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【自治トピックス】No.8

 東京五輪など、やらなくていい。最初の招致からずっと思っていたことだ。

 学生時代、体育会系サークルや部活には嫌悪感しかなかった。実力とは無関係で理不尽な先輩・後輩の主従関係、指導者による合法的な暴行、非科学的な練習(しごき)など、現代社会の縮図がそこにあった。毎年春になると聞こえてくる新入生の一気飲みの死亡事件は、ほとんどがそういう構図で起きているではないか。そういう人たちのピラミッドの最高峰がオリンピックなる祭典であり、体育会系の合法的な犯罪を是認してきた人たちの勝者が集うのだ。

 現場の記者として、東京都の招致活動中は心の中で他都市を応援していた。招致が決まったときの憂鬱は計り知れない。いつか、東京五輪が中止になればと願い続けてきた。だから、コロナ禍で開催が危ぶまれていることがうれしくて仕方ない。

 そんなわけで、今週もニュースの切り抜きから始めよう。

 東京五輪の開会式に参加する選手数について、国際オリンピック委員会(IOC)が、大会延期前の計画から半減の約6000人と試算していることが大会関係者への取材でわかった。新型コロナウイルスの感染防止策として選手村の滞在期間を制限するためで、大会の簡素化にもつながる。

 五輪開催に悲観論が飛び交う中、組織委員会が読売さんにリークしたのだろうか。主語が「IOC」というのが香ばしい。開催都市は開会式の参加人数を掌握していないのだろうか。成人式の強行で批判を浴びた東京都杉並区の新成人は約5千人で、そのうち2千人が4回に分けて式典に出席している。6千人で減らしたつもりになっているところに、日本の空気を読めていないことが伺える。

ロイター通信が河野氏の「(無観客の可能性を含めて)五輪に備えて最善を尽くす必要があるが、どちらに転ぶかは分からない」との発言を紹介し、フランス紙フィガロ(電子版)も「日本の閣僚、五輪が開催されない可能性に言及」と伝えた。

 海外の悲観論に火をつけたのは、おそらく河野太郎のインタビューだろう。ただ、ちゃんと読んでみれば、「五輪に備えて最善を尽くす必要がある」とも答えている。どちらに転ぶか分からないのは事実認識でしかない。いや、中止にならないとでも思っている大人がいたら、それはもう、どうかしているのだ。

ある派閥領袖(りょうしゅう)も「中止なら政権に打撃。五輪開催をコロナとの戦いの勝利宣言にすると言ってきたのだから、政治責任を問われる」と言い切った。米国でも感染拡大が続き、首相周辺は「開催できるかは米国次第。米国人選手が参加しないとスポンサーもつかない」と弱音をはく。

 自民党内にすら悲観論が出ている。なにより、選手の大半は海外からやってくるのだから、米国のような大国が「うちは出さない」と言い出したら、雪崩式にボイコットが増えるだろう。そもそも、新型コロナウイルスの変異株の震源地となっている英国は、どうやって選手団を派遣するつもりなのだろうか。

 政府は今春、観客の受け入れの在り方を最終判断する方針。3月25日には福島県から聖火リレーが始まる。昨年は聖火リレー開始直前に1年延期が決まった。聖火リレー開始までに、緊急事態宣言を解除し、感染収束にめどを付けることができるかが焦点となりそうだ。

 聖火リレーが走り始めてから中止というのはみっともない。その前に誰かが決断する。緊急事態宣言を延長すれば、感染者は減るだろうが、解除した途端に感染者は増える。あとはワクチン任せ。夏の感染状況を今から予想できる人はいないだろう。直前になって、感染爆発が起きたらどうするおつもりなのか。

 開催国の日本や欧州、米国など世界中で感染が拡大している状況から、国際オリンピック委員会(IOC)関係者らの間で安全な開催の実現に懐疑的な見方が出ていると報道。「第2次大戦後、初めて五輪が中止に追い込まれるかもしれない」と指摘した。
 IOCで最古参委員のディック・パウンド氏(カナダ)が東京五輪の開催について、英BBC放送(電子版)に「確信できない」と述べたことも引用した。

 1年前に開催を延長したときにも、最初に動揺を始めたのは、アスリート貴族であるIOC委員だった。彼らの脳内は筋肉でできている。科学など理解できない。だから、安倍首相の「アンダーコントロール」にもコロッと騙される。だが、彼らは開催都市以上に開催の決定権を握っている。騒ぎ出すと厄介だ。

