言していた。

 彼の選挙は嗜癖みたいなものだから、またどこかの地方選挙に立候補するのだろう。

 東京都は2日、過度の疲労のため入院していた小池百合子知事が同日退院したと発表した。医師の判断で週内は自宅で静養し、来週から2週間程度はテレワークで公務に当たるという。

 気になる小池知事の動向。「マジにヤバい説」「たぬき寝入り説」が飛び交っているが、入院だけで諸説飛び交ってしまうところが小池知事らしいところかもしれない。

 都庁担当記者ならXデーを予想しながら取材を進めたいところ。

 都は新型コロナウイルスの影響で昨年十二月二十三日から休止していた都庁第一本庁舎四十五階の南展望室(高さ二百二メートル)を八日、再開する。
 南展望室の開室は午前十時〜午後五時半(入室五時まで)。一度に入室できるのは百人程度、滞在は一時間ほどに制限する。入場無料。誰でも自由に弾くことができる南展望室の「都庁おもいでピアノ」も利用を再開するが、午前十一時からと午後二時から各一時間、一回五分以内に制限する。

 来年の初日の出の開設はしないとのこと。新型コロナウイルスはどこへ消えてしまったのか気になるところだが、国の水際対策が緩和されて、また新しい展開が待っているのではないか。今年の初詣はどうなるのかも気になる。

 米中対立が長期化する中、神奈川県内政令市の議員を中心に経済安全保障について議論する「自治体経済安全保障研究会」が5日発足し、第1回研究会がオンラインで開かれた。国会議員や地方議員、行政関係者ら約40人が参加した。

 ちょっと気になる動き。岸田内閣で経済安全保障担当大臣が設置されていて、小林鷹之衆院議員(千葉2区)が就任している。地方レベルでは都市外交が盛んに行われているし、海外の輸出入に依存している産業もある。地方レベルでどんな動きがあるのか、頭の隅に置いておきたい。

 この中で鈴木知事は、旭川市で先月下旬からクラスターの発生が続いていることについて、「対策が不十分な中でカラオケをしていたケースがあったほか、感染者のおよそ9割がワクチンの2回目の接種を終えていなかった」と指摘しました。
 その上で、「全国的に感染が少ない状況の中、どうして旭川市でクラスターの確認が続いているのか、専門家に分析をしてもらいたい」と述べ、国立感染症研究所に要請し、専門家が今月8日から旭川市に派遣されることになったと明らかにしました。 

 まるで終わったことであるかのように扱われているけれど、くすぶっているところではいまだくすぶっている。とにもかくにも、2回目のワクチン接種を終えていない人は、今なら間に合うのでワクチン打っておこう。

 福岡県前知事の小川洋(おがわ・ひろし)氏が2日、死去した。72歳だった。肺腺がんを公表して今年3月に辞職し、治療を続けていた。

 お疲れさまでした。ご冥福をお祈りいたします。

 静岡県熱海市議会は5日、臨時議会を開き、同市伊豆山地区で7月に発生した大規模土石流の原因や責任の所在を究明する調査特別委員会(百条委員会)の設置案を全会一致で可決した。今後、起点となった土地の現旧所有者や既に退職した市担当職員らを証人尋問するとみられる。

 ここのところ、最初からオチを決めた政争絡みの百条委員会の設置が多かったので、久しぶりに意味のある百条委員会が期待できそう。政争絡みだと偽証で刑事告発することが目標になる傾向があるが、真実を明らかにするのが百条委員会だ。

 任期満了に伴い14日告示、21日投開票で行われる福島市長選で、共産党福島相馬地区委員会などでつくる市民団体「福島市政を明るくする会」が候補者擁立を見送ることが7日、分かった。同日開いた会合で決めた。

 同会はこれまで、候補者擁立に向けて人選を進めてきた。会合では、候補者擁立を見送る一方で、より良い市政をつくるため市に対して精力的に意見を伝えていく活動に取り組むことなどを確認したという。

 候補者がいなかった、というのが正直なところなのだろうか。これによって市長選への出馬表明は現職のみとなり、無投票の公算。

 東京都東久留米市の並木克巳市長(52)は4日、12月26日に投開票が行われる同市長選に出馬しないことを文書で表明した。「体調不良により次期4年間の公務を担うことは困難」と理由を説明している。

 ご病気なのだろうか。突然のことで驚いた。東久留米市の場合、新人同士の争いとなれば、激選が予想される。

 誤りがあったのは世田谷区。11人全てについて「罷免を可とする」票の一部が誤って「罷免を可としない」票に集計されていた。誤集計は最大約2万票あった。都選管は「報告数値に誤りがないか確認するよう区市町村選管に周知する」としている。

 ちゃんと数えてるんだなと改めて確認した記事。最高裁判所裁判官の国民審査は、参政権を得てからずっと全員×を付けることにしている。誰が良い、悪いより、判断のしようがないからだ。いい加減、制度の見直しを検討してはどうか。

 最後は海外の話題を。


コネティカット州スタンフォードの市長選に無所属で出馬していたボビー・バレンタイン氏(71)が、接戦の末に落選したことが3日、明らかになった。民主党候補のキャロライン・シモンズさんが当選し、その差はわずか125票だったという。

ニューヨーク・デーリーニューズ電子版によると、バレンタイン氏は当初、地元メディアの偏向報道を批判するなど、結果に納得がいかない様子だった。だが最終的には敗戦を認め、シモンズさんの当選を祝福。自身のツイッターに「支持してくれた方々に感謝する。大変光栄だった」とつづった。

バレンタイン氏はレンジャーズ、メッツ、レッドソックスで16年監督を務め、メッツ監督時代の2000年にリーグ優勝。日本ではロッテで95年と04~09年に指揮を執り、05年に日本シリーズ制覇を果たした。

 プロ野球クライマックスシリーズで、ファイナルステージに進出したロッテマリーンズ。私が子どものころはロッテといえば万年最下位の弱いチームの代表だった。そのイメージを覆したのが、このボビー・バレンタイン監督だ。さすがのボビーマジックも政治の世界では通用しなかったらしい。得票差は125票差。惜しかった。

 明後日からCSファイナルステージが始まる。優勝したオリックスよりロッテの方が勢いがあるような気がするが、果たして。




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