見出し画像

【自治トピックス】No.31

 熱海と言えば坂の街のイメージが強い。坂のあちらこちらで温泉の湯気が立っている。何事もなければ梅雨の時期は浴衣姿で街をそぞろ歩きすると温泉街の風情を楽しめる。今回、災害があった場所は昔、会社の社員旅行で訪れた。街が山にへばりついていて、基幹道路沿いに旅館が崖にへばりつくように立っていた。だから、玄関が1階ではなく、途中階にあった。旅館の中もそれは似ていて、大浴場に向かう時はまるで坂の街を歩くように階段を行き来する。部屋から相模湾が一望できる素晴らしい絶景だった。

 静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害で、現地調査した地質学者の塩坂邦雄氏が9日、県庁で記者会見し、盛り土が崩落したのは、周辺の宅地開発で尾根が削られて水の流れが変わり、従来の範囲よりも広い地域から大量の雨水が盛り土一帯に流れ込んだためとの見方を示した。これに対し、難波喬司副知事は「そんなに広い地域の水が集まっていれば大洪水になっているはずだ」として塩坂氏の見解を否定した。
 盛り土周辺には太陽光発電施設があり、設置工事によって水の通り道ができ、雨水が盛り土に流れ込んだ可能性も指摘した。

 土砂災害の原因は、これから様々な人が様々な検証を行うと思う。気になるのは、かなり早い段階からネット上では現場にある太陽光発電施設が原因ではないかと言われ、それですっかり満足してしまっている人たちが結構いるということだ。だが、こうした開発行為がこういう大災害のトリガーにはなっていたとしても、そこで思考を停止してしまえば、では、ソーラー発電さえなければ安全な地域なのかという疑問を持つ。

 どういう地域であれ、想定を超える豪雨が降り続けば、それなりの災害は起きうるリスクがある。住民がそのとき、どうやって命を守ったらいいのか。ネット上でマウントを取りたいだけなら、ソーラー発電がーっ!で良いが、もう少し専門家の検証を待ちたいところだ。

「確かに1度も口にされたことはないですが、額面通りに受け取る人はいないでしょう。女性初の首相就任の可能性があるなら、国政へ転じる可能性はある。小池さんにとって弱みは仲間がいないこと。2017年の希望の党設立時のような展開は望めない。となれば、自民党に戻って安倍・麻生という主流派への対抗馬として、それ以外の勢力を糾合するのが手っ取り早い。その橋渡しをしてくれるのが二階さんというわけです。小池さんのことをよく知る関係者の1人は、“恐らく国政へ打って出るだろう”と話していました」
 「政権安定のためにどうするのか。衆院選後に『小池新党』との保守合同を真剣に検討すべきだ」。自民党の中谷元・元防衛相は7日、旧谷垣グループ会合で、国政復帰の臆測が絶えない小池百合子東京都知事との連携を唱えた。
 中谷氏は「自民党はおごりとたるみの反省が足りない。しっかり踏まえないと衆院選は勝てない」と危機感を強調。この後、記者団に小池都政の与党は自民、公明両党と小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」になるとの見方を披露し、「政権に協力してくれる可能性がある。模索すべきだ」と訴えた。
 自民党の二階俊博幹事長は8日、TBSのCS番組収録で、東京都の小池百合子知事に関し「国会に戻ってくるならば大いに歓迎だ」と述べた。一方で国政復帰の意向について「うかがったことはない」とした。党総裁選を巡っては、菅義偉首相の続投を支持する考えを重ねて示した。

 石原慎太郎都知事の時代も、首相待望論は何度もゴシップ雑誌などでささやかれ、結局、実現はしなかった。それどころか、4期目の途中に「たちあがれ日本」なる政党の立ち上げに参加したはいいものの、右翼の老害が集まっているだけで、社会的には何のインパクトも与えなかった。いくら庶民的な人気があったとしても、賞味期限切れの政治家が新しい政治勢力を起ち上げて、多数派を形成することは難しい。

