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【自治トピックス】No.29

 調べ物があって都立中央図書館を久しぶりに訪れた。コロナ禍で入館は予約制になっている。そのせいか、人は少ない。すこぶる快適だ。一時期、学生までウエルカムで受け入れたため、閲覧席が自習の学生で埋まったことがある。もちろん、図書館の書籍など読まずに、教科書と参考書を開いて受験勉強をしている。なんという、愚かなことをしているのかと思ったが、予約制となったことで、学生の姿はほとんどなくなった。これでこそ、都立中央図書館だ。大衆に媚びる必要はない。国立国会図書館と同様、近寄りがたい拠点であってほしい。

 さて、都議選真っただ中、ニュースの切り抜きから。

 投票先は自民党が最多で3割を占め、第1党を奪還する勢い。公明党や共産党、小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が2番手を争う。情勢取材を加味すると、現有最多の46議席を持つ都民ファは大幅に後退する可能性がある。

 投票先を決めている人の政党別内訳は自民31.8%に続き、公明14.1%、共産13.1%、都民ファ12.1%、立憲民主党7.1%の順。
 都民フは議席を現有45議席から減らし、最大でも22前後にとどまる可能性がある。前回選で躍進の原動力になった小池氏が支持を明らかにしておらず、過労により静養中であることも影響している可能性がある。

 自民は獲得議席が50を超える可能性も出ている。前回選で複数候補を擁立して共倒れした選挙区でも、今回は支持を広げつつある。現有23議席の公明は全員当選を目指すものの、一部選挙区では苦戦している模様だ。

 共産党は立憲民主党と一部選挙区で候補者を一本化する野党共闘を展開。政権批判票を取り込み、現有18議席からの上積みも視野に入っている。立憲は現職がおおむね安定した戦いを繰り広げ、元職や新人も一部優勢で、議席を現有の8から倍増させる可能性も出ている。
 4年前に歴史的惨敗を喫した自民党は改選前から大幅に増やし、49議席前後となる見通しです。選挙協力する公明党とあわせて過半数の64を超える議席をうかがう情勢です。

 一方、4年前は小池知事が選挙戦の前面に立ち圧勝した都民ファーストの会は、20議席前後にとどまる見通しです。

 小池知事に批判的な立憲民主党と共産党は選挙区をすみ分けた結果、立憲民主党は議席を倍増、共産党も現有議席を上回る勢いです。

 ラストサンデーが過ぎて、次々と都議選情勢の記事が出てきている。自民党の〝忖度〟入り情勢調査と違い、客観性はあると思うが、いかんせん、調査の方法や報道機関の性格、取材した記者の力量などで、結果は微妙にずれてくる。

 明らかなのは、都民ファーストの会の議席数は第2党争いに入るかどうかというレベルで、半減は決まりだろう。

 しかし、面白いことに立憲民主党の勢いが思ったほどない。「倍増」と言えば聞こえはいいが、それでも20議席には届かず、第2党にはほど遠い。逆に共産党も、言われるほど議席を増やすわけではなさそう。私は仮に共産が議席増なら、文京区か日野市で獲れるかどうかだと思う。

 立民と共産の伸びしろが少ない分、自民に対する批判票は都ファに流れている。大きな要因は五輪開催だ。

  今回の調査では、東京五輪について観客数を制限して開催することを「評価しない」としたのは57%で、「評価する」は35%。評価しない理由は「新型コロナの感染拡大が不安」が95%で最も多く、「感染対策について国や都の説明が不十分」(84%)と続いた。評価しないとした人のうち、都議選の投票先で最多となったのは都民ファの16%で、自民党(15%)を上回った。
 公務を離れている都民ファ特別顧問の小池知事の支持率は59%で、前回調査(5月28~30日)の57%から、ほぼ横ばいだった。前回は知事支持層の投票先で最も多かったのは自民の29%で、都民ファは19%にとどまっていたが、今回は都民ファ26%、自民26%と並んだ。

 連日、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加していて、投票日を迎える頃にはびっくりするような数字が出てくるだろう。当然、政権与党である自民党に対する風当たりは強くなる。かといって、保守層の政権批判票は左旋回した立民や共産では受け皿にはなりにくい。

