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【自治トピックス】No.36

 お盆休みに眠れない夜があって、深夜にNHKの『映像の世紀』という番組の再放送を観ていた。20世紀を映像で振り返る企画だが、戦争や植民地主義、ファシズム、ベトナム戦争、東西冷戦など、科学技術の進歩とは裏腹に人類が犯してきた罪が映し出された映像には大いに惹きつけられる。あの独特のオープニングテーマ「パリは燃えているか」が悲壮感あふれていて、胸が締め付けられてしまう。真夜中に観ればなおさらだ。しかし、番組を観ながら、このテーマソングが現代の世界と日本にぴったり合う気がした。愚かな権力者たちがコロナ禍という災害をもてあそび、庶民が苦しんでいる。東京五輪を華々しく成功させた陰で、病院はコロナ感染者であふれかえる。維新や都民ファーストのようなポピュリズムが台頭し、大衆は熱狂する。今日はアフガニスタンの首都カブールを反政府勢力が制圧したというニュースが流れている。カブール国際空港から撤退する米軍機。飛行機を取り囲むカブール市民。威嚇射撃。ああ、これだ、これだと思う。……「パリは燃えているか」。皆さんの脳内にもエンドレスで流れてはいないだろうか。

 さて、お盆休み明けもニュースの切り抜きから。

 東京都は15日、新型コロナの感染急拡大に伴う保健所業務の逼迫を受け、濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」の規模を縮小する方針を各保健所に通知したと明らかにした。通知は10日付。重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設での事例の調査を優先させ、保健所の負担を軽減する狙い。

 行政の通知は無味乾燥だから、そのことの意味が今一つ伝わらない。これは要するに、日本のコロナ対策のモデルでもあった「クラスター対策」が破綻したという意味である。感染者数が多すぎて、現状の保健所のキャパでは濃厚接触者や感染経路を調べることができなくなったということだ。こうなると、保健所は濃厚接触者を確認しなくなってしまい、感染していても気づいていない人がそのまま市中で感染を広げてしまうことになる。悪いことはあっても、いいことは何もない。

東京都の小池百合子知事は16日、新型コロナウイルスの感染急拡大を踏まえ、優先度を考慮して「積極的疫学調査」をするよう保健所に通知したことを巡り「縮小ではない。効率を上げるという意味だ」と述べた。都は濃厚接触者や感染経路を調べる同調査を高齢者施設などで優先するよう指示していた。

 「縮小」と「効率化」は同じ意味だが、こういう言葉遊びでしか事態を説明できないところが、小池知事自身がこの先、何も考えていないことがよく伝わる。この人は脳内で〝お手上げ〟状態なのだ。

 東京都はいまだに居酒屋潰しでお茶を濁している。東京五輪の開催を優先するあまり、リスクコミュニケーションの失敗を招いたなれの果てである。感染症の流行はどこかでピークアウトを迎えるものだが、それまでにいったい何人が命を失うのだろうか。それは医療資源が足りれば、救える命だったはずだ。

 東京都世田谷区の保坂展人区長ら都内の首長有志6人が12日に都庁で記者会見し、新型コロナウイルスのワクチンを東京を含む「感染爆発エリア」に集中させることなどを求める緊急提言を発表した。提言は自民党と立憲民主党の本部に送ったといい、与野党が「政治休戦」して危機回避にあたるべきだとしている。

 提言をまとめたのは、新宿▽世田谷▽中野▽杉並▽小金井▽多摩――の6区市長。

 しごくごもっともな提言。本当は特別区長会や東京都市長会でこういう提言を国にぶつけられればいいと思うが、なかなか一枚岩にはなれないのだろう。新宿区長は自公政権、世田谷区長は野党政権、中野区長は野党政権、杉並区長は旧民主系、小金井市長は旧民主系、多摩市長はオール与党、つまり有志は政党の枠組みやイデオロギーを乗り越えて一致している。こういう流れが国政にもできればいいが、それができない。

野党は秋までの衆院選をにらみ、政府の新型コロナウイルス対応や東京五輪・パラリンピックの経費などを取り上げ、菅政権に攻勢を掛けたい考えだ。

 こんな記事しか出てこない。野党はひたすら大臣や官僚をつるし上げ、やっつけるだけだ。衆院選しか頭にない。

 全国知事会は13日、緊急声明を発表し、新型コロナウイルスの感染急拡大について「個別の都道府県や自治体のコントロールが困難な局面に至った」と指摘。現状の政府の対策は「功を奏しているとは言いがたい」と批判した。その上で、感染防止に向け「ロックダウン(都市封鎖)」のような思い切った対策を検討し、国民に強力で明確なメッセージを発するよう要求した。