 では、小池知事はどうか。1期目に〝希望の党〟で大失敗し、正直、国政復帰の賞味期限は切れているような気がする。だが、石原都政を見てきた限り、このまま彼女が都知事の椅子に座り続けても、これ以上は何も起こらない。都民ファーストの会が都議会第2党に陥落し、これから都政は自公主導へとシフトしていく。石原知事も2期目後半は都政への意欲を失い、都庁には来なくなり、五輪招致や尖閣諸島の購入など、本来の都政とはかけ離れたことに夢中になっていた。

 小池百合子の政治家としての価値は、都知事である限り、これ以上、上がることはない。

 それで本人が満足ならよいが、そんな玉ではないだろう。とはいえ、新党結成などというポテンシャルは既にないので、必然的に既存の枠組みを活用して次の一手を打つしかない。だから、新潮氏が唱えるように、自民党復党からの首相という道筋はあり得るのだと思う。

 問題は、そのタイミングだ。

 自民党が支持率を落としている最大の要因はコロナ禍だ。ワクチン接種が進めば、社会も安定し、おのずと内閣支持率は回復してくるだろう。それを待っていたら、次のチャンスは遠のく。ならば、遅くとも小池知事は2期目途中の何らかのタイミングで国政に打って出ると考えるのが妥当ではないか。この秋は、本人がどんなに否定しても、この話題はくすぶり続けることは間違いない。

 横浜市長選をめぐり、林文子市長(75)は7日の定例記者会見で、「4期目を目指して立候補する意向を固めた」などとする一部報道について「今は熟慮している段階。まだ意向を決めたということはない」と語った。

 対抗馬が乱立しているのは現職の勇退を見越してのことだと思うが、このまま仲良く票を分け合えば、誰も法定得票数に達しないで再選挙になってしまう。実際、林市長が出馬ということになれば、これらの候補者はどうするつもりなのだろうか。

 最終的に市連会長の坂井学官房副長官に一任し、坂井氏が提案した自主投票に異論はなかった。終了後、市連の梶村充みつる幹事長は「それぞれの立場で旗幟きし鮮明に応援する。その代わり、終わった後はノーサイドだ」と記者団に説明。IR誘致を推進する林氏を支援しても「一切おとがめなしでやりたい」と語った。

 党としてはIR誘致推進なのにIR誘致に否定的な候補者や、党として推さないことを決めた候補者を支援しても選挙後はノーサイドで、おとがめなし。要するに、自民党としては勝ち馬にのって、うまく市長をコントロールしましょうやと。

 悪い意味で自由な政党だと思う。

来年秋に予定される沖縄県知事選挙の前哨戦の1つとして注目された那覇市の市議会議員選挙は、玉城知事らを支えるオール沖縄の勢力が1議席減らす一方、自民・公明両党などの勢力が5議席増やしました。

 所詮は市議選だが、来秋の沖縄県知事選を控えての敗北は玉城知事陣営にとっては痛い。その原因は初めて50%を割った低投票率からも明らかで、県としてのコロナ対策がポンコツだったからだ。

 知事は城間幹子市政与党が1議席減らす一方、野党が6議席増やし現市政に厳しい結果となった要因に、市の新型コロナ対策の影響を問われ「投票率が落ちたことには影響があるかもしれない」と述べた。那覇市は投開票2日前の9日に新型コロナウイルスワクチン780回分を廃棄したことを発表していた。

 沖縄タイムズはワクチン破棄を要因の一つに挙げているが、そんなことで投票行動に影響を与えるとは到底思えない。やはり最大の要因は県立病院のクラスター隠しではないか。

 沖縄県立中部病院(うるま市)は1日に記者会見し、新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が発生し、患者と職員の計51人が感染、17人が死亡したと発表した。病院側は、6月に会見を開こうとしたが、県から開催しないよう指示があったと説明。県側は「『公表を控えるべきだ』とは一切言っていない」と否定している。

 これを契機に、県の新型コロナ専門家会議の医師2人が辞任している。

 沖縄県の新型コロナウイルス対策を話し合う県専門家会議の委員で県医師会副会長の宮里達也氏が、同会議の委員を辞める意向を固めたことが7日分かった。複数の関係者によると、県が県立中部病院の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)を公表しなかった問題を巡る県政の対応や、専門家会議の在り方への不信感が理由という。