 中途半端な状態で緊急事態宣言を解除し、リバウンドを許したのは、小池都政の失政ともいえるが、皮肉なことに、感染拡大のリバウンドに対する不安は、都ファに集まっているわけだ。

 なぜ、立民や共産ではないのか。その辺は、選挙結果が出てから分析する必要があるだろう。

 立民は発射台が低すぎる。だから、立民の実力があれば、「倍増」ではあまりにも少なすぎ、衆院選の弾みになるとは言えない。

無投票での当選が決まったのは、立憲民主党の新人で、東京・生活者ネットワークと、社民党が推薦する元小平市議会議員の竹井庸子氏(55)と、
自民党の新人で、公明党が推薦する元小平市議会議員の磯山亮氏(41)の2人です。

 あまりにも愚かな無投票。立民と共産がすみ分けを行い、共産が候補者を立てなかった。都ファも現職が立候補しなかったため、無投票に。ここはギリギリでもいいから共産が候補を立て、立民と共産の2議席を目指すべきだった(できるかどうかは別にして)。

 定数1の「1人区」は千代田区など7選挙区あるが、両党は候補を擁立しなかった青梅市を除く、6選挙区で候補者の競合を避けた。「2人区」は13選挙区中、10選挙区で、「3人区」でも都民ファ代表の荒木千陽氏が再選を狙う激戦の中野区で競合を避けるなど、7選挙区中4選挙区で調整している。

 立民の手塚仁雄幹事長代理(都連幹事長)は「選挙協力というよりは、すみ分け。昨夏の都知事選で共産と連携した流れ」と強調するが、事実上の選挙連携だ。票の食い合いを避けることは、議席獲得へ大きな追い風となる。

 立民の候補者に共産票が流れることは自然だが、共産の候補者に立民票は流れるのだろうか。今回、ここが焦点となる。競合を避ける〝すみわけ〟は党として支持や推薦を出すわけではない。共産は一定の堅い組織票を持っているが、立民は主に無党派層を対象としている。

 おそらく立民支持層は、自分の選挙区に立民の候補者がいない場合、都ファに票が流れるのではないか。これが私の予測だ。

 野党共闘の効果は7月4日に判明する。

 西村氏は東京の感染状況について「増加傾向が顕著になってきた。高い警戒感を持って専門家、都と連携し分析を進めている」と説明。高齢者の感染は減少しつつあるとする一方、「活動が活発な20代、30代の感染をどう抑えるかが課題になっている」と指摘した。
 同時に「ここで抑えるには強い対策を取ることもやむを得ない。飲食店での酒の提供を停止することも含め検討しないといけない」と述べ、酒類提供の再停止などを検討する考えを示した。

 つい、この間、緊急事態宣言を解除したばかりなのに、もう再発令とか言い出した。そして、酒類提供も再停止するという。

 あまりにも愚かすぎて、言葉もない。

 もう国民も都民も、政府や自治体の言うことを聞かなくなるのではないか。国家の信頼を失う事態だ。ワクチン接種も進まず、延々と緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の無限ループを年末まで続ける気だろう。さすがの日本経済も沈没する。

 さて、お隣の横浜市も混とんとしている。

 2021年の1月20日のことです。私に立憲民主党から声がかかりました。今年で任期が満了となる林文子市長と自民党の統括下にある横浜市政に代わるために、横浜市長に立候補してくれないかという要請です。それから何度か、党のトップクラスの方々もわざわざ訪ねて来てくれました。横浜市長。生まれ育った私の地元のトップです。全権を握る立場であれば、立て直す自信はあります。しかし、いろいろとお話を聞かせていただいたのですが、どうやらそうでもなさそうなのです。要は昔ながらの出馬要請でした。

 「カジノ反対なら全面的に応援と支援をする」「党を挙げて協力する。選挙資金も数千万円単位で用意するので推薦させてほしい」などなど、権威が欲しい人や、お金や利権に目がない人ならすぐにうなずくような口説き文句かもしれません。しかし、その背景には、立憲民主党が私の背後から横浜市をコントロールしたい、秋まで続く自民党との国政での戦いに横浜市長選を利用したいという意図が透けて見えます。

