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【自治トピックス】No.13

 新型コロナウイルスの自宅療養が解けてから、なかなか咳や倦怠感が取れなかったが、ようやく体調も落ち着いてきた。症状としてはインフルエンザに近いが、インフルエンザにはタミフルのような効果が明確な治療薬があるのに対して、新型コロナウイルスには対処療養としての処方箋以外に頼れないという点が大きく異なる。よく「インフルエンザでも人は死ぬ」と言われるが、それは社会が全力投球した結果として死んでいるので、新型コロナのように無防備に免疫力に任せるしかない状態の感染症を並べて、どっちが死者が多いという議論をすること自体、無意味だ。仮にタミフルが効かない新型インフルエンザが現れれば、我々はやはり緊急事態宣言で人の移動や接触を減らすしかなくなる。

 最初の感染から1年も経って、まだそんな不毛なよもや話にうんうんと頷いている人たちがいるということに絶望を感じてしまう。

 さて、久しぶりにニュースの切り抜きを。

 まずは、すっかり全国区で有名になった大阪府池田市のサウナ市長の話題から。

この日、2回目の証人喚問となった冨田市長は、サウナ設置について腰椎ヘルニアなどスポーツ障害による症状緩和のためだと主張したが、「万人から理解を得られるものではない」と、すでに撤去したと説明し、あらためて謝罪した。
市長控室には冷蔵庫、キャンプ用鍋、パックご飯、ガスボンベなどを持ち込んでいた。「昨年9月から10月、約1カ月で市長控室に17日間に泊まったことに間違いはないか」と問われると、「おおむね間違いない」と認め、公務の記録がない土曜日の宿泊理由について「特別職である以上、普段の月曜から金曜日まで、9時から5時までが公務というわけではない。土日も公務があり、特別職である私が公務であるという認識の仕事をした時点で、それは公務である。事業見直しや調査を自身でするということでも多忙を極めていた」と説明した。
市議から「女性職員の2人を市長室に呼びつけ、書類を机に投げ捨て、大声で叱責(しっせき)した。1人の女性職員はおびえ、2度と1人では市長室に決裁に行けないほど恐怖を抱いた。これは事実ですか?」との問いに、冨田市長は「何度も申しますが、書類を投げ捨てるようなことはしていません」と“書類投げ捨て疑惑”を否定した。
冨田氏は、サウナは自ら解体したが、畳ベッドは「業務上必要として設けたもの」として解体は職員に頼んだと説明した。解体後に副市長らに搬出の手伝いをさせたかという問いには、「地位を超えた信頼、人間関係があり、その関係のもとで手伝ってもらった」と振り返った。
 冨田氏は昨年8~10月、市役所と東大阪市の自宅との行き来にタクシーチケットを計15回使った。
 百条委で委員から「チケットは公務以外では利用できない」と指摘されると、冨田氏は「公用車より公費や職員の負担が軽くなるため使った」と述べた。自身を処分する考えがあるかを問われると、冨田氏は「私的利用ではなく、処分は必要ない」とした。
 サウナ問題が発覚した後の昨年10月29日、3人は市内に集まって、会話内容を口外しない約束を交わし、男性が用意した書面に母印を押したという。書面には、「(サウナ問題を報じた週刊誌などの)記事を検討するにあたり、秘密情報を厳重に保管、管理する」などと書かれ、「違反した場合は損害を賠償しなければならない」とある。

 ほとんどコントみたいな事実が次々と明らかになっているが、市役所の職員もよほど腹が立っていたのだろう。市長室にサウナを置けると思った時点で終わっているが、元々、市長という公職の持つ意味すら分からないまま、〝身を切る改革〟というお題目だけ唱えて当選してしまった。

 冨田裕樹氏は、サウナ問題が発覚した後、離党しているが、維新の会が推した市長である。それこそ、本当に厄介払いしたければ、他会派と共同で不信任決議案をぶつけて、引きずり下ろすべきだ。

 一応、HPで釈明はしているので、チェックだけはしておこう。

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 選挙に当選して、首長に就任した途端、全く勘違いした意味で、民間と同じ発想で公務を行ってしまう政治家は、この池田市長に限らず、どこにでもいるものだ。税金を使っているという気持ちが薄いのだろうか。脳内の糸がぷつんと切れる。

 市によると、シャワー室は昨年10月に市長室内のトイレの隅に設置。災害時に市長や職員が使うことを目的に、同8月の部分開庁後に追加で工事を行った。費用約360万円には新庁舎建設に伴う余剰金を充てた。
 千葉県市川市第一庁舎4階の市長室にユニットシャワーが設置され、市議などから疑問視する声が上がっていることを巡り、市議会は3日、「シャワー室の撤去」を賛成多数で決議した。決議では、設置・撤去に関する費用を村越祐民ひろたみ市長の報酬減額で充てるよう求めている。決議を受け村越市長は「今回の議決を重く受け止め真摯しんしに対応してまいります」とのコメントを出した。