 新規感染者数の増減よりも、こういう人間関係のいざこざが県のコロナ対策のイメージを下げている。

 しかも、辞任した高山さんはこれまでの経緯を振り返っても、県がぜったいに傷つけてはいけない人物だ。

 与党の議席減に大いに貢献したのは共産党。現職を2人も落とした。都議選と何が違ったのか、真摯な検証が必要だ。投票率が下がって議席を減らすなど、普通ではない。

荻原氏は8日朝、長野市内で記者団の取材に応じ「私自身、長野オリンピックをやっていただいたこの街に恩返ししたいという気持ちで長野に暮らし続けている。市長選挙に向けて、今、立候補を検討している段階だ」と述べました。

 参院議員が市長選というのは、ずいぶんとハードルを下げたなと感じる。参院選には自民公認で比例区から立候補していたから、今回も保守系が支援するのだろうか。

 それにしても、なぜスポーツ選手は政治家を目指すのだろうか。この方もまた、アスリート貴族のお一人だと思う。国の補助金を引っ張ってきて、大きな競技場やトレーニング施設をつくりたいのであれば、政治家としてはちょっと古いタイプだなと感じるのだが。

野党は従前の野党共闘で対抗できるのか。立憲は三重4区で元民放アナウンサー、坊農秀治氏の擁立を決めているが、鈴木知事の出馬を念頭に「なんとか比例復活だけでも」(県議)と早くも戦々恐々のようだ。

そんな事情も背景にあってか、やはり知事選の相乗りは野党にとって至上命令らしい。ある県議は「激しい闘いが予想される衆院選に備えるため、知事選でのガチンコ勝負は避けたい」と胸の内を明かす。
一方の共産党は市民団体と協力して独自候補の擁立を進めている。「県政を国の出先機関にしてはならない」と県委員会幹部。一見氏への与野党相乗りが決まろうとも、選挙戦となる見通しだ。

 情けないとしか言いようがない。三重県の野党勢力はいっぺん、滝にでも打たれてきたらいいのだ。誰も、県政を変えようとは思っていない。自民党はガハガハと高笑い。余裕で衆院議員の若返りを目指す。

 ああ、バカらしい。

 大阪維新の会大阪府議団は8日、府議会の定数を現行の88から79に削減する案を決めた。今月中に開かれる議会改革検討協議会に維新案として提出する。
 維新案は定数が2~5人の9選挙区で1人ずつ定数を削減する。選挙区は次の通り。括弧内は現状の定数。

 大阪市住吉区(2)▽堺市北区(2)▽堺市堺区(2)▽箕面市・豊能郡(2)▽高槻市・三島郡(4)▽吹田市(4)▽東大阪市(5)▽八尾市(3)▽泉大津市・高石市・泉北郡(2)

 大阪で維新政治があと10年も続くと、府議会の定数は10人くらいになっちゃうのではないか。

 そんなに身を切りたいなら、いっそ府議会丸ごと廃止したら?(笑)

池田市の冨田市長は、辞表を提出したあと、記者団に対し、「今回、サウナを設置したのは確かなことだが、それ以外のパワハラなどは一方的な報道で、大変遺憾に思っている。市として、やるべきことが山積している中で辞職することになり、市民のみなさまに大変申し訳ない」と述べました。
そのうえで、今後の対応について、「今月中をめどに記者会見を開いて、私の見解を説明したい」と述べました。

 そして、維新が擁立したサウナ市長はようやく辞表を提出。まあ、これで池田市は維新系の市長がいなくなると思ったら大間違い。それでも維新を選ぶのが大阪府民。

 全国知事会は11日、新型コロナウイルス緊急対策本部のオンライン会議を開き、ワクチンの確実な供給や供給スケジュールの明示などを求める緊急提言をまとめた。近く政府に提出する。提言は、ワクチン不足で接種予約の受け付け停止や予約のキャンセルが相次いでいると指摘、「国の方針に基づき接種に全力を挙げてきたのにハシゴを外されて混乱していると、政府は厳しく認識するべきだ」と訴えた。