 私は、横浜市長とは、常に横浜の文脈で物事を考え推し進める立場だと思っています。

 しかし、立憲民主党からの要請は政党の文脈に乗ることでした。そうした役割は願い下げです。なんて時代錯誤なのだろうか、私にはそうとしか感じられませんでした。私に対する横浜市民の認知度は低いかもしれませんが、ベイスターズの認知度はとてつもなく高いです。それを持ち出して、最大政党の自民党と組めば、ほぼ間違いなく市長になれるでしょう。逆に「カジノは日本では賛成だが、横浜では白紙」というおかしな論を掲げ、新たに出馬を表明した小此木八郎さんを否定する立場なら、立憲民主党と組んでも、当選できるかもしれません。横浜の市民はもう過去の「白紙論法」や東京五輪の「なし崩しごまかし論法」には辟易しているわけですから。しかし、担がれて市長になったとして、いったい何ができるのでしょうか。

 これまで、この連載でも何度もお話ししてきましたが、私の能力は全権を任せられてこそ発揮されるものです。選挙資金をもらって、しがらみにまみれて、背後からとやかく言われて、忖度しながら発言し、行動するタイプではありません。民意を無視して、嘘をついたり、ごまかしたり、なし崩しに何かを進めるといったことはもってのほかです。少なくとも、立憲民主党が期待する市長にはとてもなれないと思いました。

 横浜DeNAベイスターズの初代社長だった実業家・池田純氏が横浜市長選への意欲を示している。だが、立憲民主党は最初、池田氏に白羽の矢を立てたが、どういう口説き方をしたのか、振られてしまったようだ。

 確かに、政党の文脈に乗ると、やりたいこともやれない。特に立民が主導権を握ると選挙戦のベクトルが歪むし、候補者はおもちゃにされる。

 ただ、池田氏の発言で気になるのは、「私の能力は全権を任せられてこそ発揮される」というフレーズだ。能力があるからこそ言えるセリフだが、地方自治体は二元代表制だ。どんな素晴らしい政策も、議会が首を縦に振らないと何もできない。

 首長と議会の二つの民意のバランスをうまく天秤にかけて、政策判断することが求められる。

 どういう政党の構図で選挙戦に挑んだとしても、当選したからには避けられない宿命であることは肝に銘じてほしい。

 郷原氏が出馬となれば、IR誘致の反対派ばかりの選挙戦となりかねない。そうなると進退を表明していない現職の林市長があえてIR誘致賛成を公約に出馬に踏み切るというシナリオも考えられる。郷原氏は無所属で出馬するという。すでに選挙に備えた「親衛隊」を結成し、7月6日に横浜市のコンプライアンス顧問を辞任を申し入れ。近いうちに出馬表明する方向でスケジュール調整している。選挙事務所探し、ポスター制作なども進んでいるそうだ。郷原氏を直撃した。

「コンプライアンス顧問を務めているので、横浜市長選の行方はとても気になります。私に横浜市長選に出馬という話があるのは事実です。IR誘致の是非は、住民投票で民意を問い、その結果を市長や市議会が答えていくというのは、以前から私が考えていたこと。だが、立場上、今は話せません。いずれ、会見で明らかにしたい」

 弁護士の郷原信郎氏が横浜市長選に出馬の意向だという。立民はどうするつもりなのだろうか。

 面白いのは、カジノ誘致に対して住民投票で民意を問う考えだ。もちろん、住民投票を行うには予算をつけなければならないので、市議会がどう判断するのかも問われる。

 仮に池田純vs郷原信郎という構図になると、横浜市長選はかつてない豪華な選挙になる。政党の構図も吹っ飛ぶのではないか。

 そして、なにより林文子市長が出馬するかどうか。都議選より100倍面白い。

 県の推計によると、陽性率は0・42%で、7月上旬から9月上旬にかけての新規感染者は最大で1日当たり5・91人と想定。約8割がワクチンを接種していると想定し、感染しても96%は軽症・無症状とした。

 この結果、湘南国際村センターの入所者数は最大57・2人という。

 なんか、だから安心みたいなノリで報じられているけれど、五輪大会関係者だけで神奈川県内で1日6人弱感染するわけだよね。

 そのとき、神奈川県の新規感染者数はいったいいくつになる?