 全国知事会にこれだけけちょんけちょんにコロナ対策を批判されて、いまだに内閣支持率が3割もあるところが不思議でならない。ここのところ、あちこちで「ロックダウン」という過激な言葉が飛び交っているが、本気で検討している気配がない。官僚も、コロナ化が収まってから、くらいにしか考えていないのではないか。現場の本気が国家中枢に伝わらない。非常に深刻な国家破綻ではないか。

 そろそろ、あのテーマソングが聞こえてくるのではないか(笑)

 全国知事会の会長選の立候補受け付けが16日締め切られ、平井伸治・鳥取県知事(59)のほかに届け出がなく、無投票当選が決まった。30日開催の全国知事会議で正式に選任される。任期は9月3日から2年間。

 東京都にとっては非常にうるさい知事が全国知事会の会長になってしまった。人口が最も少ない県から選出された会長。当然、東京の財源が再び標的になると考えた方がいい。

神奈川県海老名市は自宅で療養している人のうち、家族の支援が得られない人を対象に、市の職員が食料品や日用品の買い物、ゴミ出しの代行の支援を行っています。
12日は、自宅で療養している人から、飲み物の購入依頼が入り、担当者が市内のスーパーから牛乳などを届けていました。
海老名市は、県から提供されたリストをもとに6チーム、12人の職員が電話をかけていますが、支援の希望は増え続けているということです。
体調の悪化を訴える人が救急搬送されたケースもあるということで、市は対応する職員を増やして支援体制を強化する方針です。

 自宅療養の場合、買い物に出られないから、食料調達は宅配を活用することになる。神奈川県海老名市では市職員が直々に自宅に食料品や日用品を買い物し、届けてくれるという。自宅療養はとかく孤独になりがち。職員が直接自宅を訪れれば、体調の異変にも気づけるのではないか。本来、自宅療養にはこういう取り組みが不可欠のはずだが、多くの自治体では陽性の判定後はほったらかしだ。

 沖縄県は15日、新たに10歳未満から90代の男女661人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。過去4番目に多く、日曜日としては過去最多。県によると、入院調整・受診調整をしている医療コーディネーターからの報告で、午後6時時点で重症者用の病床28床が全て埋まった。呼吸不全で酸素投与が必要な「中等症2」の病床も満床となったという。

 重傷者用の病床が全て埋まり、酸素投与が必要な中等症の病床も満床という事態だ。これは日曜日のニュースだが、今日はいったいどうしているのだろうか。沖縄県で起きていることは、このまま感染者が増え続ければ、東京でも起きる可能性が高い。まさに、医療崩壊だ。

「JSCは、Jリーグの本拠地にしてもらおうと、FC東京の大株主である東京ガスや、鹿島アントラーズの大株主であるメルカリなどに水面下で接触してきましたが、いずれも色よい返事はもらえなかった」

スタジアム運営に精通する東京都市大学元教授の小松史郎氏は、「企業が二の足を踏むのも無理はない」と語る。

「競技場に特化させた設備のため、屋根がなく音響や空調の設備も十分ではないので、コンサートなどのイベントにも使いにくい。改修しようにも、大規模な追加投資が必要になる。短期的に採算をとるのが難しい施設です」

 経費節減で、中途半端な競技場を作ってしまったから、オリンピック終了でも引き取り手がいないという、みっともない話。つまり、負の遺産になってしまった。金がかかろうが、豪華だろうが、TOKYO2020のレガシーとして残る競技場にすべきだったのだ。そういう出費も覚悟しないで、五輪など招致すべきではない。

東京パラリンピックの観客の扱いについて話し合う大会組織委員会やIPC=国際パラリンピック委員会など4者による会談が開かれ、原則としてすべての会場で観客を入れずに開催されることが決まりました。
一方で、学校連携観戦チケットによる子どもたちの観戦については教育的な意義を重視して安全対策を講じたうえで、1都3県でいずれも実施するということです。
東京大会は、ほとんどの会場が無観客となったオリンピックに続いて、パラリンピックも観客を入れずに開催される異例の形となります。