 私の地元では出だしが遅かったせいか、ようやく接種ペースが上がってきた。その矢先に国がワクチン供給の遅れを公表し、1回目の接種は無事に打てるだろうが、8月初旬となる2回目以降に不安が残る。先ほども市の公式LINEで、「現在、国からのワクチン供給が不安定な状況となっています。今後、医療機関での個別接種や、集団接種の新たな予約を一時見合わせる場合がありますが、ワクチンの供給状況に応じて予約を再開しますので、慌てずにお待ちください」と通知があった。

 慌てずと言われても、こんなこと言われたら慌てるよね。

 都議選や沖縄県の那覇市議選などを見ても、コロナ対策でのちぐはぐな対応は、確実に選挙結果に影響を与える。政府がワクチン供給の見通しを見える化し、見通しも立たないのに首相や担当大臣が勝手な目標や期限を設けることを避けるべきだ。

 だれでも、いつでも、どこでも、これがワクチン接種の理想だ。

 西村康稔経済再生担当相は8日夜の記者会見で、新型コロナウイルス特別措置法に基づく休業要請や命令などに応じない飲食店に関し、融資元の金融機関と情報共有して協力を求め、要請に応じるよう働きかける方針を明らかにした。

 既に西村氏はこの要請を撤回しているが、誰がいったい、こんな愚策を持ち出してきたのか知りたい。西村氏が思いついたわけではないはずだ。事業者が融資元から要請を受けたら従わざるを得ない。ただの恐怖政治だ。

 ところが、小池知事の受け止めは違ったようだ。

 記者から質問された小池氏は「どういう形で進めていくのかを語られたもの。急所である飲食の部分をどう締めていくのか、絞っていくのかを言及された」との認識を示した。
 飲食の対策が重要だとして、「ポイントを絞りながら、ワクチンの加速とデルタ株の広がりとのせめぎ合いの中で、どう効果を出していくかという思いでおっしゃっている」と西村氏への理解を示した。

 驚くべきことに、小池知事は「思いは同じ」なのだそうだ。

 さすが、この手の恐怖政治はお家芸といったところか。執拗な飲食店いじめは、庶民に分かりやすいからに他ならない。時短営業に応じない飲食店は、シンプルに悪者にできる。庶民が安心して石を投げることができる。感染が収まらないのも、その悪者のせいだと責任転嫁できる。大規模施設やイベントの規制より、感染との関連を結び付けやすくて、エビデンスとして簡単に提示できるのだ。

 現在の毎日の感染状況を見ても、飲食店は感染経路のトップではない。しかし、簡単に生贄にできる格好の材料というわけだ。

 最後は、海外の話題を一つ。

  香港紙・明報によると、香港区議会(地方議会に相当、定数479)の議員153人が8~9日にかけて辞職した。近く香港政府への忠誠を宣誓しなければならないことへの反発とみられる。

 忠誠を宣誓しても、不十分と見なされれば、議員資格を取り消され、議員報酬など計約170万香港ドル(約2400万円)の返還を迫られる恐れがある。香港メディアは、過去の言動などから、資格を取り消されそうな区議は200人以上にのぼると報じていた。

 これぞ、ザ・中共!という感じ。日本では価値観やイデオロギー、国への忠誠心を理由に議員を辞めさせられることはない(「反日」だと罵って石を投げるネトウヨはたくさんいるけど)。

 日本の地方議員が低投票率に支えられて、民主主義の上にあぐらをかいてサボっているのは、日本が幸せである証拠だ。おまけに、憲法を全面否定しても辞職を求められることはない。

 選挙のたびに下がる投票率。香港では中国共産党が民主主義をぶっ壊しに来ているけれど、日本は有権者がぶっ壊すのだろうか。香港と比べたら、とても静かで、平和的な屈服だとは思わないか。





ほとんどの記事は無料で提供しております。ささやかなサポートをご希望の方はこちらからどうぞ。