 こちらは千葉県市川市。池田氏はサウナだったが、市川市はシャワーだというから、市長はよほどのきれい好きなのだろうか。面白いのは、市長がシャワーの設置の正当性を意気揚々と主張していることだ。

 ドヤ顔でシャワー室が必要だと思っている。しかも…

 いつの間にか、立ち位置をずらして、他人事にしている。

 この気味の悪さは何だろうか。池田市の冨田市長だって、市川市の村越市長だって、いったんは選挙で市民の信託を受けて、今の地位がある。それがサウナだったり、シャワー室だったり、市政とは関係ないことで無駄な税金を突っ込み、身内にバラされて、ドヤ顔している。

 村越氏のキャッチフレーズは「勝つのは市民」だそうな。それはそれは、結構なことだ。市川市民の皆さん、次の選挙は勝たなきゃダメだよ。

 また、自身が大阪市長時代に「市長室の階の所にウォッシュレットは付けました。自分のお金で。ウォッシュレットが無いと耐えられないから、それは付けて。ちゃんと手続きを踏んで、最後は廃棄にしました。自分専用のトイレではないですから、皆さん使ってくださいねと」と“自腹”で設置したことを明かした。

 これは、公職の立場での〝寄付〟扱いになっちゃわないかね。市長しか使えないトイレにウオシュレットを置いても市民は使えないけれど、「皆さん、使ってくださいね」だから。

 ちなみに、似たような話題として都庁の副知事室にトイレを増設させた副知事がいる。

 2007年9月26日の第3回定例都議会代表質問で、共産党の清水秀子氏が質問している。

 さらに、今、政治資金をめぐる不正や虚偽報告が露呈し、政治と金の問題が大きな社会問題となっていますが、猪瀬副知事が政治資金収支報告の記載漏れの中に、まさに枝葉末節のことも多く、魔女狩りの様相を呈していたと発言していることは、副知事自身の政治と金に対する感覚を疑わせるものです。
 その一つの例が、四百五十万円もかけて、みずからの副知事室にトイレをつけたことです。過去の副知事四人体制のときには専用トイレの増設は持ち上がっていません。障害者団体などへの数十万円、百万円単位の補助さえ削られているとき、みずからの部屋のトイレの設置のために四百五十万円という公金を投入することに、都民や都庁内からも疑問の声が上がるのは当然ではないですか。

 答弁に立ったのは、本人ではなく当時の知事本局長である。

 最後に、猪瀬副知事室のトイレの設置についてであります。
 副知事は、知事の意思決定を直接補佐し、知事不在の際は代理を行うなどの重責を担っておりますことから、セキュリティーの確保は重要でございます。そのため、現庁舎建設当初から、三副知事室には、セキュリティー対策の一環としてトイレが設置されておりました。このたび、四人目の副知事として就任されました猪瀬副知事室につきましても、同様の観点からトイレを設置したものでございます。
 費用については、トイレ機器に関する材料費は約三十万円でございます。付随いたします配管工事、電気設備工事などを含めた全体で約四百五十万円でございますけれども、ごく普通の一般家庭のトイレと同程度の仕様でございまして、豪華なトイレを設置したわけではございません。

 ちなみに、都庁の副知事室のあるフロアには、一般職員用のトイレが設置されている。450万円もかけてトイレを増設する必要性などあったのか疑問だが、なんとなく、このときにはマスコミからはスルーされた。だが、小さな矛盾は、ちりも積もれば何とやらで、じわじわと根深い矛盾に成長していくものだ。知事時代、あることないこと、疑惑が噴出してしまったのは、やはりどこかに溜まっていたものがあったのだろう。

 だから、首長1期生は身辺の〝驕り〟には気をつけてほしい。公務員は自分の上司をよく観察している。特に自己中心的な人は権力を持つと自分の暴走に気づかない。油断していると、どこかで刺される。

 日本でファクトチェックを推進するNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」によると、ファクトチェックには「非党派性・公正性」など国際的な五つの原則がある。楊井人文事務局長は「政党として情報発信や言説に反論する自由はある」とした上で、「大阪維新の会は政治団体であり、非党派性・公正性の原則から外れる」と指摘。さらに「ツイートの内容が事実かどうかをレーティング(真偽の判定)せず、あたかも誤情報だという印象を与えている」と問題視する。