 ゴスパー氏はオーストラリア放送協会(ABC)に対し、新型コロナの世界的大流行に触れ「これは単なるスポーツの問題、国益に関する問題を超えている。第三者を探しているなら国連に行き、大会をこのまま進めるかどうか解決を求め、関与を求める事例かもしれない」と話した。

 そして、開催の可否を「国連に委ねる」みたいな珍説が出てくる。IOCは自分で責任を取りたくないのだ。日本は頑固にやる、やると言うだけ。世界的なパンデミックが収束しない中で、誰もが誰かに「やらなくていいよ」と言ってもらいたい。これも、そういう動揺の一形態だろう。

 加藤勝信官房長官は17日のフジテレビ番組で、米有力紙が今夏の東京五輪・パラリンピック中止の可能性に言及したことについて、「場所もスケジュールも決まっている。それに向かって関係者の方々も(新型コロナウイルスの)感染対策を含めて、準備に取り組んでいただいている」と述べ、開催方針に変わりはないとの考えを示した。

 官房長官になると、こういう無機質な回答が得意になる。チューインガムを噛みつくした後の無味無臭な言葉を平気で繰り出すのだ。一言も「開催する」とも「開催しない」とも言っていない。ただ、「みんな、準備してるじゃん」と事実認識を述べただけだ。記事にする価値があるかどうかすら疑問である。

 少なくとも官房長官に開催の可否の権限はない。

 延期された東京五輪・パラリンピックで、東京・晴海の選手村村長に就任した川淵三郎氏(かわぶち・さぶろう)氏(84)が、2020年12月、共同通信のインタビューに応じた。新型コロナウイルスは厳しい感染状況が続くが、大会で徹底した感染対策が成功すれば、日本から世界に先例を示すことができると強調。未曽有のコロナ禍に対し、逆転の発想で「五輪を開催する価値は上がった。絶対に開催した方がいい」と訴えた。

 この方も、選手村の村長でしかないから、開催の可否の権限はない。開催しないと、自分の仕事がなくなるだけだ。

 みんな、忘れていると思うが、オリンピックの開催権限は建前としては開催都市たる東京都にある。だが、マラソンの札幌移転にしろ、東京五輪の延期にしろ、東京都は後追いしているに過ぎない。アスリート貴族たるIOC委員が首を縦に振らなければ、東京五輪など開催できないのだ。

 安倍晋三首相を支持するわけではないが、彼は自分が自分がという下心が強かったので、東京五輪の延期も、IOCから何か言われないうちに自分のリーダーシップで決めたという形を作ってくれた。こういうネガティブな役柄は、小池百合子都知事にはできない。

 ところが、菅首相は安倍首相ほどの野心は持っていない。自分は責任を取りたくないタイプだ。だから、自分からは東京五輪を「中止」するとは言えないだろう。もちろん、小池知事もしかりである。

 誰かが言わないと、東京五輪は止められない。2人に助け船を出してあげないと、なし崩し的に東京五輪の開催は強行される。

ことしに延期され夏の開幕に向け準備が進められている東京オリンピック・パラリンピックについて聞いたところ、「開催すべき」が16%、「中止すべき」が38%、「さらに延期すべき」が39%でした。

 少なくとも、世論は味方していない。

 さて、五輪以外の話題も。

 座喜味氏は元自民県議で、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力の支援を受けた。下地氏は、4選を目指したが及ばなかった。前回選で争点となった陸上自衛隊の宮古島配備については、今回2人とも容認の立場だった。

 内閣支持率の低下も影響しているのではないか。大きな争点だった自衛隊配備に両者とも「容認」だったことが風向きを変えている。

 意見交換は、新規感染者数が100人を超えるなど感染が収まらない状況を受け、医師会が県に打診して開いた。関係者によると、県は「宣言を発令せざるを得ない状況だ」と必要性を指摘。国に要請するか、県独自で宣言を出すかは明言しなかった。国の財政的な支援なども確認した上で、総合的に判断する。経済団体は「観光へのダメージが大きい」として往来自粛は求めないよう要望。一方、県医師会は往来自粛は必要との認識を示したという。県は往来自粛の表現について検討する考えを伝えた。

 そんな沖縄県は今夜にも独自の緊急事態宣言を行う可能性も。この期に及んで経済団体が観光へのダメージを理由に往来自粛に慎重姿勢だが、このまま感染者が増加すれば、本当に島に渡る人がいなくなってしまうと思うけどね。