 パラリンピックも無観客で開催が決まった。東京五輪のバブルの穴は、防ぐ展望はあるのだろうか。おそらく組織委員会は感染対策が成功したくらいに勘違いしていると思うので、東京都なり政府なりが介入して、対策の強化をすべきなのだが、知事も首相もそれどころではないだろう。

 気になるのは学校連携だが、希望する学校は実施すればいいのではないか。もちろん、子どもの拒否権があるのは当然のことだ。感染のリスクがあると言うかもしれないが、観戦しないで学校にいても同様にリスクはある。感染経路で最も多いのは家庭。しっかりマスクして観戦するなら、競技場の方が安全ではないか。

 兵庫県明石市の泉房穂市長は12日、コロナ禍の経済支援策として市民全員に5千円分のサポート利用券を配布する考えを明らかにした。関連経費を盛り込んだ補正予算案について、この日の市議会は直ちに決めず継続審査をする決定をしており、議会側からは「議会軽視だ」と反発する声が出ている。
 議会終了後、泉市長は取材に応じ、地方自治法に議会が議決しないときには市長が決定できる「専決処分」という規定があると強調。「急ぐべき案件。法律に基づいて券は発行する」と発言した。

 継続審査にするくらいなら専決処分でよし。議会のかまってちゃんに付き合っていたら、コロナ対策が進まない。即決できないのは、議会の怠慢だ。

 兵庫県の斎藤元彦知事は11日、県政刷新の司令塔となる知事直轄組織「新県政推進室」の初会合に出席し、「私の思いを受けて庁内を調整してもらい、県庁をワンチームにして県政を前に進める役割を担う。思い切ってやってほしい」と職員に訓示した。

 初会合には、10日に就任した小橋浩一室長と、兼務の次長(局長級)5人、新県政推進参事(課長級)5人の全11人が集まった。

 最初に安易に外部識者に頼らなかったことは評価できる。縦割り行政に横串を入れて、風通しをよくすることから始まると思うが、職員たちが「なんか、あの部屋でやってるみたいよ」という他人事になるとうまくいかない。そこは知事の手腕を見たいところだ。

 過去最多の8人が立候補する中、元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)=立憲民主党推薦=が先行し、前国家公安委員長で元衆院議員の小此木八郎氏(56)が追う展開。現職の林文子氏(75)、前神奈川県知事で元参院議員の松沢成文氏(63)、元長野県知事で作家の田中康夫氏(65)が続いている。

 政令市の市長選は選挙期間が長い。だから、告示後に情勢は十分ひっくり返すことができる。最終盤、山中、小此木、林のデッドヒートになるのではないか。松沢、田中はやはり、知事経験者という経歴が邪魔をしている。お二方とも手腕は認めるが、知事経験者がなぜ市長なのかという説明がつかない。

 問題は再選挙になるかどうか。案外、当選者は法定得票数を確保するような気がするのだが。投票日は今週日曜日。

 前埼玉県知事で無所属の上田清司参院議員(73)が新党結成を模索していることがわかった。11日、国会内で無所属の衆院議員4人と会合を開いた。次期衆院選に向けて自治体の首長経験者らが加わる構想を描く。ただ、会合に参加した議員からは慎重な意見もあり、実現は不透明だ。
 11日の会合には、いずれも先の衆院選で小池百合子東京都知事が結成した「希望の党」から出馬し、現在無所属の笠浩史、吉良州司、柿沢未途、井上一徳の4氏が出席した。

 これは想像でしかないが、横浜市長選に立候補している松沢成文氏は、落選後は上田新党で衆院選に出る気ではないだろうか。

 維新の会との関係が気になる。維新とは一線を画すくらいの勢いなら、少しは期待したい。

 最後は、東京都の領土がまた増えた話。

日本のはるか南の海上、福徳岡ノ場では13日(金)から大規模な海底噴火が始まりました。海上保安庁が昨日15日(日)に実施した上空からの観測によると、依然として活発な噴火活動が続いているとともに、直径約1kmの馬蹄形の新島が確認されています。

噴火による軽石などの浮遊物が北西方向の約60kmの海域にまで流れていることも確認されました。

 西之島の噴火には驚いたが、南硫黄島の近くでまた新島が現れた。西之島は東京都小笠原村。この新島も、消えずに島として成立すれば、東京都小笠原村となるだろう。実は東京都が守備範囲とする海はものすごく広い。そして、海底では今でも火山活動が続いていて、こうして新しい島が誕生している。そういう視点から「東京都」を考えると、東京の都心で起きている出来事がちっぽけに感じる。

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