 大阪維新の会がファクトチェックするというから、てっきり自党に関する「デマ」をチェックするのかと思いきや、大阪府や大阪市の行政に関する事実関係を「釈明」するものだった。

 これについては楊井人文氏のnoteの投稿を参照いただきたい。

 都構想の住民投票でも感じたことだが、維新の会の信者には、自分たちと異なる意見を「デマ」と断ずる傾向がある。一言で言えば、「唯我独尊」だ。政治的に対立する勢力が発信する情報に対しては、あれもデマ、これもデマ。その一方で、自分たちが発信した情報の真偽はスルーする。

 今回の「ファクトチェッカー」は、一個人がつぶやいた投稿を晒して、重箱の隅を叩いて、信者に攻撃させるツールだ。こういうのを、権力を握った者の〝驕り〟というのだ。

 こんなファクトチェックをしている暇があったら、自分たちが推した首長がまともな行政運営をしているか、チェックしていただきたい。

 県は「保健所の調査で濃厚接触者は特定できていた」とするほか、昨秋以降の感染拡大期には「保健所の手が回っていなかった」と説明。2021年度も運用は続ける方針で、感染力が強いとされる変異株に対応するためにも、保健所に積極的な活用を案内するという。システムは県が国の交付金を活用し、約230万円かけて開発した。

 そりゃ、通知なんてされるわけがない。感染した私の立ち寄った飲食店の聞き取りは行われなかった。仕方ないので、発症前に私が立ち寄った飲食店には「実は」と正直に説明した。幸い、店員には体調不良は出ていないようだ。

 このシステムの運用自体をやめた方がいい。できないことをやれると言い張って、もう1年以上が過ぎている。

 ちなみに、cocoaの陽性登録に必要な処分番号も、今も届いていない。したがって、登録もできないし、通知は行われていない。

5月に市長選を控えるさいたま市選管は「公選法上はコロナ感染を理由に投票を妨げる規定はない」として、療養中の有権者も投票できるよう検討しているという。ただ、現時点で妙案がないのも事実で、国に対し「他自治体の有効な取り組み事例の提供や法制度上可能な方法の提案を行ってほしい」と注文。埼玉大の松本正生教授(政治学)も「自治体だけで判断するのは非常に難しい。混乱を避けるために国が一定の方針を示すしかない」と話す。

 緊急事態宣言中で、不要不急の外出自粛要請が出ていても選挙は普通に行われる。したがって、濃厚接触者を理由に投票させないという選択肢はないのでは。ただ、感染者はノーガードで投票所に足を運んでしまうと、感染を広げる結果にしかならない。

 個人的な経験からすると、発症から数日は倦怠感で投票どころではない。投票できても、たぶん棄権すると思う。一方で、1週間が過ぎれば、症状はおさまって、普通に歩き回れる。

 ホテル療養の感染者に関しては、現地に臨時の投票所を置けるのではないか。問題は自宅療養。郵便投票くらいしか選択肢がない気がするが。

 バスには投票管理者と職務代理者、入場受付係が各1人、立会人2人の計5人が乗り込む。有権者はバスの前方から入り、投票を終えたら後方の出口から降りる。消毒液噴霧器などを設け、感染症対策に配慮する。

 これを改良すれば、感染者・濃厚接触者用の投票所に使えない?投票日までに選挙区内をくまなく回ればいいわけでしょ。ただし、消毒液噴霧器はいらない(苦笑)

【市民連合・福永 洋一議員(北区選出・3期目・67歳)】
「今、地震が発生したらどうなるのか非常に心配しています。村上市議とともに一緒に逃げ出さないといかんのですが、多分私は1人でバーッと逃げるかもしれません」
村上博議員は身体障害者で車いすを使っている同じ会派の同僚です。

 障害者である仲間をほったらかしにして逃げるのかという批判はあるだろう。だが、本当に「不適切」なのかどうか、具体的な場面を想定して考えてみてほしい。阪神・淡路大震災では、すぐ目の前まで火の手が迫っていて、身内や知人を〝見殺し〟にして逃げなければならなかったなんて事例は、あちらこちらにある。誰も、それを非難はできないだろう。

 そもそも、こうやってニュースで配信する必要があったのかどうか。新聞の小さなベタ記事で十分ではないか。

 もちろん、身の回りに車いすの人がいた場合、いざ、大きな災害が発生したときに、どうやってその人の命を守るのか、普段から話し合っておくべきだろう。絶対にやってはいけないのは、「不適切」という不明瞭な物差しで一刀両断に切り捨てることだ。命を守るというのは、そんなに簡単なことではないからね。

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