 シミュレーションの仕方がズルいよね。

 鈴木直道知事も2年前の就任時に廃止に取り組む意向を見せたが、かけ声倒れに終わった。

 道と道議会のもたれ合いで質疑は形骸化している。悪化に歯止めがかからない道財政などの問題点への追及も甘くなり、行政への監視機能の低下が避けられない。

 道議会に道民の代表である自覚が乏しいことが、密室調整につながっているのではないか。答弁調整の廃止に踏み切り、堂々と論戦する議会を目指すべきだ。

 答弁調整することで、役人は与党の議員にお土産を出せるし、議員の側も与党の出方をあらかじめ知ることができる。結果、議会審議はお互い、原稿の読み合わせに終わる。役人は深夜まで答弁調整に追われるし、議員は論戦で切り拓くのではなく、役人にお膳立てをつくってもらう。

 良いことなんて、なにもない。

 藤沢市が狭隘(きょうあい)道路拡幅のための土地家屋に関する委託調査を長期間、特定団体と随意契約していることを巡り、市議が市側に質問通告したところ、市の担当者が当該団体に質問内容を事前に伝えていたことが23日、分かった。

 藤沢市では、こんなことも起きている。随意契約している特定団体について質問通告を出したら、その団体に質問内容が筒抜けだったという。

 これでは、質問で問題点を指摘しても、執行機関側は先回りして問題を解決してしまう。

 議員に月額1万円の政務活動費を新たに支給するかどうかをめぐり、岐阜県白川町議会が揺れている。議会は条例案を可決したが、町長が「議論が拙速」と異議を唱えたため、28日の臨時議会で再度審議する異例の展開になった。
 採決では賛成、反対が同数で、議長表決で可決したが、異議を唱えたのが横家敏昭町長だった。閉会後、「政務活動費の趣旨には賛同するが、議論が拙速すぎる。町民の理解も得ていない」と反発し、再議を求める考えを表明。28日にやり直す採決は特別多数議決で、出席議員の3分の2以上の賛成が必要。議長にも表決権がある。

 岐阜県白川町で、議会が政務活動費を復活させる条例を通したことに対して、町長が再議を求めた。

 議員報酬は月額21万5千円で、お世辞にも高額ではない。政務活動費は月1万円。そう考えると、議員が私利私欲を働くほどの額とも言えない。8月に町長選と町議選があるので、民意を経てから決めてもいいのではないか。政務活動費=悪という考え方には立たない。使途を公開するなど、透明性を確保したり、使い道を決めるなど、工夫すれば住民の理解は得られるはずだ。

 最後は、このアホっぽい記事を。

 新型コロナウイルス対応のための国の交付金を充てて制作された石川県能登町にある巨大イカのモニュメント。海外メディアにも取り上げられるなどその建設の是非は世界的に話題を呼んだが、そんなお騒がせ巨大イカに、このほど愛称がつけられた。その名は「イカキング」。名付け親の思いとは……。
 同町によると、名付けたのは金沢市の塚田静香さん。町の愛称募集に応募し、909件の案の中から選ばれたという。同じ愛称での応募が他にも6件あったが、塚田さんの「見た目の大きさがイカの王様のようで、さまざまな調理法があることから料理の王様のようでもある」との理由を、地元住民らで組織する愛称選考委員会が高く評価した。なお、次点は「いかまる」と「つくも大王」だった。

 コロナの交付金を使って造ったモニュメントが「イカキング」だそうだ。建設前には批判が多かったが、今では観光客でにぎわっているという。地方でコロナ対策とか言われても、感染者が多いわけでもないので、使い道がない。結果、こういう無駄遣いをして遊ぶ。

 このバカっぽいモニュメントは、日本のコロナ対策の失敗を象徴しているし、そこに集まってくる日本人にとっては、コロナは他人事の騒ぎなのかもしれない。

 議会がチェック機能を発揮できないと、こういう愚かなモニュメントでドヤることになる。あなたの街は大丈夫だろうか。




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