 こういう行き詰った空気が各地の首長選にも影響するのだろう。

 それにしても気になるのは、「独自の緊急事態宣言」という超法規的措置だ。

「最大限の努力をする」と語気を強めた大井川知事。県独自の発令について「これだけの手を打ってもどのような効果が出るか、断言できないのは苦しい」と手探りの対策であることを認めつつ、「(国の宣言に)近いことを独自に実施する」と覚悟を示すように語った。
 長崎県の中村法道知事は16日、新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制が逼迫している長崎市内を対象に、県独自の緊急事態宣言を18日に発出すると発表した。また県内全域の飲食店やキャバレー、カラオケボックスなどの遊興施設に20日から2月7日までの間、午後8時まで(酒類提供は同7時まで)の営業時間短縮を要請する方針を明らかにした。

 あちらこちらで、緊急事態宣言が〝安売り〟されている。そもそも、都道府県が独自に緊急事態宣言を発出することなどできない。条例で定めるわけでもないし、なにか法的な権限があるわけでもない。

 本来、国が都道府県との協議の上で、希望する自治体に機敏に宣言を発出すればいいだけのことだ。それをしないのは、財務省が金を出したくないからだろう。知事には同情したい。

 しかし、法的な位置づけがはっきりしない宣言を都道府県が乱発し、事業者が休業や時間短縮を余儀なくされるというのは理不尽ではないか。こういう、グレーゾーンの感染対策には責任の在処が不明確だ。

 仮に独自に緊急事態宣言を行いたいのであれば、条例で明確に定義すべきで、宣言を行う際の基準も明確にすべきだ。

 法的な位置づけもないのに宣言すりゃあいいってもんじゃないし、それはリーダーシップとは言わない。

鈴木知事は記者会見で、「緊急事態宣言の対象地域になったかならないかで、国からお金がもらえるかもらえないかが違うのはおかしい。感染拡大の影響は幅広く、感染を抑えるためにみんなで取り組んでいるので、国としてしっかり考えてもらいたい」と述べました。

 鈴木くんの言っていることも一理あり。出すべき地域に宣言を出さないから、こういう不満が出るのではないだろうか。

 丹波市議会(兵庫県)の予算決算常任委員会は18日、市が新型コロナウイルス対策として2万円分の商品券を市民に交付する事業(約13億2900万円)を盛り込んだ、一般会計補正予算案を賛成少数で否決した。同事業は林時彦市長が昨年11月の市長選で公約に掲げた、全市民への5万円給付案を修正したもの。19日の本会議採決で正式に決まる。

 結局、5万円の現金も配れないし、2万円の商品券も配れない。こういう市議会の抵抗の仕方は、一言で言えば不毛で、無責任だ。

 複数の市議らによると、会食は5日に行われ、最大会派「自由民主党議員会」に所属する市議が参加した。唯一参加しなかった市議1人は3日に発症し、6日に感染が確認されていた。5日は議会開会日ではなく、議会対応などの会派方針を話し合った後で全員が仕出し弁当を食べたという。ある市議は「食べたのは1000円の弁当。それで『会食』と言われても……」などと話す。

 まあ、議員はこうやって会議のときに仕出し弁当を食べながら議論することはよくある。午前中から議会を開くところは昼休みの休憩時間が短いし、午後から議会を開く場合はその前に会議ということになる。もちろん、酒が入っているわけではない。

 ということは、20人の議員はそれぞれ自分の昼食を持ち寄り、別の場所で食べればいいということなのか。

 記事を読みながら、逆に危機感があったら、どういう昼食のあり方が考えられるのかと疑問に感じる。

 この案件、記事を書いた記者には正解が見えているのか?

山形市議の伊藤香織さん(39)は2019年5月、車イスで議会に現れた。初産から3日後のことだ。主治医に外出許可をもらって痛み止めの注射を打ち、父が運転する車でやって来た。だが、帝王切開した体は思うように動かせない。議場の階段で市の職員2人が車イスごと持ちあげて自分の席に運んでくれた。
会社員なら就業させてはいけない時期だ。この日は議長を選出する投票日。地方自治法では議員に「出席」を求めるとされる。伊藤さんは投票箱を持ってきてもらい、前かがみで腕を伸ばして用紙を入れた。所属する与党会派の市議の数は野党系会派と均衡する。1票差で伊藤さんが推す議長に決まった。結果を見届け、父の車で病院へ戻った。

 一昔前なら女性議員が出産なんて想像もできなかったが、若い女性議員が増えて、地方議会もようやく社会の趨勢に追い付きつつある。とはいえ、議会の大勢を牛耳っているのは、昭和生まれのバーコードおじさん。彼らが死ぬのを待っていたら、いつになるか分からない。心ある人が慣例にとらわれずに動きしかない。


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